『映画 太陽の子』『8時15分ヒロシマ』『祈り』日本の原爆開発の事実、そして広島と長崎を改めて想いたい
『8時15分ヒロシマ』『祈り』原爆をモチーフとした映画はこれからも
さて、本作以外にも原爆をモチーフにした映画は今年もお目見えしています。現在公開中の『8時15分ヒロシマ 父から娘へ』もその中の1本。
これは本作のエグゼクティブ・プロデューサーでもある美甘章子(みかもあきこ)さんが、1945年8月6日の広島で被爆した父・美甘進示さんの壮絶な体験を聞き取り、2013年に書籍化したものを原作に、J,R.ヘッフェルフィンガー監督のメガホンで映画化した中編作品です。
当時を再現したドラマ・パートが秀逸な仕上がりで、惨状の中から必死に生き延びる事が叶った者の凱歌みたいなものが静謐に訴えられています。
後半は美甘親娘のドキュメント映像へ転じていきますが、そこでも進示さんの語る柔らかながらも重みのある一言一言に驚きと感銘を受けること必至でしょう。
(それにしても広島に原爆が投下された午前8時15分と、玉音放送によって日本のポツダム宣言受諾及び無条件降伏が国民に告げられた8月15日、こうした数字の相似は一体……?)
2021年8月20日からは松村克弥監督、高島礼子&黒谷友香主演『祈り―幻に長崎を想う刻―』も公開されます。
これは長崎に投下された原爆によって外壁の一部を残して崩壊した「東洋一の大聖堂」浦上天主堂を撤去するか被爆遺跡として保存するかで議論がなされる中、忽然と姿を消した被爆マリア像をめぐる田中千禾夫の戯曲「マリアの首」の映画化です。
「長崎を最後に原爆投下はあってはならない」と願う想いが、今や戦後どころか戦前の様相すら帯び、さらには原発問題も改めて浮き彫りになって久しい昨今、映画を通して少しでも多くの人々の胸に届いてほしいと祈るばかりです。
(文:増當竜也)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。