<おむすび>第8週~9週の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】

第42回のレビュー

栄養士の学校とは、ずいぶん、いろいろなカリキュラムがあるのだなあと、ドラマを見ていて思う毎朝です。
第42回は運動です。
そこで、抜群の身体能力を発揮したのが沙智(山本舞香)
いろんなことに詳しい森山(小手伸也)が、沙智はかつてインターハイに優勝していることを思い出します。
オリンピック候補にまで選ばれそうになった沙智がなぜ、いま、栄養士を目指している?
なにか事情があるのは、うっすら想像がつくでしょう。
「なんで陸上やめたん?」と直球で訊ねる結(橋本環奈)に、それ聞く?と視聴者の誰もが思ったことでしょう。
当然、沙智はぷんと無視して去っていきます。
結はきょとん。気づけ、気づけ。でも、気づかないから、さらに失礼の上乗せをすることになるのです。


結は、四ツ木(佐野勇斗)の毎日の献立を考えようとして、沙智に手伝いを頼みます。
高校時代は、監督の奥さんが栄養士で食事を管理してもらっていた四ツ木ですが、社会人になって食事を自分で選ぶようになったものの好きなものばかり食べて、体調が思わしくないのです。高校時代、一度、食事で失敗しているのに、懲りない人……。スタミナと自己管理が四ツ木の課題のようです。

四ツ木の悩みを聞いて、結は沙智に助けを求めました。
「うちら同じ目標目指す仲間じゃん」といきなりぐいっと距離を詰めて。
沙智は今度は無視ではすみません。「マジなめとん? ほんまむかつく」と不機嫌そうに去っていきました。

結はあとで反省を口にしていましたが、頭で考える前に口が先に出るタイプのようで。いや、でも、ギャル化するまでは、他人を慮り大人しくしていたはずだし、困っている人を放っておけない米田家の呪いにかかっているはずなのに、なぜこんなに鈍感で厚かましく振る舞えるようになったのか。理解に苦しむ視聴者も少なくないのではないでしょうか。

個人的に思うのは、百歩譲って、結個人の課題であればまだしもですが、「うちの彼氏の」献立作成を、彼氏と同じアスリート出身かつ、スポーツ栄養士を目指している沙智だから手伝ってという話の持っていきかたは、沙智を尊重してないように見えてしまいます。

高校時代のハギャレンたちとの友情のように、仲間の恋愛問題に力を貸すというノリなのでしょうけれど、まったく友情を育んでいない状態で、この距離の縮め方、苦手な人はいると思います。沙智はそういうタイプでしょう。それと、彼氏の話(ノロケ的な)をされるのが好きじゃない人も世の中にはいます。自分の彼や、プライベートの話をしたくない人っているのです。家に他人を入れたくない人もいます。

沙智が他人と個人的な話をしたくない人かどうかはわかりませんが、進路のことで悩みを抱え、頑なに心を閉ざしているようではあります。その沙智の心を、結の直球剛速球が破壊して、和らげるという筋書きなのかなあと想像しますが、それにしても、結……。
反省はしたものの、今度は、森山と佳純(平祐奈)に頼って献立作成しました。もりもりとかすみん、いい人たちで良かった。

頑な人に悩んでいるのは結だけではありません。聖人(北村有起哉)歩(仲里依紗)です。
渡辺(緒形直人)に冷たくされて、ふたりして落ち込んでいます。

米田家の呪いとは、困ってる人を見捨てられないということよりも、困ってる人にやみくもに向かっていってあしらわれるという呪いなのでは……。
いや、頑なな人の実はかまってほしい心をキャッチして、根気強くアタックし続け、心をほぐす力を持っているのが米田家の人々なのでしょう。

不器用な結、歩、聖人に対して愛子(麻生久美子)だけは他者に対して要領がいいというか、サバサバしています。
悩む家族の気分転換にと、お好み焼きパーティーを急遽開催。愛子の招集で、せっかくふたりきりでイタリアンを食べようとしていた結と四ツ木も招集します。

愛子は他者をイラッとさせず、けろっと自分の思う方向にもっていけるタイプのような気がします。重くない。結と歩と聖人はちょっと重たいんですよね。それが悪いわけではないのですが。



※この記事は「おむすび」の各話を1つにまとめたものです。

→元記事はこちら

→目次へ戻る


「おむすび」をU-NEXTで視聴する

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

(C)NHK

RANKING

SPONSORD

PICK UP!