続・朝ドライフ

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2023年03月31日

これを読めば“朝ドラあるある”がわかる!「朝ドラ辞典」

これを読めば“朝ドラあるある”がわかる!「朝ドラ辞典」

朝ドラ辞典・な行

【なかなか動けない人 (なかなかうごけないひと)】
令和の朝ドラに頻出する属性。心身のなんらかの状態によって長い時期、冬眠する動物や土のなかで芽が出るのを待つ植物のようにじっと家にこもっている人物。ヒロインや主人公はどんどん目標を叶えていく行動的な人物が多いため、そうでなくてもいいという配慮がされているようだ。

「舞いあがれ!」の佳晴(松尾諭)、貴司(赤楚衛二)、「ちむどんどん」の歌子(上白石萌歌)、「カムカムエヴリバディ」の錠一郎(オダギリジョー)。「おかえりモネ」の宇田川など。
※関連語:引きこもり

【ナポリタン (なぽりたん)】

喫茶店の定番。「あまちゃん」(13年)のナポリタンを「あばずれの食い物だよ」というのは名セリフ。昔のドラマや映画の不良はナポリタンを食べると春子(小泉今日子)が言う。

【ナレーション (なれーしょん)】
朝ドラの正式名称は「連続テレビ小説」。新聞小説のように毎日続くドラマで小説のようなムードを担うのがナレーション。俯瞰した視線で物語の背景や状況や登場人物の心理を解説する重要な役割である。

例えば、「スカーレット」では、ナレーション(中條誠子アナウンサー)は「みつけた焼き物のかけらを喜美子は旅のお供にしました」「あき子さんもあき子さんのお父さんも散歩のコースを変えたのでしょう。犬のゴンももう荒木荘の前を通りません」など。「おしん」ではナレーション(奈良岡朋子)が「祖母の一生を哀れと思うだけに怒りにも似た激しいものがおしんの胸の中にふつふつとたぎっていた」などいかにも小説風だった。

キャラクターとしてナレーションする場合も多く、「舞いあがれ!」ではさだまさしが五島名物”ばらもん凧”としてナレーションをつとめる。

「ひまわり」では萩本欽一が犬、「まれ」では戸田恵子が魔女姫人形、「ごちそうさん」では吉行和子がぬか床に転生した祖母、「おかえりモネ」では竹下景子が牡蠣に転生した祖母とユニークなキャラとして親しみを振りまいた。

あとあと出てくる人物であることもあり、「カムカムエヴリバディ」では城田優がヒロインひなたの初恋の相手、「なつぞら」では内村光良が亡くなったなつのお父さんで物語に絡んできて盛り上げることもある。

【二宮星 (にのみやあかり)】
「カーネーション」(2011年度後期)でヒロイン糸子の子供時代を演じた俳優。成人糸子役の尾野真千子と共演しているタイトルバックも印象的で、視聴者に愛され、のちに糸子の次女役も演じた。2002年、大阪生まれ。11年経って二十歳になり、「舞いあがれ!」で朝ドラに再び出演した。

【妊娠 (にんしん)】
ヒロインが結婚したら妊娠して出産して子育てのターンになる。妊娠の兆候や出産中の苦しみの表現などがヒロイン役俳優の演技の見せ所にもなる。
つわりで、う。と口に手を当てるのは紋切り型の表現とされる。

【猫 (ねこ)】
ドラの主人公の家の周辺では猫の声がすることがよくある。姿を見せることは希でそのときは全国の猫好きが喜ぶ。レギュラー的に猫が出ていたのは「スカーレット」の大阪編など。「舞いあがれ!」では第56回、みじょかカフェの前に黒猫が登場した。
※類語:犬

【ネットスラング (ねっとすらんぐ)】
SNSで受け手から発生する言葉がある。#俺たちの菅沼 #反省会 #柏木公園 など

【年末年始 (ねんまつねんし)】
年間、毎日、月から金まで(土曜日は総集編)を放送している朝ドラだが、年末年始だけ少し一週間ほど休みになる。 通常、週5ないし6回単位で物語が構成されているが、年末だけは回数が減ることがある。「本日も晴天なり」(81 年)のアンコール放送(22年BSプレミアム)ではその週単位感を守り、あえて75回までで一旦休止し、翌週76回を放送するという当時の放送に準拠した区切りで放送した。75回と76回の間に時代が飛ぶからというのもあるだろう。 

【呪い (のろい)】
呪いという言葉がドラマで流行ったのは朝ドラきっかけではない。「逃げるは恥だが役に立つ」(16年)がきっかけ。いまや、自分を縛ることをなにかと「呪い」というすっかり紋切り型の表現となった。

