「らんまん」、「青天を衝け」「あさが来た」の名子役が活躍する<第6回>
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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第6回を紐解いていく。
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あれから3年
ヒサ(広末涼子)が亡くなって3年、明治4年、万太郎は9歳、第2週「キンセイラン」では演者は小林優仁さんに。綾は高橋真彩さん、竹雄は南出凌嘉さんになりました。たいていは子役から本役になりますが、「らんまん」ではもう一代、間にはさむ、凝った作りに。森優理斗さんと小林優仁さんの印象があまり変わらず、自然に成長を感じられます。
小林さんは大河ドラマ「青天を衝け」(2021年)で主人公・渋沢栄一の子ども時代を演じていました。聡明な少年を生き生きと演じていたので、今回も、植物に興味のある万太郎役にぴったりで、当主としての挨拶もハキハキとしっかりしています。
また、「ちんまい段々みたいな」ねじれた植物のねじれの違いに興味津々な表情がよかったです。
でもそれを綾に止められて……。もっと商家の当主らしいふるまいがあると言うのです。万太郎は一般的なところからすこし外れた独特の個性のある少年なのです。
万太郎の小林さんも人気子役なのですが、今回気になったのは、万太郎を守っている奉公人・竹雄の少年時代を演じる南出凌嘉さん。
デビューは朝ドラ「純と愛」(12年度後期)でデビュー。「あさが来た」(15年度後期)の白岡新次郎の幼少期も演じました。
子役として、「キングダム」や「糸」などの主要人物の幼少期を演じて、現在17歳。
日テレの朝ドラ的な「ZIP!朝ドラマ『泳げ!ニシキゴイ』」にも出演していました。
きりっと爽やかで月代をそった髪型もお似合いで、これからの活躍を期待したいです。
さて。時代的にも「青天を衝け」の頃と近く、江戸から明治へ、時代が大きく変わった頃の偉人の話というワクワク感があります。
先週は坂本龍馬(ディーン・フジオカ)、今週は池田蘭光(寺脇康文)という大人がまた万太郎の前に現れました。商家ながら、武家の通う学問所・名教館で学ぶことを許された万太郎はそこで池田と出会うのです。
龍馬も最初は謎の天狗として現れて、あとから龍馬とわかりましたが、池田も最初は掃除のおじさんのような気さくな雰囲気で現れ、実はーー という趣向です。第6回では正体がわかってませんが、クレジットに池田蘭光とあったのでネタバレには当たらないでしょう。
この場面でタキ(松坂慶子)の差別的な人物であることが強調されます。相変わらず本家と分家を明確に分けているし、池田を見た目で判断して雑に扱う。愚かな人間の欠点を松坂慶子さんが嫌味なく戯画化しています。
龍馬は実名でしたが、池田はモデルは伊藤蘭林という人物のようです。牧野富太郎も伊藤蘭林もモデル扱いなのに、龍馬だけは実名なのはなぜなのか。ドラマにはよくあることですが。二次創作可能な人物とそうではない人物の境界とは何なのか。ご遺族の許可的なことでしょうか。今回の事情がわかりませんが、ほかのドラマでは、ご遺族がみつからず、礼儀として勝手には描けないので、当人として描かなかったという話を聞いたことがあります。
【朝ドラ辞典2.0 モデル(もでる)】朝ドラでは偉人をモデルにした作品が少なくない。その場合、「モデル」や「モチーフ」「参考」という言い方で、当人の史実に創作を加えることが多い。「モデル」はかなり実際の人物に近いが、「モチーフ」「参考」とした場合は描写の自由度が高くなる。関連語:モチーフ、参考
(文:木俣冬)
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