「どうする家康」第47話:乱世は化け物しか生まないのか。
2023年1月8日放送スタートしたNHK大河ドラマ「どうする家康」。
古沢良太が脚本を手がける本作は、弱小国の主として生まれた徳川家康が乱世を生きる姿を描いた波乱万丈エンターテイメント。大河ドラマ初主演となる松本潤が、従来のイメージとは異なる「ナイーブで頼りないプリンス」の家康に扮する。
本記事では、第47話をCINEMAS+のドラマライターが紐解いていく。
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「どうする家康」第47話レビュー
乱世も、佳境へ。家康(松本潤)が大阪城に大筒で攻撃を仕掛けた。豊臣家が受けた打撃は大きい。
長引くかと思われた戦は和議へと進む。
和議は家康の側室・阿茶(松本若菜)と茶々(北川景子)の妹・初(鈴木杏)によって進められた(そして初の後ろに控える大竹しのぶ演じる大蔵卿局。突然の登場に二度見した)。
秀頼(作間龍斗)が大坂に留まることと引き換えに、大坂城の堀は埋めることに。難攻不落と言われた城は、これで丸裸の状態だ。
しかし、これで平和がやってきた、というわけではない。大坂城には荒武者たちが集まり続け、いつなんどき戦が起こるか分からない。
何年も続いた乱世。乱世でなければ生きていけない。そう思う者たちも少なくないのだ。
堀も埋められ、豊臣に勝ち目はない。それでも茶々が天下をとること……家康にこだわるのはなぜなのか。
紐解かれていくのは、茶々の心のうち。
寧々(和久井映見)は言う。親の仇の男の側室になり、子どもを産み、家を乗っ取った。
頭のいい茶々があそこまで意地を張るのは家康のせいではないか……。
そして、初と江(マイコ)も茶々を止められるのは家康だけだと言う。
茶々は家康を憎んでいた。どうしてそこまで憎むのか。母を助けにきてくれなかったからなのか。
それもある。が、同時に、母が慕っていた家康のことを茶々も慕っていたのだ。母を助けに来てくれなかった。つまりは自分のことも助けに来てはくれなかった。
裏切られたという気持ちが膨らみ、憎しみへと変わる。
愛情から憎しみに変わった心は重い。今の茶々を作ったのは家康だったのだ。
家康は茶々に手紙を書く。
茶々を乱世に引きずり込んだのは自分。乱世の生き残りを根こそぎ連れて滅ぶ覚悟がある。
一方で秀頼を生き延びさせることが母の役目だとも説く。かつて、母であるお市がそうしたように。
茶々が解放すれば、秀頼は自由になれるのか……。
茶々も一旦は決意をしたが、秀頼の自由など、とっく存在していなかったのだ。秀頼は茶々が育てた。家康を憎むように。乱世を生きるように。秀頼の心のままに、と決断をゆだねるが、秀頼は家康との戦いを選ぶ。
茶々の言葉が全てであった秀頼が、違う道を選ぶことなどできない。
織田家と豊臣家の血を引いた秀頼こそが乱世の最後の生き残り。
そして、ある意味、家康がやってきたことのツケがここで回ってきた、とも言えるではないのか。
弱虫で泣き虫で、なかなか判断が下せずに手遅れになったこともたくさんあった。そんな家康の行動が、乱世を引き延ばしていたのか、とも思う。
誰よりも戦のない世を望んでいたはずなのに。でも、望んではいたけど、自分のそんな世を作ろうとはなかなか決意ができなかった。
今の彼にできることは、茶々に伝えたように乱世の生き残りを連れて死ぬことだけ。
もう、新しい世は目の前。
戦国の世を生き抜いてきた者たちの最期が近づいている。
(文:ふくだりょうこ)
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