朝ドラ辞典・は行

【場当たり的 (ばあたりてき)
後先のことを考えず、物事を進めてしまう人物は視聴者の格好のツッコミ対象である。
※類語:ご都合主義

【はじまり (はじまり)】
初回に主人公の未来の姿が出てくることが時折ある。子役からはじまるので本役の姿をお披露目しておくためと、未来の姿を先に見せておくことで物語の行く先を安心かつ楽しみに見ることができる。例:「おしん」、「あさが来た」
※関連語:最終回

【橋本じゅん(はしもと・じゅん)】
劇団☆新感線で、古田新太と並ぶ看板俳優。92年、朝ドラ「ひらり」の気のいい医師役で全国区の人気に。が、その後、しばらく俳優業を休んで渡英。帰国後は、再び舞台を中心に活動する。映像でも活躍し、朝ドラでは「なつぞら」「エール」に出演している。熱く人情味ある役に定評がある。「エール」ではスピンオフの閻魔様役と演出家役と2役演じ、話題になった。

 劇団☆新感線で、古田新太と並ぶ看板俳優。92年、朝ドラ「ひらり」の気のいい医師役で全国区の人気に。が、その後、しばらく俳優業を休んで渡英。帰国後は、再び舞台を中心に活動する。映像でも活躍し、朝ドラでは「なつぞら」「エール」に出演している。熱く人情味ある役に定評がある。「エール」ではスピンオフの閻魔様役と演出家役と2役演じ、話題になった。

【8時15分 (はちじじゅうごふん)】
2010年「ゲゲゲの女房」で8時はじまりになるまでは8時15分開始だった。8時開始になってから低迷していた朝ドラ人気が復活したと言われている。「舞いあがれ!」第24回はミサイルのニュースによって本放送が休止になり、翌日、第24と第25回が連続で放送された。第25回は過去のように8時15分はじまりとなった。
※関連語:8時

【初恋 (はつこい)】
初恋は甘酸っぱい経験。朝ドラでは初恋は実らないことが多い。一度失恋して、そのあとであった人と結ばれる。初恋は人生の過渡期。「舞いあがれ!」では舞はまだ初恋を知らないが、五島の一太(若林元太)が舞に初恋して、でもその思いは実らないところを担っているように見える。

【母 (はは)】
主人公を産み育てる、朝ドラには欠かせない存在。父は早逝したりだめな人だったりすることが多いことに対して、母は強く頼れる存在であることが少なくない。主人公をあたたかく見守る理解者だが、「つばさ」の母のように主人公を置いて出ていってしまうような人物もいる。また「おひさま」のように母が早逝するパターンもある。たいていはどんなことがあっても主人公の味方である。やがて主人公自身が「母」になり、「母」の心を知るのである。

【反省会 (はんせいかい)】
朝ドラファンがネットで作品批評を行うときに使う用語。かつてはこっそり裏の活動として行われていたが2022年、ネットニュースになるほど広く認知された。

【BK(びーけー)】
NHK大阪放送局の略称。日本の放送局所の呼出符号のNHK大阪放送局がJOBKだから。東京放送局はAK。朝ドラは、AKとBKが半年ずつ交代で作っている。AKが前期、BKが後期。東京と大阪では作風が違うと言われそれぞれの朝ドラのファンもいるらしい。
BKの朝ドラの場合、ヒロインほかメインの出演者は大阪に引っ越して撮影を行うことが伝統になっている。
※関連語:AK

【ヒーローもの俳優(ひーろーものはいゆう)】
朝ドラは国民的番組。ウルトラマンシリーズや戦隊シリーズも国民的番組。というつながりなのか、ウルトラ俳優や戦隊俳優が出演するとSNSが沸く。それだけ知名度があるということで、
ネットニュースのネタになりやすいのがメリットであろう。
年代的に、戦隊出身俳優は若手、ウルトラ俳優はシニア層の役でキャスティングされている。

【病院 (びょういん)】
朝ドラに限ったことではないが、ドラマでは病院、病室がよく出てくる。以前、筆者が訊いた話しだと、病室のセットはシンプルで作りやすいため、ドラマの後半、スケジュールがなくなってくると病室シーンを作りがちなのだとか。入院患者が寝ていて、見舞い客がその前に立つという画もだいたい決まっているから、撮りやすそうではある。

【病気 (びょうき)】
朝ドラに限ったことではないが、主人公が突如、倒れることは往々にしてある。病気がドラマの主題に関わる場合と、単にメリハリをつける場合とがある。前者はあざとくないように、後者は肩透かしにならないように気を配る必要がある。
※関連語:病院

【ヒロイン (ひろいん)】
主人公ですが、朝ドラの場合「ヒロイン」と呼ばれる。ヒロインはあれもこれもいろいろなことをパワフルに、やりすぎなほどやっていくことが多い。

