映画コラム
本当に面白かった2017年のマンガの実写映画化作品ベスト10!「実写化はダメ」なんて言わせない!
本当に面白かった2017年のマンガの実写映画化作品ベスト10!「実写化はダメ」なんて言わせない!
3位 『PとJK』
(C)2017 「PとJK」製作委員会
正直に言って、観る前は「女子高生と警察官が付き合うとかありえないな」と半笑いで観ていた(原作ファンの方ごめんなさい)のですが……驚きました。胸キュンどころか良い意味で胸が苦しいシーンが満載で、「1人で抱え込まないで」という尊いメッセージを多角的に伝える脚本が素晴らしく、確実に“映画でしかできない魅力”のある作品に仕上げていたのですから!
亀梨和也演じる警察官の“驚愕の告白”を開始15分に持ってきたのも英断でしょう(本当に驚きました)。劣悪な環境下で生きている高杉真宙の演技も卓越しており、原作のエピソードの取捨選択や、北海道函館のロケーションの見事の一言。テーマも教育上とても良いものになっているので、メインターゲットの中高校生女子だけでなく、大人(親御さん)にも観て欲しいです。
※筆者はこちらの記事も書きました↓
・『PとJK』は恋愛だけではなかった!“ギャップのある”3つの魅力を語る
2位 『帝一の國』
(C)2017 フジテレビジョン 集英社 東宝 (C)古屋兎丸/集英社
魅力を端的にお伝えするのであれば、「政治や選挙をとことんエンターテインメントに仕上げた手腕に脱帽!」、「原作マンガからの再構成と細かい改変もすごい!」、「豪華キャストによるキャラ萌えが半端ない」ということ! 逆転に次ぐ逆転の展開の面白さと、良い意味で極端なキャラクターの魅力に満ち満ちているので、観る人を選ばない、大人から子どもまでアツくなれることは間違いありません。
菅田将暉のリアクション芸も極限に達しており、ゲラゲラ笑って、それ以上に「バカだなお前……お前は本当にバカだよ……」と泣かされました。公式発表によると、観客の約9割が女性で、中でも20代以下の女性が8割近くを占めていたこともあったそうですが、この面白さは男性にも知ってほしい!
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・『帝一の國』菅田将暉はふんどし姿もすごいんです!
1位 『ReLIFE リライフ』
(C)2017「ReLIFE」製作委員会 (C)夜宵草/comico
『帝一の國』とどちらを1位にしようかどうか本気で迷いましたが、こちらを選びました。開始数分の27歳で無職の青年の“痛くて辛い現実”と、その対比となる高校生の生活が、“かけがえのないもの”、“美しいもの”として描かれているので、アラサーの筆者は胸を締め付けられました。
何より素晴らしいのは主演の中川大志。現在19歳(撮影時は18歳)にも関わらず、高校生役はもちろん、やさぐれた27歳も違和感なく演じきっているのですから! 2018年も中川大志は『坂道のアポロン』と『虹色デイズ』と、マンガの実写映画化作品への出演が続きますが、「この人なら大丈夫!」という安心感が尋常ではありません。
原作を読んだ人と読んでいない人でそれぞれ違った感動がある物語の再構成、クライマックスの“まさか”の展開と、ラストシーンの“キレ”には鳥肌が総立ちでした。原作へのリスペクトに溢れながら、“実写映画でしかできない”魅力(※これについては後述します)にも満ちている、大人にこそ観て欲しい傑作であると断言します。
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・映画『ReLIFE リライフ』はアラサーの大人こそ必見! 原作ファン大納得の傑作である8つの理由!
以上のベスト10に挙げた作品以外では、『ピーチガール』や『一週間フレンズ。』や『恋と嘘』なども、原作のエッセンスを存分に拾いつつ、2時間の映画に上手くまとめられていた優秀な作品でした。
マンガではなく小説が原作ですが、アニメ版の印象も強い『ハルチカ』と『氷菓』も原作をリスペクトし、実写映画ならではの工夫も存分に凝らされた素晴らしい作品に仕上がっていました。
とにかく、(マンガの実写映画化作品はもちろん)中高生向けのキラキラした恋愛映画を侮るなかれ! 大人の映画ファンも唸る、優れた作品が続々と生まれているのですから!
まとめその1:“実写映画でしかできない”こともあるんだ!
実写映画化と聞くと、「配役がイメージと違う」「実写映画化しないで欲しい」などと、批判の対象になってしまうこともままあります。キャラがデフォルメされて描かれるマンガと、生身の人間が演じる実写映画ではどうしてもギャップがあること、“そもそも”の部分で実写映画化には否定的な声があるのは致し方のないことです。
しかし、筆者は“実写映画でしかできない”ことも存分にあるため、実写映画化はとても意義のあることだと考えます。その理由の1つは、“役者の今しかない魅力を映し出せる”ということです。
マンガではなく劇場用アニメが原作ですが、実写映画版『心が叫びたがってるんだ。』は、芳根京子、中島健人、石井杏奈、寛一郎(佐藤浩市の息子さん)という優れた役者の“若いからこそ”の危うさや青春のみずみずしさを見事に切り取っていましたし、“生身の人間が演じてこそ”のミュージカルシーンの感動がありました。これらは、マンガやアニメ作品では絶対にできないことです。
劇場用アニメとしてリメイクされた『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』は、皮肉にも1995年に公開されたオリジナル版の“実写映画だからこその魅力”を再確認できる作品でした。登場人物が生身の少年少女だからこそ、“もう戻ってこない青春の輝き”を感じられるというのも、実写映画でしかできないことでしょう。
上記にあげた作品の中では、『ReLIFE リライフ』と『ハルチカ』が、まさに“役者の今しかない魅力を映し出した”映画でした。その魅力は、実写映画化作品に否定的な人にこそ、知ってほしいです。
まとめその2:実写映画化には“ギャグ”が適している?
マンガは(作品にもよりますが)キャラが極端な髪型をしていたり、衣装が奇抜なこともあるため、“実写映画化するとコスプレ感が否めない”という、どうしようもない問題があります。それは舞台などではOKでも、“信じられる世界を構築する必要がある”実写映画においては、無視できないことです。
ところが、『銀魂』や『斉木楠雄のΨ難』は、その“コスプレっぽい違和感”までもをギャグとして昇華。全編において「コスプレっぽいし学芸会のようにも見えますが、それが何か?」という精神に溢れており、観ていく内に「これはこれで」と違和感などどうでも良くなってきます(笑)。それは、福田雄一監督の良い意味での“ユルい”センスのおかげもあるのでしょう。これからも“ギャグマンガの実写映画化”は、成功例として続いていくのかもしれませんね。
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(文:ヒナタカ)
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