「虎に翼」のどかの恋人のキャラが強烈。スーツにロン毛で金八先生?<第119回>
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2024年4月1日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「虎に翼」。
日本史上で初めて法曹の世界に飛び込んだ女性をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。困難な時代に生まれながらも仲間たちと切磋琢磨し、日本初の女性弁護士となるヒロイン・寅子を伊藤沙莉が演じる。
ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。今回は、第119回を紐解いていく。
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自分の道を進む
第118回から一転、ほのぼのホームドラマふうなはじまり。寅子(伊藤沙莉)が帰宅すると、のどか(尾碕真花)が交際相手でロン毛の吉川誠也(松澤匠)を家に連れてきたところで、でも玄関先で躊躇しています。
居間では、優未(川床明日香)と航一(岡田将生)が深刻な顔で話をしていました。そのまま玄関先で、ふたりの話を朝ドラ名物・立ち聞きすることになる寅子、のどか、誠也。
第118回で優未が寅子に話そうとして話せなかった、大学院をやめたいということを、航一に相談します。
寄生虫の研究をこのまま続けても、男女問わず席は少なく、このままでは好きな研究が嫌いになってしまいそうだというのです。
航一は9年頑張ったのだからもったい、諦めないほうがいいと助言しますが、そこに寅子が割って入ります。「航一さん、黙って」と。
かつて穂高(小林薫)は寅子が妊娠しても無理して働いて倒れたとき、しばらく子育てに専念したほうがいいと助言し、寅子を憤慨させました。
今回は、航一が、道を諦めるなと言っても、それもだめなのです。
つまり、本人が決めることを、他人が介入してはいけないということ。
たとえ、ゆく先が地獄であっても、本人が選ぶべきであるということは正論だし、じつはとても大変なことでもあります。結果がどうあれ、誰のせいにもできないから。あのひとが言ったのに〜とは言えません。
「努力したすえに何も手に入れられなかったとしても立派に生きている人たちを知っています」
という理想論を、航一は、抽象的で情緒的だと感じます。確かに。
航一は現実的で、勉強を続ければ何かしら職につけると思っているのでしょう。
「この年齢で何者でもない彼女に社会は優しくない」と「この年齢で」「何者でもない」とわりと差別的なことを言います。悪気はなく、彼もまた穂高の道を歩んでいるのがわかります。
ただ聞いてほしいだけなのに意見を言われることがいやだという考え方は、ネットでもしばしば話題になります。相談される側が気をつけないといけません。男女問わず「傾聴」が大事です。
寅子の話を聞いた、のどかと誠也はたちまち影響されます。
ほんとは、絵を描いている誠也は芽が出ないので、諦めて就職し、のどかと結婚することにしましたが、
やっぱり、絵を描くことを辞めないことを決め、のどか自身は結婚や出産に興味がないので、このままつきあうだけでいいと考えます。
「自分の人生を自分のためだけに使いたい」これはなかなかパワーワードです。
(のどか)
人、それぞれ、いろんな生き方があることを、星家の人々が体現します。
寅子と航一は事実婚、のどかは結婚も子供も興味ないが結婚。優未は自分探し。
誠也は長髪にスーツを着てきています。それが金八先生のようだとSNSで言われていました。
たぶん、ふだんスーツは着ないけれど無理して着てきたのでしょう。まったく似合っていません。
就職しようとは思ったけれど、髪の毛はまだ切れなかったのでしょう。自分のアイデンティティーとして。
いや、でも、せめて束ねてすっきりさせても良かったのでは。70年代のロン毛=アーティストの記号化過ぎ。
結局、優未は大学院を中退し、自分がキラキラできる道を考え中。
急に歌を大きな声で歌ったりして。キャラ変?
本気で浮かれているのか、大学院を辞めても楽しいと強がっているのかは不明です。
ホームドラマと並行して、リーガルドラマのほうでは、少年法の改正が行われているところ。
桂場(松山ケンイチ)は公害問題に取り組んでいます。未成年や公害に苦しんでいる人たちに法律がうまく機能するように、寅子や桂場が奮闘していただきたい。まずは優未やのどかのようにいろんな選択をできる余裕のある人たちばかりではないので、余裕のない人たちのためにいい社会にしてほしいものです。いやそれは政治の問題か。
(文:木俣冬)
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