映画コラム

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2021年06月02日

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』必見の5つのポイント|完結編にして始まりの物語

『るろうに剣心 最終章 The Beginning』必見の5つのポイント|完結編にして始まりの物語


『The Beginning』のために集まった新キャスト



これまでの『るろうに剣心』から10年以上時代が遡った時代が舞台の『Beginning』。当然明治の時代に剣心と共に生き、闘う者たちはまだ登場しません。

唯一、5部作通じて登場するのは江口洋介が演じる新撰組の斎藤一だけです。

10年以上前の斎藤一は、荒々しさを持った男として登場します。ここで変に江口洋介を若作りさせるより、未完成な部分、未成熟な部分を強調するという今回の方法はなかなか巧くやったなという感じがします。自然と『The Beginning』の新撰組はヒロイックな存在ではなく、荒々しい猛者の集まりといった形で登場します。

今回の『The Beginning』に合わせて桂小五郎に高橋一生が、高杉晋作に安藤政信が、沖田総司に村上虹郎がキャスティングされました。

実は、桂小五郎は『るろうに剣心』の1作目で別の俳優が演じる形で一度登場しているのですが、そこに囚われず、改めて高橋一生が登板となりました。

ドラマ「天国と地獄~サイコな2人~」で見せた爬虫類的な妖しさを讃えた高橋一生の桂小五郎は艶と殺気を併せ持った長州派のリーダーになっています。

大友監督の『億男』では友人関係だった佐藤健と高橋一生ですが、今回は単純な主従関係とは違った独特の立ち位置の関係を創り上げました。

奇兵隊の隊長・高杉晋作を演じたのは安藤政信。作品ごとにその顔を変えるカメレオン系の俳優の安藤政信ですが、今回は豪放磊落なキャラクターで登場。ちょっと見れない安藤政信を見ることができます。

映画としての『The Beginning』のオリジナルの要素が新撰組との関りの深さです。その中でも天才剣士・沖田総司は原作では数コマしか登場しないのですが、映画になって大きく取り上げられました。演じたのは村上虹郎で、大友監督は「虹郎くんの中に感じた鋭いイメージが沖田総司のイメージが自然と重なった」と語っています。

そして多くを知る幕府側の刺客“闇乃武”の頭領・辰巳を演じたのは北村一輝。抜群の存在感・貫録を見せ、若く荒さを持った幕末の緋村剣心と対照的なキャラクター象を創り上げました。

初めて人を斬るアクション



『るろうに剣心 最終章 The Beginning』のアクション監督を務めたのはこれまでのシリーズ4作でもアクション監督を務めた谷垣健治。

ジャッキー・チェンやドニー・イェンといった香港のアクションスターのアクション・スタントチームの一員として活躍し、ドニー・イェン主演の『燃えよデブゴン/TOKYO MISSION』では本編監督も務めた世界的なアクション映画界のキーパーソンの一人です。

香港で得た経験を『るろうに剣心』の現場に持ち込んだ谷垣健治は、今までの日本映画、時代劇になかったスピード感と飛翔感覚を与えました。

大友監督からの「エモーションを感じられる殺陣・アクション」というリクエストに応えながら、『The Final』と『The Beginning』で全く違ったアクションシーンを創り上げました。

谷垣は「『少林寺』と『少林サッカー』を同時に撮るようなもの」と今回の2部作の性質の違いを表現しています。

たしかに1~4作目までの『るろうに剣心』は“不殺の誓い”と逆刃刀のアクションになるので、自然と手数が増えます。それに対して『The Beginning』は真剣の斬り合いとなるため一撃で決着つくアクションです。自然と手数が減り、単調になりがちですが、そこは流石の谷垣健治と『るろうに剣心』のアクションチーム。一撃必殺でありながらもバリエーション豊かな殺陣を構築しました。

映画『るろうに剣心』シリーズに求められているエンターテイメントとしてアクションの部分と、リアルなアクションの部分を高いバランスで両立させた『The Beginning』のアクションはシリーズ5作目にして“新鮮さ”を感じさせるアクションになっています。

『The Final』と『The Beginning』ののそれぞれのアクションの質の違いを見比べるのも楽しみ方の一つでしょう。
 

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©和月伸宏/集英社 ©2020映画『るろうに剣心 最終章 The Final/The Beginning』製作委員会

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