「ブギウギ」スズ子と愛子が仲直り<第116回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第116回を紐解いていく。
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みんないい子
「まさか犯人が愛子ちゃんのお友達のお父さんだったなんてねえ」(麻里〈市川実和子〉愛子(このか)の誘拐未遂犯・小田島(水澤紳吾)が捕まって、息子の一(井上一輝)は親戚の家に引き取られ、早々に転校していきました。
保護者が犯罪未遂を犯したとあっては、学校にも居づらいことでしょう。誰も事情を知らないところで再デビューしたほうがいい。
ショックなのは愛子です。せっかくできた友達があっという間にいなくなり、しかも、その父親が自分を誘拐を計画していたとは……。
冷静に考えると、小田島は誘拐する気はなくて、脅してお金をとりたいだけだったのでしょうけれど。それにしても杜撰な犯行でした。
愛子に、スズ子より小田島のほうがマシと、悪者にされてしまったスズ子がたまらず、
羽鳥夫婦に相談にいきます。
麻里が同じ母の立場からスズ子を慰めます。こういうとき、羽鳥(草彅剛)は役に立ちません。
でも帰りがけ、スズ子が「わては……わてが歌うことで お客さまに楽しんでもろたり 少しくらい力になったりせえへんかなという気持ちがどっかにあったんです。わての歌を聞くことで なんぞ辛いことがあったらつかのま忘れてくださいねって」と思っていたけれど、小田島父子の貧困に自分の歌は役に立たないと痛感したことをおずおずと述べます。
すると、羽鳥は答えます。
「〜しょせんは余裕のある人間が作って余裕のある人間たちが楽しんでいるだけじゃないか、そんなふうに思ってしまうことが僕にもあるんだ」
ただ、羽鳥は「僕程度の作曲家はね、ちょっとでもお客の暇つぶしになればいい。なんて思うこともあるよ」と本音をつけくわえました。
スズ子はこれまで、おミネ(田中麗奈)やタイ子(藤間爽子)の生活の苦労を目の当たりにしてきていますが、そのときは彼女の歌で力になれた、ひまつぶしにでもなれた、と思ってきたのでしょうか。
実際、歌がヒットして、たくさんの人達が楽しんだからこそ、豪邸を建てることもできたわけで、自分の歌が役に立った証が、裕福になったことだと思っていたのかもしれません。
それが今回、その裕福さに目をつけて、食い詰めた貧しい者が脅迫してきたことで、ようやく世界を俯瞰して見ることができたということでしょうか。気づかないよりは気づいたほうがマシだけれど……。
スズ子は拗ねている愛子のために、高橋(内藤剛志)に頼み込み、一と愛子を会わせることにします。
このとき高橋が、実は福来スズ子のファンであったことを明かし、警察手帳にサインを頼みます(3枚分も)。
人情派刑事、趣味も庶民的でありました。そして、仕事中は個人的趣味を決して出さない生真面目さ。でも、スズ子の頼みを聞くから、その代わりサインをねだっているみたいにも見えて、それはカツ丼のくだりよりもいかがなものかという気もしないではありません。
結局、福来スズ子ブランドで物事を動かしたようにも見えてしまうのが少し残念な気がしましたが、世の中、結局、そういうものなのかもしれません。
高橋に連れられて、一は愛子に会いに来て、愛子のモヤモヤも晴れました。
一と愛子の幼い純粋さには、いやなところが一切ありません。
「みんないい子」で一件落着。
今朝は「あさイチ」に趣里さんがプレミアムトークでゲスト出演。
いよいよあと2週を残すのみとなりました。
「家族も音楽もどちらも一番」な「欲張り」と麻里にいわれたスズ子。「悩んだりしながら生活して歌い続けていくしかないと思うわ」とも言われます。
最後まで、その生き方を貫けるでしょうか。
(文:木俣冬)
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(C)NHK