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映画コラム

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2021年06月30日

【最速レビュー】『ブラック・ウィドウ』、物語を紐解く「5つ」のキーワード

【最速レビュー】『ブラック・ウィドウ』、物語を紐解く「5つ」のキーワード


3. 過去




この“家族”の存在も含めて、『ブラック・ウィドウ』の中ではブラック・ウィドウ=ナターシャ・ロマノフの、これまで断片的にしか語られなかった“過去”が明らかになっていきます。

“レッド・ルーム”で受けた訓練とは何なのか?が明らかになるとともに、かつて、僅かに語られた“女性にとってはあまりにも壮絶な”処置の経験も改めて語られます。

映画『ブラック・ウィドウ』の物語は90年代、まだ少女だったころのナターシャ・ロマノフの姿から始まります。まだまだ子供と言っていいこの頃のナターシャですが、すでに自分が過酷な環境に身を置いていることを知っています。

そして、“レッド・ルーム”の訓練を何年も生き抜き、一級のエージェントなり、その後ホークアイとの出会いからS.H.I.E.L.Dにスカウトされていくまでの彼女の人生の裏表を我々は改めて知ることになります。

“過去”を抱えているのは“家族”も同じで、妹のエレーナ、母親のメリーナも“レッド・ルーム”で過酷な訓練を受けていて、父親のアレクセイもレッド・ガーディアンとして生きてきた時代がありました。

ナターシャ・ロマノフがブラック・ウィドウとしてアベンジャーズの一員となり、雑誌の表紙を飾るまでのスーパーヒーローとなったことで、離れ離れになった“家族”がナターシャの存在を知ることになり、複雑な思いを抱えながら“家族”が一堂に会することになります。

ナターシャ・ロマノフにとってこの“家族”との再会は否応なしに自分の“過去”と向かい合うことに繋がっていきます。

そして、その“過去がまだただの過去”で終わっていないことを知ったことが、ブラック・ウィドウが今回の闘いに赴く大きな理由となっていきます。

4. 罪




スパイであり暗殺者でもあったブラック・ウィドウ=ナターシャ・ロマノフはこれまでの間、任務という名のもとに多くの破壊工作に関わり、多くの人を傷つけてきました。

任務であり、やらなければ自分に危険が降りかかってくるかもしれないという、特殊な環境でのこととは言え、決して誇れることばかりではなく、アベンジャーズの一員となったブラック・ウィドウは過去の自分の行いを決して拭い去ることのできない“罪”として抱えて生きています。

映画『ブラック・ウィドウ』のクライマックスでブラック・ウィドウは改めて自分が犯してきたこの“罪”と対峙することになります。

過去の罪と向き合うのはナターシャ・ロマノフだけではなく“家族”たちもまた自分のこれまでの行いと向き合わざるを得なくなります。

ブラック・ウィドウが自分の“罪”と向かい合い、闘うことを選んだ時、“家族”たちもまた、自分たちの過去と“罪”と対峙することを選び、ラストの一大決戦へとなだれ込んでいきます。

映画『ブラック・ウィドウ』の構成として、このクライマックスまでかなり“溜め”があるので、ラストの一家が“過去”と“罪”と向き合い、挑むバトルシーンはそのスケール感、大迫力さがより際立つものとなっています。

このクライマックスの一大決戦を見ると映画『ブラック・ウィドウ』はやはりMCU=マーベル・シネマティック・ユニバースの作品だと言うことを思い出させてくれます。

“過去”や“秘密”、“罪”や“家族”と言った非常にパーソナルなものテーマになっている『ブラック・ウィドウ』は全生命体の生死をかけた闘いを描いた『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』『アベンジャーズ/エンドゲーム』に比べると一見すると、とても小さな物語のように見えます。

しかしこのクライマックスを見た時やはり『ブラック・ウィドウ』もまたMCUの娯楽大作アクションであることを再認識させてくれます。

MCUの映画作品としては実に2年の空白を経ての映画がこの『ブラック・ウィドウ』ですが、しっかりとMCUファンを満足させてくれる画作りがされています。

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