「ブギウギ」スズ子のりつ子のモノマネがうまかった<第123回>
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2023年10月2日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「ブギウギ」。
「東京ブギウギ」や「買物ブギー」で知られる昭和の大スター歌手・笠置シヅ子をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。歌って踊るのが大好きで、戦後の日本を照らす“ブギの女王”となっていく主人公・福来スズ子を趣里が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第123回を紐解いていく。
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引退会見を決意
スズ子(趣里)の引退発言がさまざまな波紋を呼びます。が、感情的になったタケシ(三浦撩太)はすぐに反省し、謝罪に来ました。
どこでも長続きしなかったタケシはスズ子の歌に励まされ、成長したこと。それは自分だけではなく、日本中の多くの人たちがそうだったこと。だから、このままフェードアウトするのではなく会見を開いて挨拶した方がいいと提案します。
珍しくタケシが役に立ちました。
流されやすくお調子者ではありますが、悪い人ではないのです。
そして、スズ子は引退会見の場へーー。
最終週なので、これまで描ききれなかったけど、描いておきたかったことがここぞとばかりに描かれます。
最たるものがスズ子と羽鳥(草彅剛)の関係です。
第123回で、スズ子に歌を辞めさせないと激昂した羽鳥。いつもご陽気な彼がそこまで感情的になるというのは、それだけスズ子が特別であるということです。
スズ子にとって羽鳥は師匠で、家族ぐるみで彼女を大事にしてきたわけですが、一時期、それ以上の関係を疑われて記事にされたこともあったほどです。
でも、スズ子と羽鳥に関しては、ほぼ、常に麻里(市川実和子)が立ち会っていて、状況を把握してきているので、変な疑惑が沸く要素がありません。風通しのいい関係なのです。
スズ子が会見を決め、再び羽鳥家に訪れると、拗ねた羽鳥は外出していました。
そこで、スズ子は改めて麻里と語り合います。
麻里は冗談まじりに、スズ子と羽鳥の関係に「やきもちを焼いてしまいそう」と明かします。
何もないのはわかりつつ、それでも自分が入っていけない領域があるのは面白いものではありませんし、不安を感じることもあるでしょう。それを溜め込んでしまうとドロドロしてしまいますが、ここでこういうふうに言えることでスッキリ。
そういうふうに言えるのも、スズ子の人間性でしょう。湿っぽさとか狡さみとか、裏の顔がなく、信頼できる人なのです。
家を開けた羽鳥はりつ子(菊地凛子)に例の喫茶店で会っていました。
彼もまたタケシと同じく、言い過ぎたことを反省しています。
いつもは麻里に助言をもらっている羽鳥ですが、音楽に関することは彼女とは分かち合えないため、りつ子に話を聞いてもらったのでしょう。
りつ子はすでに羽鳥の絶縁宣言をスズ子から聞いていました。りつ子はスズ子の悩みも聞いてあげていたのです。誰よりも孤独に生きているようで、誰よりも親切なのがりつ子であります。
そして、りつ子は羽鳥とスズ子の誰にも介入できない特別な存在を強調する役割を果たします。
りつ子も麻里も、羽鳥とスズ子が苦しめばいいと、からりとした嫉妬を滲ませました。
今日の注目ポイントは
◯喫茶店のりつ子の相変わらず派手なファッション。
◯スズ子がりつ子のモノマネをしたこと。
◯りつ子が「私は歌い続ける」と宣言した場面の劇伴が「別れのブルース」のインストだったこと。名曲。その後、羽鳥のことを思って、羽鳥のシーンに切り替わると、「東京ブギウギ」をピアノで弾いていること。その旋律がまたいい。わずかな時間ながら素敵な音楽劇になっていました。
(文:木俣冬)
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