<おむすび>第8週~9週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第45回のレビュー
頑な渡辺(緒形直人)。そんな彼も実は震災から1年ほど経ったとき、自らアーケードを作ろうと言い出していたことを聖人(北村有起哉)は知りました。
渡辺は当時、アーケード建設に反対で、それがもとで聖人と険悪になったのいですが、聖人の知らないところで心境の変化があったようなのです。
美佐江(キムラ緑子)と渡辺が率先してアーケード建設に取り組んだものの、
いざ完成したら、渡辺はふいに元気がなくなってしまい、また周囲から心を閉ざして戻ってしまったと語る若林(新納慎也)。
そういう人はいる。心の復興はまだ進んでいない。この言葉が重く響きます。
建物などは見た目にはっきり復興の状態がわかりますが、心は見えないので、
復興したのかしてないのかわかりません。たぶん、当人だってわかってないことがあると思います。
第9週は、支えるとは何か?を問いかけていて、それにはまず相手の気持ちを慮ることが大事です。結(橋本環奈)は、プロ野球を目指す四ツ木(佐野勇斗)を支えたいと思って、食事の献立作りに協力しようとしましたが、四ツ木の置かれた状況をまったく理解せず、逆に足を引っ張ることになっていました。
沙智に「善意のおつしけ」と言われて目が覚めた結。あのひと、ずっと我慢して献立どおりに食べていて(そのせいで体力がつかなかった)……と四ツ木の優しさゆえの苦しみに気づいて、ポロポロ泣いてしまいます。
「あの人」呼びとか「傷つけた」とか言って泣くなんて、浸ってんなーと感じるのは筆者が大人になり過ぎたからでしょう。結くらいの年齢だと多感だし、経験不足だし、世界がまだ狭いから、ちょっとしたことがとっても大きなことに感じられるのでしょう。このへん、通り過ぎてしまったので実感できなくて残念。年をとるってつまらない。いや、年をとることでもっといろいろな機微を感じることができるのも悪くはありません。
話がずれましたが、大切なのは、自分はそうではないけれど、他者にとっては大事なことがあるという認識です。年齢を経るごとに、あらゆるケースに寛大になれるといいなと思いますが、年とると頑固になってしまう場合もあります。いろいろなことを受け止められるほうが断然いい。だから結のことも受け入れたい。
沙智は結と同世代ですが、心が広く、あっという間に優しくなります。
本人のデータやなりたい体などを考えたうえで献立作成はしないといけないと、結にアドバイスし、献立づくりにつきあいはじめます。
問題のあった次の回にすぐ解決するのは朝ドラあるある。第45回は、渡辺問題の解決かと思っていましたが、まず、沙智問題が解決。そして、渡辺はーー。
聖人が、自分の大事な靴を直してほしいと頼みに行きます。
「どうしてもやってもらいたいんや。職人のあんたに」と真剣な聖人に、「時間かかってもしらんで」と渡辺は受け取りました。
糸島の野菜は受け取らないけれど、修理してほしい靴は受け取った渡辺。聖人も頭を働かせました。つまり、相手のプライドをくすぐるというと言葉が悪いですが、相手を尊重するということ。野菜は、施しに思えて腹が立つが、腕を見込んでお願いすれば、悪い気持ちはしないのではないかということです。
聖人もまた、理容師としての自分のアイデンティティを、糸島では失い、元気がなかったので、渡辺の気持ちもわかるのではないでしょうか。
拒絶されても諦めない心が、渡辺の気持ちを慮るところまで進展したのです。
「なんぼでも待つ」というセリフは、靴のことではなくて、渡辺の心の復興のことでしょう。
沙智もまた、ポツポツと、自分の過去を結に語りだします。
彼女が支える人と支えられる人の気持ち、どっちもわかるのは、高校の陸上コーチが厳しくて体重制限をさせられて摂食障害になり、身体がぼろぼろになってしまった。この話だと、コーチが問題ありすぎと思うのですが、沙智は健気に、自分のような夢を潰されてしまうアスリートがいないように、栄養士になろうと決意したという、涙なくしては語れない話です。結はこっちで涙すべきではないでしょうか。
でも、ここでは涙ではなく、「さっちんもギャル」とギャルの称号を与えるのです。
そして、栄養学校のJ班・4人でプリクラ。まだ、完全には沙智は心を許していなくて、やな顔で映っているのがかわいい。
四ツ木も新献立で絶好調。
歩(仲里依紗)も渡辺に「お墓参り、やめませんからね」宣言。
米田家はみな、しぶとく諦めない。これもギャル魂?
第45回で最も心に残ったのは、豚まんが意外と栄養バランスがいいというミニ知識でした。小腹が空いたときは豚まんをチョイスしようと思います。
※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。
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