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2024年07月05日

1度(くらい)は観ておきたい「サメ映画」5選<『温泉シャーク公開』&東京国際サメ映画祭間近>

1度(くらい)は観ておきたい「サメ映画」5選<『温泉シャーク公開』&東京国際サメ映画祭間近>


3月に開催された米アカデミー賞で『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を、『君たちはどう生きるか』が長編アニメ賞を受賞し、日本映画が底力を見せた。しかし、日本映画でも他国に後れをとっているジャンルがある。

そう、「サメ映画」だ。

そんな日本において、7月5日公開の井上森人監督作『温泉シャーク』がSNSで注目を集めたり、「第1回東京国際サメ映画祭2024」(7月12~15日)が開催されるという事実。日本国民がサメ映画を渇望している、何よりの証拠といえるだろう。

もしもあなたが「サメ映画って観たことないんだよね」と言うのなら、乗るっきゃない。このビッグウェーブに。そこで今回は、人生で1回は……いや1回くらいなら観ておくべき、サメ映画5作品をご紹介したい。

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関連記事:夏だ!ビーチだ!サメだ!<夏に観たいサメ映画“5選”>

1:『ビーチ・シャーク』

■海にいればいいじゃんとツッコんだら負け

(C)Remember Dreaming, LLC 

近年のネタ系サメ映画は「いかに意外な場所にサメを出現させるか」が腕の見せどころであり、サメ映画ファンもどれだけ意表を突かれるか楽しみにしているはず。『ビーチ・シャーク』はタイトルが示すとおり、水中だけでなく砂の中まで泳げるように進化したサメが登場する作品だ。

ただ生命の長い長い歴史を振り返ると、せっかく進化するなら陸に上がる道を選べばよかったのではないか……なんて疑問が浮かんでしまう。自重を支えるためだったり、捕食のためには姿を隠していた方が都合がいい、というサメなりの考えがあったのだろうか。

──いや、そんな真面目に考えるのはよそう。いずれにしても、背びれが砂をかき分けて突き進む姿はシュールだが、なかなかインパクトはある。砂の中をサメが泳げるのかという圧倒的な疑問に対し、現実的であるかは別としてサメ科学者がご丁寧に解説するシーンもあるので生き物クラスタはしっかり耳を傾けてほしい。

(C)Remember Dreaming, LLC 

本作はビーチ・シャークの出現に警鐘を鳴らす主人公側と、なんとしてでもビーチでフェスティバルを開催したいがために警告を無視する主催者側という、ある意味では『ジョーズ』と同じ対立構造をとっている。

そして地中を捕食者が突き進む映画といえば“陸版ジョーズ”との呼び声も高い『トレマーズ』が思い浮かぶが、本作はまさに『ジョーズ』と『トレマーズ』を足して2で割ったような、味のあるサメ映画なのだ。

▶︎『ビーチ・シャーク』を観る

2:『ゾンビシャーク 感染鮫』

■ありそうでなかったサメとゾンビのマリアージュ

(C)LOST ISLAND, LLC. 2014

ゾンビシャーク 感染鮫』に登場するサメは、なんと海の中を泳ぎ回る。…… サメとして当然のことを言っているだけなのに、なぜこんなに安心感を覚えるのだろう。しかし、残念ながらただのサメ映画では終わらない。なぜなら“ゾンビ”シャークだから。

舞台は風光明媚な観光地レッドプラム島。とはいえ画面映り的にはそれほど美しい光景が広がっているようには見えず、むしろ海上に建つ無機的な政府の研究施設の方がよっぽど絵面にしっくりきている。そしてこの施設がなかなかの曲者。負傷兵の回復のために細胞を再生させる研究が行われており、ヒトと体内器官が似ている(そうなの?)という理由からサメが実験台に使われていたのだ。

(C)LOST ISLAND, LLC. 2014

そして、どこかで聞いた覚えのある「ブルース」と名付けられたサメが施設から逃げ出すのは既定路線。序盤からメインキャラも含めてサクサクと人の命が散っていく。それもそのはず、突然変異でゾンビ化したブルースに噛まれたサメもゾンビシャークとなり、さらにはゾンビシャークに噛まれた人間までゾンビ化しているではないか。

サメはゾンビじゃなくても噛まれたらアウトだろう、などと細かい点はさておき。海と陸どちらもゾンビだらけの島で誰が生き残るのか、本作は従来のネタ系サメ映画であると同時に、サバイバル映画としても楽しめる──かもしれない。

▶︎『ゾンビシャーク 感染鮫』を観る

3:『セーヌ川の水面の下に』

■彗星の如く現れたフランス産サメ映画の快作!

