<ちむどんどん・やんばる移住編>116回~最終回までの解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第120回:あっという間に移住〜
ちむどんどんするかしないか、心のままに決めたら即実行。暢子(黒島結菜)の行動力は昔から抜群でした。思えば、東京に養女に行くことになった日も、行かないと決めてドタキャン。以降も彼女の移り気は代わりませんでした。
比嘉家の困窮を心配して、手を差し伸べたのは房子(原田美枝子)で、やがて数奇な運命で結果的に東京で房子の世話になることになります。それはもう房子は暢子を何度も助けてくれました。最初は、こわい人かと思わせて、なにかとコネを使って助けてくれます。
房子と暢子を見ていると、子供のとき、あんなに東京に行くのを恐れる必要もなかったように思います。子供の頃に東京に行っても暢子は房子の厳しくも愛情ある教育を受け、庇護されたことでしょう。
きっと実家とも連絡を頻繁にとりあって、なにも問題なかったような……。ただそうすると、鶴見との出会いがなかったかもしれませんが。
房子が鶴見との関係を断っていたからです。
暢子が東京行きをドタキャンした理由は運命の神様が、房子と暢子の父・賢三(大森南朋)や三郎(片岡鶴太郎)との関係を修復させようとしたからなのでしょう。
房子に世話になりいったん沖縄に帰った彼がそれっきりになり、裏切られた気持ちで長年いた房子。今度もまた暢子は、独立したらイタリア料理ではなく沖縄料理店を開店し、あっという間に沖縄に戻ってしまう。房子、可哀想。だからか、お別れ会には出席しません。
暢子はアッラ・フォンターナに出向き、房子とペペロンチーノ勝負をします。賢三のときのような遺恨はなく、いい形でお別れをすることができました。お別れといってもいつでもまた会えるお別れです。
暢子のおかげで、房子は過去、残念なお別れをした賢三とのことも水に流せ、さらに三郎との悲恋に対する悔恨も消すことができました。房子は「三」のつく人との縁が薄いようです。
戦争を生き抜いた房子の話も、一本の朝ドラになりそうで、触りだけのような感じになってすこし惜しいと感じました。「なつぞら」(19年)でも、主人公をとりまく大人の女性たちにいろいろな過去があったことを思い出します。とくに、ムーランルージュ新宿座の人気ダンサーで、その後、おでん屋を営んでいたアヤミ(山口智子)。彼女の物語も一本の朝ドラになりそうでした。
戦争を体験した人が少なくなるなか、戦争時代を描いた朝ドラはじょじょに次世代に当時を伝えるエピソードのひとつになっていくのかもしれません。
お別れ会で、暢子が東京に出てきた12年が思い出されます。
驚くのは、暢子が全然変わっていないこと。
朝ドラでは、ヒロインの成長物語で、年齢を経ていったとき、どんなふうに変化していくのかも演技の見せ所ですが、暢子の場合、なんなら子役・稲垣来泉時代の身振り口ぶりを踏襲しているようにすら見えます。
たいてい、続けて見ていると変化に気づけないけれど、回想で見ると、けっこう変化していたと思うものですが、暢子の場合は逆に変わらないことに感心するくらいです。
ドラマだと変わっていないことが違和感になるけれど、現実だったら昔と変わっていない若さは美点とされますから不思議ですよね。そういう意味では暢子は子供ができてもいつまでも若々しい理想的な人物です。
変わらなさの秘訣は、たぶん、ちむどんどんするままに(心のままに)生きることだと思います。
他人のことを気にせずやりたいことだけやっていると顔に悩みや迷いや忍耐などの負荷がかからず若々しくいられるのではないでしょうか。
※この記事は「ちむどんどん」の各話を1つにまとめたものです。
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