続・朝ドライフ

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2024年12月25日

「おむすび」まるで別の人間。ナベべになった渡辺さん(緒形直人)【63回】

「おむすび」まるで別の人間。ナベべになった渡辺さん(緒形直人)【63回】


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2024年9月30日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「おむすび」。

平成“ど真ん中”の、2004年(平成16年)。ヒロイン・米田結(よねだ・ゆい)は、福岡・糸島で両親や祖父母と共に暮らしていた。「何事もない平和な日々こそ一番」と思って生きてきた結。しかし、地元で伝説と化した姉の存在や、謎のギャル軍団、甲子園を目指す野球青年など、個性的な面々にほん弄されていく。そんな仲間との濃密な時間の中、次第に結は気づいていく。「人生を思いきり楽しんでいいんだ」ということを――。
青春時代を謳歌した自然豊かな糸島、そして阪神・淡路大震災で被災するまでの幼少期を過ごした神戸。ふたつの土地での経験を通じて、食と栄養に関心を持った結は、あることをきっかけに“人のために役立つ喜び”に目覚める。そして目指したのは“栄養士”だった。
「人は食で作られる。食で未来を変えてゆく。」 はじめは、愛する家族や仲間という身近な存在のために。そして、仕事で巡りあった人たちのために。さらには、全国に住む私たちの幸せへと、その活動の範囲を広げていく。

ライター・木俣冬がおくる「続・朝ドライフ」。
今回は、第63回を紐解いていく。

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翔也、ギャル軍団に確保される

やけになってランチ合コンを行った結(橋本環奈)は、合コン相手に諭されて、自分が栄養士になったわけに立ち戻ります。大好きな翔也(佐野勇斗)のために栄養士になろうと思って頑張ったのに、大好きな翔也が窮地にいるときに、カッとなってひどい言葉を投げつけてしまった……と気づいて、ボロボロに。たぶん、合コンの途中で席を立って帰ったに違いありません。

結は、他人についキツイ言葉を投げてしまう性分らしく、それは幼いときの「(おにぎり)冷たい」「チンして」から変わっていません。感情が先走るというのはありますし、思ったことを咀嚼しないで口にしてしまう人もいます。このドラマではそれを直す方向には決していきません。結は何度も痛い目に遭いながら(相手を傷つけながら)、その都度、何かを発見しているようではあります。おにぎりに関しては、防災訓練で、ほかほかおにぎりにこだわっていました。真夏にほかほかおにぎりという新たな問題を生み出したことに気づいているのかいないのかはわかりませんが。

そして今度は、翔也の苦しみよりも自分の怒りを優先した自分ではありましたが、その怒りが翔也を好き過ぎるあまりであるという事実に向き合っているのだと思います。

そんなとき歩(仲里依紗)が帰ってきました。結の悩みを「若いっていいねえ〜」と歩は茶化します。歩がこのシークエンスの羅針盤でしょう。カラカラと笑い飛ばして見るエピソードなのだと思います。歩が帰ってきてホッとしました。

そして歩は、まるで「別の人間」になった渡辺さん(緒形直人)に驚きます。
歩がギャル靴カスタムを頼んだことをきっかけに、ギャル靴の注文が殺到し、渡辺は「ナベべ」と呼ばれてギャルの人気者に。すっかりライトな雰囲気になりました。口調も動きも。これぞ「別の人間」です。翔也に見せてあげたい。渡辺さんこそ、金髪にしなくても別の人間になれる好例であります。

渡辺は歩のお土産の派手なアロハを着て、娘の墓参りに行きます。
【ここに注目】
渡辺の店を訪ねたとき、傘をもった人が店の前を通っていて、歩が傘を持って入っています。その後の墓参りでは、歩と渡辺は傘を差しています。撮影は別の日に行われているはずですが、つながりがちゃんとしている。靴屋のシーンをあとに撮ったから、天気のつながりをつけたのだろうと想像します。ここは細かいお仕事です。

ギャルたちから元気もらっていると明るい渡辺の話を聞いた歩は、結を糸島に行かせることにします。
次の週末、結は糸島へーー。帰ってさっそくお手伝いをして、生き生きしていく結。新鮮な野菜に触れると元気になれますよね。生物ってすばらしい。

【ここに注目】
「この大うそつきがー」と永吉(松平健)が結に怒鳴ります。盆暮れ正月GW には帰る約束だったのに、このGWは帰ってこなかったことをとがめたのです。が、「そんな怒らんでも」と佳代(宮崎美子)にたしなめられると、怒ってない喜んでいるのだと永吉は返します。確かに、声は大きく張ってますが、ネガティブな感じはしません。松平さんが表現をコントロールしているのがわかります。
おじいちゃんは心のなかと言葉は裏腹な人。結もぜひ、おじいちゃんを見倣って「大っきらい」の言い方には気をつけてほしいものです。「チンして」のときは子どもの邪気のなさ、他意のなさがあったので救われましたから(子どもが演じているから)。「(おにぎり)チンして」は、「虎に翼」における「納得できない花束は渡さない」でありましょう。つまり、長いこと消えることなく心に引っかかり続けるセリフです。

一方、翔也は、金髪のまま、川べりでたそがれています。そこで謎のギャルに誘われて、あやしいお店に。もしやぼったくりバーではと不安になってきたところに、ちゃんみか(松井玲奈)、そして歩が現れます。
「彼氏さん確保おつ〜」というちゃんみかのセリフで、これが仕組まれたことだとわかります。
さてさて、歩は、何を目論んでいるのでしょうか。


(文:木俣冬)

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