「君の花になる」最終回:色々思うところはあったけど……8LOOMに花丸あげたい!
本田翼主演のドラマ「君の花になる」が2022年10月18日放送スタート。
本作は挫折した元高校教師の主人公・仲町あす花が、7人組ボーイズグループ“8LOOM(ブルーム)”の寮母となり、一緒に“トップアーティストになる”という夢を追いかけていくオリジナルストーリー。主人公を本田翼、個性豊かなイケメン7人組を高橋文哉、宮世琉弥、綱啓永、八村倫太郎、森愁斗、NOA、山下幸輝が演じる。
本記事では、最終回をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
「君の花になる」最終回レビュー
元高校教師の寮母と崖っぷちのボーイズグループが“トップアーティストになる”夢をともに追いかけるドラマ「君の花になる」がついに最終回を迎えた。
誰もが“推し”という存在を持っている「一億総推し社会」と言っても過言ではない今。それぞれ推しは違っても、本作はその本質である、誰かを応援すること、誰かの幸せを願うことの素晴らしさを描いた作品だ。
ファンは推しを生きがいとしている。推しはファンがいるからこそ輝ける。あす花(本田翼)と弾(高橋文哉)のように、両者は「あなたは最高だよ!」と花丸を与え合っているのだとこの作品は教えてくれた。
だけど、そこには普通、大きな壁がある。多くの人にとって、推しは遠い存在であり、ましてや恋愛関係になる可能性は限りなく0に近い。だからあす花と弾が惹かれ合う展開に少なからず、疑問や違和感はあった。
正直なところ、最終回を見終えた今もこのドラマに恋愛展開が必要だったとは思えない。だが、アイドルの成長物語としては非常に見応えがあった。
それは、8LOOMのメンバーを演じるキャストの高い演技力やパフォーマンス力の賜物。特に歌やダンスに関してはそれぞれのレベルが高く、多くの人が彼らの虜になった。現実世界では期間限定のグループであることが惜しまれる。
作中の8LOOMも、メンバーそれぞれの新たな挑戦のために解散を決めた。彼らの決断はすぐさま関係者各位に伝えられる。不遇の時代を乗り越え、ようやく日の目を見ることができた8LOOM。ライブツアーも決まったばかりなのに、どうして?と誰もが思うのは仕方ない。
それでも気持ちが揺らぐことはなく、メンバーたちは最初で最後のライブツアーに向けて全力を注ぐ。だが、あす花という心の支えを失った弾は納得のいく新曲が作れずに苦悩していた。
そんな中、フリースクールで寮母兼教師として働き始めたあす花の元に花巻社長(夏木マリ)がやってくる。そこで8LOOMが解散することを知らされたあす花は意を決し、みんなに会いに行くのだった。
どこか後ろ向きなメンバーを叱咤する一方で、一人ひとりに感謝と別れの言葉を送るあす花。それはまるで“卒業式”みたいだった。
実際、メンバーにとってあす花は本気で叱って、本気で応援してくれる先生みたいな存在だったのだろう。だけど、弾はそこに恋心を抱いてしまった。もちろん、8LOOMという存在は大切だけど、同じくらい大切な存在になったあす花のことも諦められない。手離したくない。そんな迷える一人のアイドルに、本作は「両方手に入れる」という選択肢を与える。
ライブツアー最終日。本当はその場でファンに解散を伝えるはずだったが、弾はそれができなかった。ステージ上で「解散したくない」と本音を漏らし、やりたいことがまだ決まっていない有起哉(綱啓永)とともに8LOOMの活動を続行することを決断。「俺、8LOOM続ける。それで、お前らの帰りをいつまでも待ちたい」とファンの前で宣言する。
そんな弾に、なる(宮世琉弥)がかけたのは「100幸せじゃないとダメなのは弾だよ。弾にとって大事なもの、もう手離さないで」という言葉。そんなことをファンの前で言ったら、大事なもの=あす花のことだってモロバレでは?と心配してしまったが、本作の出した答えがここに詰まっていた。
芸能人だって人間だから恋もする。自分の幸せを追い求める権利はある。最初から最後まで、一貫してその姿勢を貫いてきた本作。
でもきっと、多くの人はそんなこと分かってる。推しに100幸せになってほしいって、みんな願ってる。だけど8LOOMというグループがあまりに魅力的だから、純粋にその成長物語を楽しみたかったのかなと思う。恋愛要素にちょっとモヤっとしてしまうのだけはやっぱり少し残念だった。
とはいえ、弾がライブツアー終了から3年間、あす花との仲を深めるのではなくみんなの帰る場所を守り続けることに徹したのは良かった。自分の思いで突っ走るのではなく、いま何をすべきかを考えられるようになった証だと思うから。
あす花が見るテレビの中では、弾、なる、有起哉、巧(NOA)、栄治(八村倫太郎)、宝(山下幸輝)、流星(森愁斗)の7人全員が集合していた。どこかで8LOOMの活動はずっと続いていく。いつかまた会えたら。そう思うほどに一人ひとりがこのドラマでは輝いていた。そんな彼らに最大級の花丸をあげたい。
(文:苫とり子)
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