『漁港の肉子ちゃん』見逃し厳禁のものすごいアニメ映画だ!と驚愕&感動した「5つ」の理由を全力解説
5:有名映画のオマージュもあった!
本作には有名映画のオマージュも込められています。その1つが、良い意味でネタ的にはっきり提示される『となりのトトロ』(88)。美術監督を務めた木村真二は30年以上前に、『トトロ』のバス停のシーンに実際に関わっていたのだとか。他にも、木村真二は「一組の母娘が知らない土地にやってくる」という展開が共通している『ショコラ』(00)の物語とフランスの小さな町の風景が好きであり、『漁港の肉子ちゃん』でもほのぼのとした田舎の風景を伝えたいという思いもあったのだとか。さらに肉子ちゃんとキクコが一緒にフレンチトーストの朝食を作るのは『クレイマー、クレイマー』(79)の名シーンのオマージュだったりします(偶然にして明石家さんまも『クレイマー、クレイマー』が大好きだったのだとか)。
こうした先人の作品への愛情がたっぷり伝わることも嬉しいところ。物語やアニメの表現だけでなく、これらの「映画ネタ」を探せることも、楽しみにしてほしいです。
おまけ:このアニメ映画が好きな人に『漁港の肉子ちゃん』をおすすめ!
最後に、このアニメ映画が好きな人に『漁港の肉子ちゃん』をおすすめしたい、または『漁港を肉子ちゃん』が気に入った方にこのアニメ映画も観てほしいと心から願えた、3つの作品を紹介しましょう。1.『マイマイ新子と千年の魔法』(09)
(C)高樹のぶ子・マガジンハウス/「マイマイ新子」製作委員会
『この世界の片隅に』が絶賛に次ぐ絶賛で迎えられた片渕須直監督による作品です。(現代パートでは)ファンタジー的な展開がほとんどないこと、田舎での日常を丁寧に描いていることなどが『漁港の肉子ちゃん』と共通しています。2021年6月11日現在、U-NEXTで見放題です。
2.『おもひでぽろぽろ』(91)
(C)1991 岡本螢・刀根夕子・Studio Ghibli・NH
ご存知、スタジオジブリ製作、高畑勲監督による、こちらもファンタジー色がほぼほぼないアニメ映画です。舞台となる様々な場所(特に田舎の)風景が細やかに描かれていること、年頃の女の子の「生理」が物語に関わってくるというのも『漁港の肉子ちゃん』と共通しています。どちらも子どもの頃に楽しめるのはもちろん、大人になると違った感動も得られるのかもしれません。
3.『大きい1年生と小さな2年生』(14)
(C)古田足日・偕成社/A-1 Pictures/文化庁 アニメミライ2014
同名の児童文学作品を原作とした25分の短編作品であり、『漁港の肉子ちゃん』の渡辺歩が監督を手掛けています。幼い少年少女の冒険と成長の物語が微笑ましく、可愛いキャラのコミカルな動きや表情を繊細に、時にはダイナミックに描く渡辺歩の作家性がこちらでも全開です。こちらも2021年6月11日現在、U-NEXTで見放題ですよ。
(文:ヒナタカ)
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(C)2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会