インタビュー

2022年10月14日

「連続ドラマW シャイロックの子供たち」出演・西野七瀬「作品ごとに少しずつ成長を感じられている」

「連続ドラマW シャイロックの子供たち」出演・西野七瀬「作品ごとに少しずつ成長を感じられている」


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もはや、“元乃木坂46の〜”という修飾語は不要。そう言えるほどに、西野七瀬は演技者として確実にステップアップしている。次なる作品は、骨太なドラマをつくり続けているWOWOWが満を持して世に放つ「シャイロックの子供たち」。原作者の池井戸潤自身が作家人生の転機と位置付けた意欲作で、西野は芝居とどう向き合ったのか──深掘りを試みた。

“乃木坂”なしでどこまで勝負できるかという不安

──「連続ドラマW シャイロックの子供たち」で西野さんが演じる北川愛理は銀行員、すなわち属する場所がある人間です。一方、ご自身は俳優として独り立ちされてから3年強になりますが、乃木坂46在籍時とくらべて“集団の中の個”に対する意識に、どのような変化があったのか教えてください。

西野七瀬(以下、西野):そうですね……グループにいたときも1人でのお仕事をさせていただいていたんですけど、名前の後ろに(乃木坂46)とクレジットされていたので、どことなく「(グループの)外でお仕事をしている」という意識だったような気がしていて。それが1人で活動するようになって、“西野七瀬”という自分の名前だけになってからは、お仕事に対する責任は全部、自分自身で背負うものなんだなとより意識するようになりました。そのぶん、より重みが増したんですけど、やりがいを感じますし、手応えも大きくなっているなという実感があったりもします。

──まさしく「西野七瀬」という看板で勝負している、という感じでしょうか?

西野:3年ほど経った今は、だいぶ1人での活動に慣れてきましたけど、グループを卒業したばかりのころはやっぱり不安が大きかったです。“乃木坂”というブランド力なしで、どこまで自分は勝負できるのかなって──。まだ自信が持てたというわけではないんですけど、少しずつ成長できてはいるのかなと、作品ごとに感じられるようにはなりました。

──そういった積み重ねの中で西野さんが感じている、お芝居の面白さは……?

西野:挙げていくといろいろありますけど、一緒にお芝居する方によって自分の感覚が変わること、ですかね。相手の方(の芝居)にめっちゃ引っ張られるような感覚になったことがあるんですけど、そういった“見えない力”を感じられるのが、面白いところかなと思っていて。なので私自身、現場で役同士として向き合ったとき、そういういい効果や作用を与えられるような役者さんにすごく憧れていますし、自分がそういう瞬間に立ち会えたときのうれしさとか楽しさを何度も味わいたくて、お芝居に臨んでいるところがあるような気もします。いつか、ご一緒した方から「西野の芝居に引っ張られる感じがした」と言ってもらえるような表現がしたいなという憧れがありますし、そういう言葉を共演した方から聞くことができたとしたら……例え間接的に耳に入ってきたとしても、めちゃめちゃうれしいことだろうなと思います。

「何かを残せた」からこそ、“もう1回”は特別



──「シャイロックの子供たち」でも、名だたる俳優陣と一緒に演技をしましたが、みなさんのお芝居から多くを学んだのではないか、と。


西野:はい、皆さんがどのようにして演技に臨まれているのか──見ていないふりをしつつ、しっかりと目に焼きつけました(笑)。役と向き合うたび、性別や年齢問わず今までご一緒してきた俳優の方々を思い浮かべながら、「誰々さんだったら、この役のこのセリフ、どういうふうに言うかな?」って想像してみるんです。そうやってイメージを広げていけるというところでも、いろいろな方々とお芝居ができることってすてきだなと思いますし、そういう機会をたくさんいただけることに、感謝の気持ちを深めています。

──お芝居の現場というのは、出会いと再会が数珠つなぎのように連なっているのかもしれないですね。だからこそ、一期一会で作品や役と向き合っていると思いますけれども。

西野:私自身、同じスタッフさんたちのチームにもう1回呼んでいただくことが、すごくうれしくて。もちろん、まったく初めてご一緒する機会もすごく大切にしていますけど、そこで何かを残せたからこその“二度目”だと思うので、より特別なうれしさがあって。

──まさにWOWOWのドラマが「シャイロック〜」で二作目という。「天使のナイフ」(15年2〜3月に放送)以来ですよね?

西野:そうなんです、すごく久しぶりで。しかも「天使のナイフ」には(『孤狼の血 LEVEL2』で姉弟役を演じた村上)虹郎くんや、千葉(雄大=「ホットママ」で夫婦役を演じた)くんも出演していて、あらためてご縁を感じるっていう(笑)。「天使の〜」もそうでしたけど、WOWOWの連続ドラマは社会派っていうイメージがあって、その世界観に自分が溶け込めているか……ちょっと不安な部分もあるんですけど、ストーリーにきっと引き込まれると思いますし、怒涛の展開をしていくので、普段はミステリーを好んで観ることがない方にも、きっと楽しんでいただけるのかなって。また群像劇でもあるんですけど、登場人物もそこまで多く出てこないので、スーッと物語の中に入ってこられるんじゃないかなと思っているんです。

──では最後に、池井戸潤さんの作品の世界に身を投じて感じた魅力をお聞かせください。

西野:登場人物それぞれにいろいろと抱えているけど、それを表に出さないまま日常を過ごしていて。ところが一つ事件が起こることで、個々が立ち振る舞い方を見つめ直すことになる点に惹かれるのかな、と私は思いました。自分の演じた愛理に関して言うと、最初から最後までずっとまっすぐで一本気だったので、素直に感情移入できたのかなって。芯の強さがすごく魅力的でしたね。


テクニックは大事だが、魂が入っていなければ、表現が人の心に響くことはない。その真理を、西野七瀬は経験則から自らの芝居に染みこませてきた。観る者が彼女に惹きつけられるのは、いたって必然のことなのだ。



インタビュー全文は、10月17日(月)発売の『CINEMAS+MAGAZINE』にて掲載!

(ヘアメイク=Georgre/スタイリスト=山本隆司(style3)/撮影=加藤アラタ/取材・文=平田真人)


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