ある一本の映画を観たあの日から胸がときめいております・・・「God Help the Girl」
1.何と言っても音楽が魅力的!!
この映画、監督はスチュアート・マードックという人物。
音楽好き、特にUKポップ好きの方ならピンと来るでしょうか?
日本にもファンの多いスコットランドのギターポップバンド“ベル・アンド・セバスチャン”(愛を込めてベルセバと呼ぼう)のフロントマンなのです。
このベルセバを世界的にビッグなバンドへと進化させながら、彼は『プラダを着た悪魔』や『(500)日のサマー』など映画のサウンドトラックに関わってきました。
そんなスチュアートにとって、これが初の監督作品!
実は脚本の完成前に、映画のベースとなる音楽が先に出来ていたというから驚きです。
2003年、スチュアートの頭の中にある1曲が浮かび「これはベルセバの曲ではない」と判断した彼は、その曲を元にミュージカル映画を作りたい!とイメージを膨らませて、脚本を書き始めたのだそう。
だからこそ、映画の内容とのマッチングが素晴らしい!
これは特に海外作品に多いですが、音楽の使い方もちゃんと考えられている映画って大好きです。
そもそもベルセバの音楽って、曲調は思わず口ずさむポップさがありつつ、歌詞の内容を見ると心情の繊細さや人間の弱さ、かと思えば芯の強いメッセージが(押し付けがましくなく)あくまでもさらっと込められていて、ふと気がつくとリスナーのパーソナリティにぐいぐい迫っているんですよね。
それって、“映画好きの人が好む映画”が持つ美学と近い気がする。
だから、スチュワートが映画を撮ったということに、何の違和感も無かったのか!納得!
しかも、セリフの中にザ・パステルズ、アズテック・カメラ、ニック・ドレイク、イアン・カーティスなどなど、スチュアートへの影響を感じさせるミュージシャンの名前が出てくるあたり、音楽ファンはニヤッとしてしまうポイントです。
2. とことん胸キュンなビタースウィートストーリー
冒頭にもチラッと書いた通り、ざっくり言うと、3人の男女が出逢い友情が生まれ、更に音楽という絆で繋がって、ライブをするまでのひと夏の物語・・なのですが、焦点はバンド活動だけに当たっている訳ではありません。
病気療養中という悩み深いイヴの心理描写は、繊細に、でもシリアスの分量は少なめに描かれていて、それは20歳前後の殻を破ろう苦悩としていた頃のわたし自身と重なって、胸がヒリヒリしました。
イヴに密かに想いを寄せるジェームズの振る舞いも、イマドキの日本の男の子(特に文系男子!)の奥ゆかしさと重なって、微笑ましくもありじれったくもあり・・(笑)
寂しさを埋めるため?それとも、自分の音楽をプロモーションするため?
はたまた承認欲求なのか?たいして好きでもない男の子と寝てしまうイヴ。
女の強かさと脆さのバランスが実にリアルに描かれていて、「スチュアートよ、なぜその気持ちが分かるんだ!?」と思わず唸ったほど。
3人の若い男女がもがきながら、それぞれに自分の生きる道を見つけていく姿は清々しく、観終わると「私も頑張ろう!」と力が湧いてきます。
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。