映画コラム

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2021年06月02日

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』必見の5つのポイント|完結編にして始まりの物語

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』必見の5つのポイント|完結編にして始まりの物語


今までにない剣心を創り上げた佐藤健



この『るろうに剣心 最終章 The Beginning』で登場する緋村剣心は明治の時代に“おろ!?”ととぼけた言動や、どこか飄々とした姿を見せる流浪人ではありません。
“人斬り抜刀斎”として京都の闇の中で恐れられる、凄まじい剣技を持った暗殺者です。その手にあるのは“不殺(ころさず)の誓い”の象徴である逆刃刀ではなく、敵対する・長州派の邪魔となる者を容赦なく切り殺していく真剣です。

原作コミックのいわゆる「追憶編」を基にした『The Beginning』ですが、オリジナルの要素やシーンも多く、冒頭の刀を口に咥えた状態で次々と相手を切り殺していくシーンで、『The Beginning』は“これまでの『るろうに剣心』とは違う”こと強烈に突き付けていきます。

佐藤健=緋村剣心はこれまで、明治の時代に人を斬れない逆刃刀で戦う姿を見せてきましたが、幕末の抜刀斎は容赦なく、躊躇なく相手を斬り殺していき“血も涙もない”と表されます。
中盤の新撰組・沖田総司との一騎打ち、クライマックスの闇乃武との対決まで、血しぶきが飛び交います。

佐藤健は明治の時代に生きる剣心に対して幕末の抜刀斎は“現役の人斬り”だととらえ、よりシャープに、よりキレのあるアクションを展開するように心がけました。その結果、“殺人剣”としての飛天御剣流が初めてスクリーンに焼き付けられました。

この佐藤健の選択は『The Beginning』全編に張りつめるような緊張感をもたらしました。大友啓史監督の闇夜を重視し、色彩を敢えて廃した場面設計もあって、『The Beginning』は文字通り日本の夜明け前を感じさせるものになり、剣心も抜刀斎として儚さや殺伐とした雰囲気を纏って登場します。

運命の人=巴を演じきった有村架純



京の都で“人斬り抜刀斎”と恐れられ、闇に生きる剣心の前に現れた運命の人・雪代巴。やがて剣心の“狂気の鞘”となることになる女性です。

彼女は原作・映画でもその名前や姿形が描かれる以前から剣心の頬の十字傷という形で常に物語の裏側に存在していました。佐藤健に1作目の映画の時からその存在を意識し続けていたと語っています。

緋村剣心=人斬り抜刀斎の人生を大きく変えるこの“運命の人”を演じるのは有村架純。

シリーズ第4作の『るろうに剣心 最終章 The Final』の回想シーンで初めて登場し、今回の『The Beginning』で本格的に物語に交わってきます。

『るろうに剣心 最終章』の制作が発表されてからというもの雪代縁と雪代巴のキャスティングには注目が集まっていました。

雪代縁の新田真剣佑もそうですが、雪代巴役は誰が演じることになっても疑問符が出るという難役でした。

しかしながら、『3月のライオン』で有村架純を起用していた大友監督は「彼女ならば、真っ白い心で、この難しい役を、孤独な二つの魂の燃えるような邂逅の物語を一緒に走ってくれるのではないか」と有村架純に期待。

その演技によって生み出された雪代巴の姿を見て「悲劇的な憂いの中に、強い意志と限りない優しさを帯びた、これだけドラマチックなヒロインにはめったにお目にかかれません」と語りました。

ある秘密を抱えて剣心の前に現れ、しかし剣心との出逢いによって新たな人生の光を得る女性・巴を有村架純は繊細に、それでいてい強い芯を持って演じきりました。

剣心と巴の間で戸惑いの気持ちが左右に揺らいでいく不思議な空気を有村架純と佐藤健は見事に醸し出しました。

彼女の存在によって『るろうに剣心 最終章 The Beginning』は剣客アクションエンターテイメントであると同時に、時代の大きな流れに翻弄される若い“男女のラブストーリー”と言える映画に仕上がっています。

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©和月伸宏/集英社 ©2020映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』製作委員会

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