続・朝ドライフ

SPECIAL

2024年11月07日

「おむすび」おじいちゃん(松平健)、「合鍵」の言葉にピクリとなる【第29回】

「おむすび」おじいちゃん(松平健)、「合鍵」の言葉にピクリとなる【第29回】


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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第29回を紐解いていく。

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歩と結が和解

こじれた関係がじょじょにほぐれていく回。

米田家にたずねてきた佐々木佑馬(一ノ瀬ワタル)は、歩(仲里依紗)のマンションに合鍵で入り、母(麻生久美子)の年賀状の住所を頼りにここまでやって来たと語ります。
それを傍らで聞いていたおじいちゃん(松平健)は「合鍵?」とピクリ。

芸能事務所のマネージャーなら、合鍵を持っていてもおかしくはないのでしょうけれど、芸能の世界を知らない一般人からしたら、何か特別な関係なのでは?と疑ってしまいそうです。

佑馬はあまりにも歩にペコペコしていてマネージャーというよりも付き人のように見え、歩とは釣り合わない印象です。どうにもちぐはぐしていますが、たぶん、関係性のわからなさは狙いなのでしょう。

歩は仕事をほったらかして実家に戻ってきているようです。現場を空けてもゆるされてるなんて相当大物なのでしょうか。まったくそうは見えませんが。

「まだ時間あるでしょ」と歩は過労で寝ている結(橋本環奈)の部屋へ。そして「ごめんね」とこれまで結の心をかき乱したことを謝ります。

真紀ちゃんのお墓参りに行きたくて、でもひとりでは行けなくて、家族みんなとだったら行けるかもしれないと思っていたと歩は告白します。

1995年の1月のあの日以降の生活を回想している場面に、画面に2024年11月7日の地震のテロップが入るという偶然がありました。
ドラマのなかでは、糸島では阪神・淡路大震災のことがなかったかのように中学の同級生たちが振る舞っていることに違和感を覚える歩がいます。この場面で、一瞬、上履きのカットが入ることで歩のうつむき気味な心境を感じました。

ここでの生活を受け入れたら、ほんとに真紀ちゃんがいなくなっちゃう気がして、中学にいけなくなった歩。
それが突然、金髪ギャルに激変し、高校に通いはじめたことには理由がありました。
真紀ちゃんが、高校卒業したら東京に行ってギャルになりたいと思っていた。その夢を自分が叶えようと決意したのです。

警察に捕まったのも、不良化したわけではなく、お金をとられている子を助けようとしたら、悪い子のほうに怪我をさせてしまった。それも真紀ちゃんだったら助けると思って、無理して頑張ったと結にすべて話す歩。

なんでそのとき、説明しなかったのかと結が問えば、
「反抗期じゃん」。

ちょっと後出しと屁理屈が過ぎるようにも思いますが、それだけ真紀ちゃんのことがショックだったのでしょう。真紀ちゃんに免じてゆるす(何目線)。

歩は、真紀ちゃんだったら、真紀ちゃんだったら、と真紀ちゃんがやりたかったことを
想像しなぞり、「ただ真紀ちゃんの人生を行きただけ」でした。だから「偽物」と何をしても落ち着かない気持ちでいた。どんなにがんばっても、支持されても、本物のギャルにはなれない。それは真紀ちゃんにはなれないということであり、つまり真紀ちゃんの不在の絶望はどうしたって解消されることはないのです。
真紀ちゃんの記憶を消さないようにするとますます悲しみが募るばかり。それはとてもつらいことだったと思います。

頑張っている歩にファンがついて、彼女がリーダーのようになってギャル軍団が天神を闊歩する、その場面はとてもかっこ良かった。

そしていまでは大女優? ハギャレンたちもすっかり崇め奉っています。でもどうやら「大女優」説にも真相がありそうで……。明日の展開に期待しましょう!


(文:木俣冬)

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