<どうする家康 関ケ原・徳川幕府編>40話~の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第48話(最終話)ストーリー&レビュー
第48話のストーリー
▶︎「どうする家康」の画像をすべて見る家康(松本潤)は豊臣との決戦に踏み切り、乱世を終える覚悟で自ら前線に立った。家康の首をめがけ、真田信繁(日向亘)らは攻め込む。徳川優勢で進む中、千姫(原菜乃華)は茶々(北川景子)と秀頼(作間龍斗)の助命を訴えた。だが家康が下した決断は非情なものだった。翌年、江戸は活気に満ちあふれ、僧・南光坊天海は家康の偉業を称え、福(のちの春日局/寺島しのぶ)は竹千代に“神の君”の逸話を語る。そんな中、家康は突然の病に倒れる。
第48話のレビュー
家康は神か、狸か、それとも。豊臣と徳川、決戦の時がついに訪れた。大坂夏の陣。
しかし、堅牢だったはずの大坂城は堀を埋められ、丸裸状態。豊臣と共に戦った武将たちも次々と討ち死にしていく。
家康(松本潤)の陣には真田信繁(日向亘)が突っ込む。乱世の亡霊たちをみな連れて死んでいく。そう言った家康だが、もはや死ぬことを待ちわびていたようにも見える。
勇猛果敢な信繁も討ち死にし、大坂城からは火の手が上がる。茶々(北川景子)と秀頼(作間龍斗)は腹を括っていた。千姫(原菜乃華)だけを徳川に返し、自分たちは大坂城で死ぬつもりだった。
千姫は抗う。自分は豊臣家の人間、逃げるなら秀頼と茶々と一緒でなければ、と。秀頼たちはそれを許さない。千姫を愛しているから。千姫も秀頼と茶々を愛しているから受け入れられない。
徳川の陣に連れられてきた千姫は家康に向かって頭をこすりつける。茶々と秀頼を助けてほしい、と。
秀頼は前途ある若者。自分だけではなく、慕っている者が多くいる。
家康は首を横に振る。戦とはそういうもの。そして前途ある若者ならなおさらだ。何より、茶々と秀頼が死ななければ、この乱世は終わらない。
炎に包まれた大坂城。そこで秀頼が腹を斬り、武将たちも次々と自害する。ひとり残った茶々。炎の中にいるその姿は美しく、悲しい。最期に紡ぐ言葉は、重い。
「日ノ本か。つまらぬ国になるであろう。正々堂々と戦うこともせず、万事長きものに巻かれ、人目ばかりを気にし、影でのみ妬み嘲る。優しくて卑屈なかよわき者たちの国に」
その言葉に胸が痛む。何か、現代に問いかけているような。
強い口調で言い、怒りをにじませるが一転、見上げ、言う。
「茶々はようやりました」
「ようやった」と彼女を迎え抱きしめてれる存在がいることを願ってやまない。
かくして、平和な世が訪れる。
平和な世が続くためにはなさなければならないことが多い。それらの役目は少しずつ次の世代へと引き継がれていく。
また、南光坊天海によって家康の功績を後世に残すための書が作られていた。天海を演じるのは昨年、「鎌倉殿の13人」で北条義時を演じた小栗旬だ。事前にサプライズ出演として発表されていたが、なるほど、言われていないと分からなかったかもしれない……。
「吾妻鏡」と「源氏物語」を手に取り、ある種、大河と大河をつなぐ役割を果たした。そんな天海のセリフは「かの源頼朝公にしたって、実のところはどんなやつか分かりゃしねぇ」。
いや本当にねぇ……と遠い目をしてしまう(昨年は何度「全部頼朝のせいだ」と思ったことか)。
そして家康には最期の時が近づいていた。
一方では神の君と崇め奉られ、一方では狸とそしられる。どちらにせよ、恐れられ、怖がられていることは間違いない。人非ざるものだから。阿茶(松本若菜)はそんな家康の人生を幸せだったのだろうか、と慮る。
家康は自分の人生を振り返ったときに、何を思っていたのだろう。この物語の中での家康は決して幸せなものだったとは思っていなかったはずだ。
そんな家康のもとに訪れたのは瀬名(有村架純)と信康(細田佳央太)だ。ある意味、家康の「始まり」ともなったふたりが家康の人生を肯定する。自分の跡を継いでいく者たちが鎧を着て戦に出なくて済む世を作った。それは何よりの功績だ。そして瀬名が望んだ世だ。
夢か現か、家康が見るのはかつて家臣たちと過ごした時間。信康と五徳の祝言の日だ。信長(岡田准一)から贈られた鯉がいなくなり、大騒ぎする家康と家臣たち。でもみんなで大笑いして、えびすくいを踊って。きっと、家康が一番楽しかった時なのだろう。
乱世を生き抜き、恐れられた家康はひとりで床に臥せっていたが、彼を笑顔で待っている者たちがたくさんいる。
どうする、と問いかけられ続けた家康の人生の答えが、そこにはあった。
※この記事は「どうする家康」の各話を1つにまとめたものです。
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(C)NHK