インタビュー

2015年08月20日

キャストも登場!『日本のいちばん長い日』ティーチイン上映会@109シネマズ二子玉川

キャストも登場!『日本のいちばん長い日』ティーチイン上映会@109シネマズ二子玉川



原田監督が唯一観ろといった映画とは?


「同世代の青年将校のシーンを印象深く感じました。演じている方々は戦争を教科書でしか知らないと思いますが、演じる上で苦悩だったり感じたことを聞きたいです。また、監督は戦争を知らない若い世代へ、どう伝えていったのでしょうか」

DSC06469_1200



●谷部さん
自分も全く戦争を知らない世代のひとりです。演じるために資料を探ったり史実をひも解いたりもしたんですが、なにより恐ろしいと思ったのは最近まで生きていらっしゃった方を演じるということですね。いまでもそのプレッシャーからは解き放たれた訳ではないです。
演じるうえでは考えすぎないで演じるようにしました。台本から行間から気持ちの底まで探って、演技プランを決めたりはしなかったです。ただ書かれていることを腑に落ちるところで解釈して、すっとしゃべる、行動する、というようにしました。
それでいいのかギリギリまで悩みましたけど、シンプルにやっていることを、監督がカメラを使って撮ってくださって形にしてくださるということだったので、そこにゆだねました。

●原田監督
基本的には軍人の心理を一から考えても駄目なんです。ゼロからやるときには型ですね。それをずいぶんとやった。その型をやるにあたって、日本の戦争映画を観るなといったんですよ。日本の戦争映画は軍人っぽく描くというところで、実際の軍人とは違うところがあるんです。
軍人らしい動きということで、絶対観ろと言ったのはアメリカ映画の「丘」という作品だけです。シドニー・ルメットが監督した1966年の映画でイギリスの陸軍刑務所の話なんですね。
ショーン・コネリーをはじめとするそうそうたる役者たちが軍人を演じているんですが、言葉のトーンと身のこなし、体のさばき方が本当に素晴らしいんですよ。全員に徹底的に観てもらった作品で、僕らにとっていい教科書でした。

「御文庫付属室が最近公開されて、劇中に出てきたのはこれだったんだなぁと思ったりしたんですが、新たに公開された資料で監督の心に残ったものがあれば教えてください」

「御文庫棟地下の防空壕は、僕らも先日公開されたのを観て、こうなっていたんだ、と初めて知ったんです(笑)。その前にあった資料はもっと簡単な地図で、それをそのままやっても面白くないな、と思って自分のイマジネーションを加えました。
天皇の入口は他の閣僚たちと別の入口があるだろう、と想像でやったら、それは正しかったですね。でも、天皇が入ってくるところを地下通路にして、閣僚たちが入ってくるところは深さを感じさせるために別のところを使って、仰々しい設定にしたところもあります。
この作品の中では事実をベースにした部分と、想像したものを入れた部分もかなりあります。東条英機が上訴するシーンも、サザエの殻を使ったたとえ話は史実なんですね。で、天皇がどう答えたかは史実に残っていないので、フィクションなんです。
史実として、そのあとに東条英機が矛をおさめちゃったことは確かなので、相当のことを言われたんだろうという想像の中で、海外の人が観たときに昭和天皇なかなかやるな、と思うようなウィットのある言い返しということで入れたんですね。
でも、そのあとのナポレオンに関する話は別のところでおっしゃったことなんです。なので、事実と事実の間にフィクションを入れ交ぜる作業はいろいろとやっています。

また、「なぜ本木雅弘さんを昭和天皇役にキャスティングしたのか」という質問には、「東条(英機)さんはそっくりな人を選ぼうと思ったけど、天皇は絶対にそっくりさんを選びたくなかった」と話し、写真やニューズフィルムでは伝わらない神がかったものを表現するために、美しい品のある顔立ちと立ち居振る舞いを重視したとのこと。「オファーされて相当悩んだようですけど、最終的に樹木希林さんの後押しで決まりました。これを僕たちは”樹木希林さんのご聖断”と言ってるんですけど」と会場の笑いを誘う一幕も。

DSC06480_1200



キャスティングについてもお話があり、将校とは違う侍従たちの雰囲気を出すためにオーディションでは軍人っぽくないタイプの役者を選んだということでしたが、ここで徳川(義寛)侍従役の大藏基誠さんの話題が飛び出します。
オーディションでは柔軟性などを見るために即興の芝居をしてもらうそうなのですが、「大藏はすっぽんぽんになったんですよ。そしたら、他の連中も裸にならざるを得なくなって、男5人がどんどん裸になっていくという非常に印象的なオーディションで、その要となった彼を何としてでもキャスティングしたいと思いました。でも、軍人には向いていないので侍従をやってもらいました」と監督。
谷部さんは「脱ぐって、なかなかすごいですよね。僕はできないです(笑)」とコメントしていました。

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!