「ファーストペンギン!」第2話:和佳(奈緒)の戦略&粘り勝ち!しかし、暗雲がふたたび……



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奈緒主演、堤真一や鈴木伸之が脇を固める日テレ系列ドラマ「ファーストペンギン!」が、2022年10月5日より放送をスタート。

寂れた漁港を復興する”実話を元にした”オリジナルストーリーである本作。奈緒演じるシングルマザーの岩崎和佳(いわさき・のどか)は、職なし・宿なしのギリギリ状態で5歳の息子を連れ、とある港町に行き着く。堤真一演じる漁師かつ漁船団「さんし船団丸」の社長・片岡洋(かたおか・ひろし)と出会ったことで、和佳の生活に変化が訪れる。

本記事では、第2話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「ファーストペンギン!」第2話レビュー

波乱万丈、“逆風”満帆といっては月並みだが、本ドラマで起こる事件や和佳(奈緒)の行動力を見ていると、本当に実話を元にしているのだろうか……と疑いたくなってしまう。

それくらいに、心が折れても仕方のないようなことばかり発生するのだ。

片岡洋(堤真一)たち、さんし船団丸とともに、新事業「お魚ボックス」を始めようと奮起する和佳。しかし、漁協組合長・杉浦(梅沢富美男)の妨害により、事は上手く進まない。

漁協に刃向かえば、自分たちの食い扶持も危うくなる……と尻込みした漁師たちも、力になってはくれない。地域住民に煙たがられても、勤めるホテルを辞めさせられ、家から追い出されそうになっても、自らの生活が厳しくなっても、和佳は諦めない。

なぜ和佳は、自分に直接の関係はない漁師たちのために、ここまで時間と労力を使えるのだろうか?

そう問われた和佳は、力強く、こう答えた。

「もう、私自身が、やったほうがいいって思っちゃってるからです」

もはや他人事ではなく、自分事なのだ。学生時代、長いものに巻かれて自身の意見をねじ曲げた経験が、和佳の心にこびりついている。

ここで折れたら、自分の子どもに「そんな人になるな」って言えなくなる。半ば、意地もあったのかもしれないが、一本筋の通った美学の元に動く人は、こうも美しいし頼りになる。

お魚ボックスを始めれば儲けが見込める! と思ってもらえれば、洋たちの気も変わるかもしれない。そう企んだ和佳は、何十件も注文が入っているとウソをつき、琴平先生(渡辺大地)をはじめとする知り合いたちに「お試し」と称してプレゼントしていた。

漁港では厄介者になりつつある和佳だが、助けてくれる人が皆無なわけではない。状況を察した琴平先生は、わざわざ和佳と進に会いに来て、お魚ボックスの利点となるヒントをくれた。新鮮な魚が直送される=魚ギライの子どもも食べられるようになるかもしれない。琴平先生のおかげで、和佳は勝機を見出す。

仲買人の重森梨花(ファーストサマーウイカ)も、漁港の魚を譲ってもらえなくなった和佳に手を差し伸べてくれた。この一件から、和佳は「混獲魚」の存在を知る。

狙った魚ばかり都合よく獲れるのが漁ではない。アジやサバ漁で、タイやトビウオなど別の魚が混じることはよくある。そんな「混獲魚=まじりの魚」は、売るルートが確立されていないために、これまでは正規の流通ルートに乗せられなかった

自分たちで食べるか、格安で仲買人に流すか、廃棄料を払って処分するか。3つの選択肢しかなかった混獲魚を、お魚ボックスで扱えるようになれば……。

どんどん光明を見出していく和佳は、極め付けに、政府が打ち出したとある動きに目を付ける。

男女共同参画社会、女性の活躍を推進する取り組みのひとつとして、和佳自身が認定事業の第一号者となるのだ。そうすれば、女性登用をアピールしたい大臣から、お魚ボックスのお墨付きをもらえるかもしれない。

狙い通り、和佳は大臣からの後押し&杉浦組合長からの許可を得ることに成功した!

約1時間に収まっているとは信じられない濃密さで、逆境をはねかえす様を見せてくれた和佳。1話の終盤にて、威勢よく啖呵を切っただけのことはある。彼女の行動力、粘り強さ、戦略の立て方は、「どうせドラマでしょ」と斜めに見ることを許さない。何せ、これは実話なのだから。

しかし、一難去ってまた一難、とはよく言ったもの。杉浦がこうも簡単に許可を出すはずがない、とは思っていたが。和佳にハニートラップの疑惑をかけ貶めようとした次は、なんと詐欺師の疑いをかけようとしている。

すっかり、奈緒演じる和佳のファンになっている筆者は、彼女がそんなことするはずない! と信じ切っているが……。さんし船団丸の通帳、そして暗証番号をゲットした彼女は、さっそくATMで大金を下ろす

詐欺師のはずはない、だけど、もしかしたら……。そんな思いを少しでもチラつかせてしまうのは、ドラマ「あなたの番です」でサイコパスな尾野ちゃんを見事にやりきった、奈緒の表現力の賜物ゆえかもしれない。

(文:北村有)


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