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前述のとおり、いまや大海原どころか雪山や宇宙、さらには自宅トイレにまで現れるようになった映画の中のサメたち。もはや人類に逃げ場はない状況だが、意外や意外、そんなにひねくれた場所でなくても大都市・パリを流れるセーヌ川に現れるだけでも十分面白い。

日本でも劇場公開された、R-18指定バイオレンス映画『FARANG/ファラン』のザヴィエ・ジャン監督が手掛けた本作。ストーリー自体は至ってシンプルで、海水に生息するはずのサメが淡水に適応し、国際トライアスロン大会を控えたセーヌ川まで遡上して……という展開だ。

主人公のソフィアは、かつて“太平洋ゴミベルト”にいたサメに夫を含めた仲間たちを殺された悲惨な過去を持つ。そのサメが巨大化してセーヌ川に出没し、警察だけでなく環境活動団体まで乱入しての追跡調査がスタート。しかしトライアスロン大会を成功させなければいけないパリ市長やサメを保護したい活動家の思惑が絡み合い、事態は悪化の一途をたどっていく。



本作はハリウッド映画とは一味違う、フランス映画ならではの強烈な皮肉もエッセンス。海洋汚染も含め、人間の身勝手な判断・行動が常に物語を悪い方へ悪い方へと作用していく様は自業自得というしかない。

そんなフランス産サメ映画がたどり着くのは、まさに唖然茫然のクライマックス。驚愕のラストシーンからエンドロールに至るまで、「こんなサメ映画観たことない!」と思わず快哉を叫びたくなるはずだ。

▶︎『セーヌ川の水面の下に』を観る

4:『ディープ・ブルー』

■問答無用、楽しんだもん勝ちのサメ映画


今回ピックアップしたサメ映画の中では、最もメジャーな作品になるだろう。本作を手がけたのは、『ダイ・ハード2』や『クリフハンガー』といったヒット作を放ってきたレニー・ハーリン監督。おかげでサメ映画なのに大爆発を含めた派手な画作りが多く、一歩間違えればネタ系サメ映画になりかねないところを、絶妙なバランス感でA級作品に仕立てている。

本作は(一応)真っ当なサメ映画ながら、大海ではなく海上の研究施設内が舞台。アルツハイマー病の特効薬を作ろうと思って原材料のアオザメのDNAを改良したら頭が良くなってしまいました!ついでに殺戮ゲームも始めてしまいました!という、見事なまでの因果応報的展開が施設内で繰り広げられることに。



サメはあくまで水中にいるが、浸水した施設内でいつどこから姿を現すかわからない緊張感も本作の持ち味。さらにサメ映画の中でも残虐描写をしっかり描いた作品であり、たとえばブチっと食いちぎられた下半身が水中でびくびくと痙攣しながら漂うカットは悪趣味この上ない。

そして本作最大の見せ場?は、なんといっても映画好きの間で語り草となった某俳優演じるキャラクターの演説シーンだろう。絶望的な状況に追い込まれながらも仲間を鼓舞する力強いメッセージは、きっとあなたの心にも響くはず。それだけに、その演説と「彼」の行く末をしっかりと目に焼きつけてほしい。

▶︎『ディープ・ブルー』を観る

5:『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』

■ニンジャ×呪術×巨大ザメ!

(C)2022 REMOW

『ニンジャVSシャーク』というタイトルを見て、思わず「どこの国のパチモンサメ映画だ」とツッコミを入れたくなるかもしれない。いや、歴とした日本映画だ。「ウルトラマン」シリーズや「仮面ライダー」シリーズなど、数多くの特撮ヒーロー作品を送り出してきた坂本浩一監督が満を持して世に放った、数少ない和製サメ映画だ。

本作のストーリーは、江戸時代まで遡る。邪教集団・紅魔衆の螭鮫士郎が不老不死の力を得るべく真珠が採れる沖津村に狙いを定め、呪術でサメを操り住人たちを恐怖の渦に陥れていた。村長から助太刀を依頼された用心棒の潮崎小太郎が沖津村へ向かうも、女忍者・菊魔が行く手に現れ──。



タイトルの時点でB級映画感をモロ出しにし、中身もなかなかぶっ飛んでいるのはこの手のジャンルのお決まりというべきか。さすが坂本監督作品だけあってアクションシーンはかなり力が入っており、正直なところ「サメ出てこなくてもよかったんじゃないか」と思わなくもなかったり。

特に『ウルトラマンZ』で主演を務めた平野宏周演じる小太郎と、女優で格闘家の宮原華音演じる菊魔(実はこじらせ系くノ一)のファイトシーンは見応えたっぷり。和製サメ映画にして本格アクション映画ファンにプッシュしたい作品でもある。

▶︎『妖獣奇譚 ニンジャVSシャーク』を観る

まとめ

古今東西各地に散らばるサメ映画。『ジョーズ』の特大ヒットで巻き起こったムーブメントは、『シャークトパス』や『シャークネード』といった作品の登場によって新たなステージに突入した。それらのタイトルが映画ファン以外にも浸透している状況から、日本でもサメ映画が市民権を得ているのは間違いないだろう。

もちろんネタ系サメ映画だけでなく、ブレイク・ライブリー主演の『ロスト・バケーション』やシリーズ化を果たした『海底47m』といった正統派サメ映画も数多い。もはやなんでもありのサメ映画がこの先どこへ向かうのか、筆者も映画ファンの端くれとして、しかとこの目で見届けたい。

(文:葦見川和哉)

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