『漁港の肉子ちゃん』見逃し厳禁のものすごいアニメ映画だ!と驚愕&感動した「5つ」の理由を全力解説
2021年6月11日より、アニメ映画『漁港の肉子ちゃん』が公開されます。まずは、ちょっと待ってください。何も知らないままだと、「肉子」というすごい語感のワードが入ったタイトルを筆頭に「何だろうこの映画…」「どういう企画なんだ?」と思った方も多いと思うんですよ。
でも、お願いですから敬遠しないでください、そして予告編からまずは観てみてください。そして本編を実際に観れば、きっとクオリティの高さに驚愕し、そして感動に浸れる、見逃し厳禁の素晴らしいアニメ映画であったのですから。さらなる魅力と特徴を、以下より全力で解説していきましょう。
1:見た目も性格も正反対の親子の物語
本作の主人公は、実質的に2人います。「人生ボロボロなのにとっても明るいお母さんの肉子ちゃん」と「聡明で大人しい小学生の女の子のキクコ」です。この2人の親子関係が、本作のいちばんの魅力と言っていいでしょう。肉子ちゃんが人生ボロボロになっているのは、 情にあつくて惚れっぽいせいで、何度も何度もダメ男にだまされて捨てられてきたから。そんな肉子ちゃんはファッションセンスが皆無でいつも強烈な服を着ており、繰り出すおしゃべりやギャグに「大阪のおばちゃん」的な勢いがあるため、今ではちっとも悲壮感がありません。
そんな純粋で子どもっぽくもある肉子ちゃんと対照的に、キクコは大人びていて、最近は小学校のクラスでの悩み事もできてしまい、お母さんの肉子ちゃんのことをちょっと恥ずかしく思っている「お年頃」。ベリーショートの髪型で、少しボーイッシュでもあります。そんな「見た目も性格も正反対の親子」になっていて、 肉子ちゃんの言動に半ばあきれつつも憎めずにいるキクコという、2人のやりとりのだけで大いに楽しめるのです。
そんな肉子ちゃんとキクコが少しずつ、でも着実に成長していき、そこには大きな「秘密」も内包されているため、「先が気になる」面白さも存分にあります。例えば「肉子ちゃんとキクコはなんで似てないの?」「キクコにお父さんがいないのはなぜ?」と誰もが思う疑問は劇中でしっかりとした答えが用意されていますし、それに「向き合う」ことによって、2人はやがてより強固な親子関係を築くことになるのです。
ファンタジー的な展開はほぼほぼ皆無であり、基本的に綴られるのは「何にも大きな事件が起きない日常」です。それでも全く飽きさせない、とても豊かな映画になっているのは、(後にも記す最強のスタッフとボイスキャストによる)脚本や演出が格段に優れている証拠。思春期手前の少女の心の動きが、とても繊細に描かれているので、同世代の子どもはもちろん、大人も存分に感情移入できるでしょう。まずは、「老若男女が楽しめる、万人向けのアニメ映画」を期待しても、裏切られることはないはずです。
そして白眉となるのはクライマックスです。もちろんネタバレになるので詳細は書きませんが、悲しいや嬉しいと言った単純な言葉だけでは言い表せない多層的な構造がそこにはあり、「心地の良い涙」を流すことができました。昔ながらの「人情劇」の面白さ、そして思いがけない展開と感動にも、ぜひ期待してほしいです。
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(C)2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会