「こっち向いてよ向井くん」第2話:おじさん構文を気にする赤楚衛二はここでしか見られない
ねむようこの同名漫画を原作とした赤楚衛二主演のドラマ「こっち向いてよ向井くん」(日本テレビ系)が2023年7月12日よりスタート。本作はGP帯連続ドラマ初主演となる赤楚が、雰囲気も性格も良く、仕事もできるのに10年間彼女がいない30代の男性を演じるラブコメディだ。共演には、波瑠、生田絵梨花、藤原さくら、岡山天音らが名を連ねる。
本記事では、第2話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「こっち向いてよ向井くん」第2話レビュー
10歳も年下の女の子からのアプローチにまんざらでもない表情を浮かべ、おじさんと思われないようにLINEの文面を気にする。俳優デビューから約8年、赤楚衛二がそんなサラリーマンを演じるなんて誰が予想しただろう。いつもなら愛おしく感じるその一挙手一投足に「あちゃー」となってしまう、ある意味新鮮なドラマ「こっち向いてよ向井くん」が今夜も開幕した。会社の後輩・真由(田辺桃子)に好かれていると盛大な勘違いをかましたが、それはそれとして久しぶりに恋のスイッチが入った向井くん(赤楚)。自称くるぶしより理想が低い男・向井くんだが、ここでホントにホントに?という疑問が湧いてくる。
向井くんが未だに心の中で語りかけてしまうほど、相当好きだった元カノ・美和子(生田絵梨花)は同性から見てもかなりモテそうだ。前回好きになりかけた真由だって、本人は意識していないかもしれないが何もかもが男ウケ抜群。極め付けには、アン(久間田琳加)である。彼女は元気(岡山天音)が営むスパイスバーのアルバイトで、向井くんより10個も年下。だけど、突然飲みに行った帰り道でキスされたことで向井くんはアンを意識し始めるのだった。
「アンちゃんって、自分で自分が可愛いことに気付いてるけど自然体を装ってる感じの馴れ馴れしい若い子?」
麻美(藤原さくら)のその一言に、それだー!と思わず叫びそうになった。向井くんが心を奪われる女の子に共通するのはきっとそれだ。自分で自分が可愛いことに気付いてる。そういう子の何が強いって、自分に自信がなかったら、ちょっと遠慮しがちな言動を自然とできること。美和子がもこもこのパジャマを着て彼氏の前でアイドルのダンスを踊れるのも、真由がピョコって可愛く登場できるのも、自分のことが好きかわからない相手に突然キスできるのも、ある程度の自信がなければできないのだ。
それが悪いことだとは思わない。だけど、そのいわゆる“あざとさ”に向井くんはとんでもなく弱い。恋愛迷子だけど、顔良し、雰囲気良し、仕事ができる向井くんなのだ。きっとこの10年間に、密かにいいなと思っていた女の子はいるはず。だけど「向井くんモテそうだしな」と控え目にしかアピールできなかった女の子の好意には全く気がつかなそうだし、そのうち向こうが脈なしと判断して消えていった恋はいくつもあったのではないか。
これは全て予想だけど、向井くんが雰囲気に流されやすいタイプだということは分かる。マッチングアプリでプロフィール文を一切見ず、写真の雰囲気で
右にスワイプしまくる向井くん。「みんな欲しいものは欲しいと願っている」と洸稀(波瑠)にアドバイスされていたが、彼はそのスタートにすら実はまだ立っていない。
向井くんはまだ自分が欲しいものが分かっていないのだ。だから自分に自信があって、素直に欲しいものを欲しがれる女の子の行動に流されていってしまう。理想が低いとか言いながら、可愛い子ばっか好きになっているように見えるのはそのためだろう。
結果的にアンちゃんとは、メッセージの頻度も、会う頻度も、お泊まりするタイミングも何もかも合わなかった。アンちゃんの好意は勘違いじゃなかったけど、向井くんはそれに応えられるほどの思いを彼女に持てなかったのである。
それなのにアンちゃんの好意を無下にはできず、必死にそれに答えようとした向井くん。好きじゃないのにとりあえず手を出して、後から付き合うほどではなかったと言い出す男よりはよっぽど誠実だ。だけど、そこに愛はあるんか? 延々と続くメッセージのラリーに君は一生ついていけるのか? どんなに仕事が忙しくても相手が満足するまでハグしていられるのか? そういう一つひとつの問いに向井くんは向き合うことができなかった。それが今回の残念ポイントだ。
何もしないでただ好きになれる日を向井くんが待ち続けている間に「2分でないなら永遠にない」とアンちゃんは別の男性に気持ちをシフトしてしまう。ショックのあまり、「今日は一緒にいてくれませんか」と洸稀にすがる向井くん。やれやれと思っていたのに、急にそんな可愛らしい姿見せるなんてズルい!ちっともキュンとしてなさそうな洸稀もすごい! この二人、付き合ったら結構うまくいきそうな気がするのだが、ダメなのだろうか。そう思いつつも、洸稀が思いを寄せている環田(市原隼人)のような手慣れた感じを思い出して、今のところはないな……と勝手に肩落とした第2話だった。
(文:苫とり子)
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