『天気の子』の深すぎる「10」の盲点


5:陽菜と帆高それぞれの“年齢”へのこだわりでわかることとは?
“呼び捨て”にも重要な意味があった?



陽菜は劇中で誕生日を迎えて15歳となりますが、帆高には「来月で18歳」と嘘を言って、敬語を使うように命令もしていました。その他でも、陽菜は須賀に「16?17?18?大して変わんねえじゃん」と言われると「変わりますっ!」と返したり、夏美に「(帆高は)本当に子供ですよね」とグチをこぼしたり、夏美の「就活ダルいなーいいなー女子高生」という言い草に陽菜は「私は早く大人になりたいです」と応えていたり、警察に職務質問をされた時にも「私は大学生で、2人は弟です」と言っていたりと──陽菜は年齢的にも精神的にも、帆高と凪より“お姉さん”であることに努めようとしていたようなフシがあります。

それとは対照的に、帆高は須賀に「16?17?18?大して変わんねえじゃん」と言われると「ですよねっ!」と言っていて、凪に恋愛指南をされると(年下のうえに呼び捨てにされているのにも関わらず)“センパイ”と呼ぶようになってしまいます。彼は年齢差についてプライドも何もないように思っていると……警察に連行された時に陽菜が15歳であることを知ると、苦渋に満ちた声で「俺が一番年上じゃねえか…!」と言うのです。

その後、代々木会館でワンピース姿で警察にタックルをしてきた凪のことを、帆高はセンパイではなく「凪!」と呼んでいます。さらに、たどり着いた空の上では、帆高は初めは「陽菜さん」と今までと同じように呼びますが、すぐに「陽菜!」と呼び捨てにして、「俺は青空よりも陽菜がいい」「自分のために願って、陽菜」と“さん”付けはしなくなるのです。

帆高は、陽菜と凪よりも年上であることを知り、彼女たちよりも“少し大人”な立場としての責任感も得ていた──だから陽菜と凪を呼び捨てにするようになったのでしょう。須賀の言うように大人からすれば1歳2歳の違いなんて大したことはないですが、思春期の少年少女にとってはわずかな年齢差も絶対的な価値観になり得ます。その年齢への向き合い方を、帆高と陽菜のそれぞれのセリフで示しているというのも、見事なものでした。

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(C)2019「天気の子」製作委員会

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