「舞いあがれ!」第53回:刈谷と鶴田が再登場。なにわバードマン編がなつかしい
本作は、主人公が東大阪と自然豊かな長崎・五島列島でさまざまな人との絆を育みながら、空を飛ぶ夢に向かっていく挫折と再生のストーリー。ものづくりの町・東大阪で生まれ育ち、 空への憧れをふくらませていくヒロイン・岩倉舞を福原遥が演じる。
本記事では、第53回をライター・木俣冬が紐解いていく。
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中澤の離婚問題と倫子の怒り
最終審査5日前。雨がざあざあ降っています。寮のなかでは中澤(濱正悟)が離婚問題で悩んでいます。共に考える舞(福原遥)と倫子(山崎紘菜)と吉田(醍醐虎汰朗)。このとき柏木(目黒蓮)は呼ばれないのですが、あとで知ったらむすっとなるのではないでしょうか。だって宮崎校からの仲間なのに。一緒に円陣組んだ仲間なのに。ちょっとかわいそうな柏木。「だって愛してるんだから」と離婚したくないと苛立つ中澤に倫子がいつものごとく喝を入れるわけですが、彼女は妙に中澤にこだわっていて、まさか若干好意を頂いているのだろうかと思って見ていたら、そういうわけではなかったようです。
倫子は中澤の悩み(パイロットになりたい自分の夢を妻が理解してくれない、支えてくれない)は男特有のものであり、女はそんな悩みすら持てないことにもやもやを抱えていて、ついに爆発します。
中澤にお茶をぶっかけて倫子は泣きながら語ります。
「だから私は変えたいの! 変えるためにここに来たの 自分の人生を世の中に決められたくない 男も女も関係ない」
それぞれ悩みを抱えながら空を飛ぶというコンセプトなのでしょうけれど、中澤と倫子のセリフが、なんだかやらなきゃいけないことを事務的に入れときましたふうに見えます(令和の朝ドラの三題噺 移住、SDGs、多様性)。
中澤はすぐに気持ちを切り替えて、妻に手紙を書き、話し合うことになります。これ見て、中澤なり倫子に感情移入してうんうんそうだね共感するよと思うものなのでしょうか。仮にそうだとして、そこに発展性はあるでしょうか。なにかが解決するきっかけになるでしょうか。男も女も関係ないというような言葉が最近、あまりにも形骸化されて切実さが感じられなくなっているような気がしてなりません。
最終審査に向けてそれぞれがなぜパイロットになりたいか改めて考える日であり、舞には鶴田(足立英)と刈谷(高杉真宙)から電話があります。舞は、はじめて空を飛んだ日のことを思い出し、自分を立て直すのです。鶴田と刈谷の出番のために、中澤と倫子の話はギュッと凝縮されてしまったとしたらしょうがないという気もします。鶴田と刈谷の登場にはホッとしましたから。
鶴田と刈谷はお好み焼き〈うめづ〉で飲み食いしています。きっと舞に紹介されていつの間にかうめづに通うようになっているのでしょう。
【朝ドラ辞典 再登場(さいとうじょう)】朝ドラはいくつかのパートに分かれていて、そのパート限りの登場情人物もいるが、たまに再登場することがあり、歓迎される。とりわけ最終回近くに前半の登場人物が出てくると盛り上がる。
(文:木俣冬)
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