「ファーストペンギン!」第4話:漁師軍団が東京へ!今回も和佳(奈緒)が吠える!



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奈緒主演、堤真一や鈴木伸之が脇を固める日テレ系列ドラマ「ファーストペンギン!」が、2022年10月5日より放送をスタート。

寂れた漁港を復興する”実話を元にした”オリジナルストーリーである本作。奈緒演じるシングルマザーの岩崎和佳(いわさき・のどか)は、職なし・宿なしのギリギリ状態で5歳の息子を連れ、とある港町に行き着く。堤真一演じる漁師かつ漁船団「さんし船団丸」の社長・片岡洋(かたおか・ひろし)と出会ったことで、和佳の生活に変化が訪れる。

本記事では、第4話をcinemas PLUSのドラマライターが紐解いていく。

「ファーストペンギン!」第4話レビュー

自分の仕事が何に役立ち、お客様のもとへどう届いているか。どんな仕事にも、想像力は必要だとよく言われる。筆者のような、取材や執筆を主な生業とする職業は、読み手がどう感じ取るかを想像しながら言葉を使わなければならないように。

新事業「お魚ボックス」を軌道に乗せるべく努力している和佳(奈緒)たちにも、同じことが言えるのかもしれない。日々、洋(堤真一)をはじめとする漁師たちは魚を獲り、それをお客へ届けるべくボックスづくりに励んでいる。

しかし、それを受け取る側の気持ちを、どこまで想像できているのだろうか?

さんし船団丸は、120万円もの赤字に苦しんでいた。送るボックスに不備があるせいで、お客からのクレームが絶えないのだ。代わりのボックスを送り直すことで経費がかさみ、膨れあがって120万円……。漁師たちへのプラスアルファの手当ても1000円しか捻出できない始末。

和佳は、大手スーパーやチェーン店にまとめて魚を卸す効率の良い売り方よりは、「これ!」と決めたお店に一尾ずつ売るやり方にロマンを求めていた。

さて、そのロマンをどうやって漁師たちに共有するか……?

その結果、漁師たちを全員、東京へ連れて行く道を選ぶ。

さんし船団丸の魚を卸しているフレンチ料理店へ赴き、実際に料理を食べてもらうのだ。自分たちが獲ってきた魚が、どんな風に店へ届き、どんな料理になってお客の口へ運ばれるのか。それを体感してもらうことで、より「お魚ボックス」の鮮度を保つにはどうすべきか? を自発的に考えてもらおうとしたのである。

結果、この方法は大成功! 魚の血抜きをしてから発送すれば、劇的に鮮度が保たれることもわかった。これまで以上に手間はかかるが、他ではやっていない方法を徹底することで、オンリーワンの魅力が生まれる。最強の「おさかなボックス」誕生となり、さんし船団丸のブランド力が上がるのである。

漁師のみんなに渡せるものはロマンしかない、と語る和佳、今回も熱かった。

「信じてほしい。絶対にみんなをそこに連れていくから。もう少しだけ、私についてきてほしい」

これまでも、和佳は失敗や苦境の乗り越えながら、さんし船団丸にとって最良と思える選択をしてきた。営業による経費はかさみ、漁師たちに満足な給料も出せていないかもしれない。それでも、こうと決めた彼女の瞬発力はすごい。

前回同様、「漁師さんたち、もう少し和佳のことを信じてあげてよ〜」と思わなくもない場面もあったが、実際にもこうやってぶつかり合いながら信頼関係を築いていったのだろう。実話を元にしている事実を忘れてしまいそうになるが、このドラマはどこまでもリアルなのだ。

なかなかやる気を見せてくれなかった若手漁師・たくみ(上村侑)の背景も明らかになった。地元や家族に感じる鬱陶しさ、東京への憧れと恐怖。それらはきっと、地方出身者にとっては“あるある”な感情である。

彼もともに東京へ赴き、自身の獲った魚がどんな風にお客のもとへ届いているかを知って、仕事への誇りを思い出せたのではないだろうか。このドラマでは、さまざまな“成長”が描かれている。

これからも、さんし船団丸は右往左往しながら結束力を高めていくのだろう。こうなってくると、心配なのは漁協の動きである。組合長(梅沢富美男)がまたもや不穏な企みをしているようだが……。頼むから、もう余計なことはしないでくれ! と和佳とように吠えたい気持ちでいっぱいだ。

(文:北村有)


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