【ピンチ (ぴんち)】
ピンチはチャンス。ピンチはドラマを盛り上げる。朝ドラではピンチになってもすぐに解決することが少なくない。たいてい翌日解決。
※類語:壁、挫折、向かい風

【夫婦 (ふうふ)】
ヒロインが結婚して夫婦のシーンが増えるのが常。食卓の会話、寝室の会話が定番。
※類語:結婚

【伏線 (ふくせん)】
重要な展開に関わることをあらかじめほのめかしてあるもの。そうとは気づかれないべきところ、近年、バレバレなものが視聴者には好まれる。フラグと混同されている節がある。本来の意味と誤解されがちな用語にはほかに「アドリブ」がある。
類語:フラグ
関連語:アドリブ

【仏壇 (ぶつだん)】
主人公の家の必須アイテム。亡くなった人と繋がる大事なもの。

【冬子 (ふゆこ)】
冬子という名前のヒロインが過去にいた。「てるてる家族」で石原さとみが演じていた。冬子の姉妹は、春子、夏子、秋子と四季の名前で統一されていた。父親が春男。朝ドラの登場人物は四季の名前がつくことがよくあって、「あまちゃん」ではヒロインはアキ。母が春子、祖母が夏。「おちょやん」ではヒロイン千代の姪が春子。「花子とアン」では嘉納伝助の娘が冬子。「あさが来た」では女中(清原果耶)がお冬。「本日も晴天なり」にも冬彦という名前が登場する。

【古舘寛治 (ふるたちかんじ)】
大阪府出身の俳優。演出も行う。一時期、ニューヨークで演技の勉強をしていた。 朝ドラでは「ごちそうさん」(2013年後期)で結婚詐欺師の役でインパクトを残す。「ちむどんどん」(2022年前期)でリニューアルオープンした沖縄料理店・ちむどんどんの客を演じた。「舞いあがれ!」(2022年後期)では舞の実家が営む町工場のベテラン職人・笠巻役。(たちは土口)

【プレミアムトーク (ぷれみあむとーく)】
「あさイチ」のコーナー。朝ドラ終わりに出演者がゲストで登場し裏話を語ることが恒例になっている。
※関連語:土スタ(土曜スタジオパーク)

【プロポーズ (ぷろぽーず)】
人生で大事な転機。たいていは男性のほうから言い出すが、「ごちそうさん」(13年度後期)ではヒロインから言った。「あなたを一生食べさせます。だからわたしを食べさせてください」(第24回)

【奉公(ほうこう)】
戦前を舞台にした朝ドラでは、奉公に出る登場人物がよく登場する。家が貧しく、家計を助けるために働きに出て、その先で苦労する。代表的なものは「おしん」(83年)。ヒロインおしんが雪がつもった真冬の川を船で奉公先に運ばれていく別れの場面は名場面とされている。奉公先では理不尽な目にあい、逃げ出したりもする。近年では「おちょやん」(20年度後期)。では、ヒロイン・千代が父に売られた先は、幸い、いい人達で充実の日々を過ごすも、年季明けに父がまた彼女を売ろうとして逃亡することに……。「あさが来た」では、ヒロインの嫁ぎ先に奉公に来ている女中が、ヒロインの夫の妾になるならないでひと悶着あった。「スカーレット」は時代が戦後で、出稼ぎ。日本の歴史を知るうえで、奉公、出稼ぎという働き方の制度は避けて通れない。
関連語:出稼ぎ

【放送休止 (ほうそうきゅうし)】
朝ドラこと連続テレビ小説は1961年から続いているご長寿シリーズ。放送時間帯(8時15分が2010年から8時に)や放送期間(月から土が2020年から月から金、土は総集編に)が変更になることはあるが休みなく続き、休むのは年末年始のみ。それが時折、休止になるのは大きな出来事が起こったときだ。

「舞いあがれ!」は第2回の放送が北朝鮮からのミサイル発射のニュースによってBS放送も本放送も休止となった(昼放送はされた)。
ミサイル発射によって休止になったのは「ひよっこ」(17年)以来。「エール」(20年)はコロナ禍の緊急事態宣言により撮影が中断したため2ヶ月半休止となった。ほかに「てっぱん」(11年)が東日本大震災で1週間休止している。

61年もの長きにわたり朝ドラが毎日規則正しく放送され続けることは平和の証に思える。
※関連語:L字放送 

【本歌取り (ほんかどり)】
過去の朝ドラのオマージュした表現が時々ある。本歌取りと言っていい。いずれにしても、対象の作品に敬意をもったうえで、新たに作り変えることである。パクリや盗作とは別次元の創作である。
※類語:引用

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