「虎に翼」寅子無双。穂高(小林薫)がわざわざ寅子に謝罪に来る<第70回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となる“とらこ”こと猪爪寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第70回を紐解いていく。
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親権問題も解決
穂高(小林薫)に啖呵を切った翌日、寅子(伊藤沙莉)のもとへ、穂高が謝罪に来ました。穂高、一晩中、考えたのでしょうか。古い人間である穂高とは違って、既存の考えから飛び出し人々を救うことができる寅子を、「心から誇りに思う」と言います。令和における「リスペクト」を、穂高も身につけました。すばらしい。
そうそう、寅子はこういうのを待っていたのでしょう。
ようやく寅子は、尊属殺の反対意見を読んだことを伝えて、「先生の教え子であることは心から誇りに思っています」と返します。でも、昨日の穂高のお別れ回に水を差したことは決して謝りません。なんて尊大な人なんだ寅子。
穂高は無理してここまで来たようで、もう立っているのも辛いのでしょう、椅子に座り、「よかった、最後に笑ってすっきりした顔でお別れできそうで」と弱々しくほほえみます。
そして、最後に言った言葉がこれ。
「佐田君、気を抜くな。君もいつかは古くなる。つねに自分を疑い続け、時代の先を歩み、立派な出涸らしになってくれたまえ」(穂高)
穂高は最大限、これからの寅子のために折れに折れました。でも「雨だれ」理論は曲げていません。言い方を変えただけです。寅子はいまの自分を誇りに思ってもらって嬉しいので、いつか自分も「出涸らし」になる――雨だれをお茶に例え変えただけなのに、気に障らないのです。
穂高にしてみたら、女性が活躍できなかった時代に、法曹界に単身乗り込み、男性ばかりのなかでよくやってるとは思うものの、実績がないのだから、褒めようもなかったのではないかと思うのです。
そこが、現実的な実力主義でしょう。
寅子は穂高に認めてもらえ気を良くして、親権問題に取り組みます。
ここまで口を閉ざしてきた栄二(中本ユリス)に、両親にこだわる必要はない、両親に任せたくないと言います。すると、栄二は「どっちとも暮らしたくなかったら」と口を開き、父の姉・勝枝(小林美江)の名前を出します。
子供が頼る相手は親である必要はない、という寅子の画期的な考えによって、親権問題は解決しました。そのとき、家事部と少年部が協力したとナレーション(尾野真千子)。
その頃、穂高先生は亡くなります。法曹界のラウンジではなく、なぜか竹もとで、教え子たち(久藤、多岐川、桂場、寅子)が集まり語り合います。
桂場(松山ケンイチ)はかなり酔っていて、それだけ穂高が好きだったことが伝わってきます。
穂高イズムを継いでいくのだと酔いながら語る桂場。その穂高イズムとは。
寅子「理想のために虎視眈々です」
桂場「寅子が虎視眈々?」
そのあと、桂場や寅子が感動した穂高の尊属殺事件への反対意見が、小林薫さんの声で読み上げられます(落ち着いた名調子)が、そこには「理想のために虎視眈々」は入っておらず、穂高がこの一文を書いたかはよくわからないのですが(筆者が見逃しているかもしれません)、もしそう書いたとしたら、寅子のことを思って書いたラストメッセージのような気もします。
こんなに期待されているのだから寅子、がんばらないと。
(文:木俣冬)
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