「鬼滅の刃」兄妹の絆<ざっくり解説/じっくり感想/名ゼリフまとめ>
名ゼリフ・名場面(※筆者の独断と偏見です)
「幸せが壊れる時には いつも血の匂いがする」
セリフではなくモノローグだが、父を亡くして貧しいながらも優しい母やかわいい弟妹たちに囲まれた炭治郎が「幸せだな」と思った後に「でも人生には空模様があるからな」というところから続く。不穏な空気がすごいうえにこのモノローグ、嫌な予感しかしない。炭治郎の鼻の良さから出た言葉でもある。
いつもということは、すでに何度も体験しているということで、炭治郎の過去も気になる。
「生殺与奪の権を他人に握らせるな!!」
土下座して禰豆子を殺さないでくれと頼んだ炭治郎に、義勇が怒鳴った言葉。
「惨めったらしくうずくまるのはやめろ!! そんなことが通用するならお前の家族は殺されてない」
「奪うか奪われるかの時に主導権を握れない弱者が妹を治す? 仇を見つける?」
「笑止千万!!」
「弱者には何の権利も選択肢もない 悉く力で強者にねじ伏せられるのみ!!」
「妹を治す方法は鬼なら知っているかもしれない。だが鬼共がお前の意志や願いを尊重してくれると思うなよ」
この後さらに倍くらいのセリフが続く。鬼を相手にするということはこういうことだという厳しい現実が語られている。家族を殺されて妹も鬼になってしまった炭治郎にさらにめっちゃ怒るじゃん……と思うが、義勇の心の中の言葉が重なる。
「泣くな 絶望するな そんなのは今することじゃない」
「お前が打ちのめされてるのはわかってる。家族を殺され、妹は鬼になり、つらいだろう 叫び出したいだろう わかるよ」
「俺があと半日早く来ていれば、お前の家族は死んでなかったかもしれない。しかし時を巻いて戻す術はない」
「怒れ。許せないという強く純粋な怒りは 、手足を動かすための揺るぎない原動力になる」
「脆弱な覚悟では妹を守ることも治すことも、家族の敵を討つことも できない」
義勇の表には出さない優しさが伝わってくるシーンであり、過去に義勇も近い経験があるのでは想像させるシーンでもある。義勇さん、口では厳しいことを言いながら見逃してくれて鱗滝さんに手紙を書いてくれて、めちゃくちゃ優しい人だ……。
「がんばれ禰豆子 こらえろ頑張ってくれ 鬼なんかになるな」
炭治郎を襲おうとした禰豆子に必死に呼びかける炭治郎の言葉。自分が命の危機に瀕しているのに呼びかけられる炭治郎もすごいし、この言葉を聞いて鬼になってしまったのにポロポロ涙を流す禰豆子もすごい。
「判断が遅い」
鱗滝が「妹が人を喰った時お前はどうする」と問われて即答できなかった炭治郎をひっぱたき言ったセリフ。
「お前はとにかく判断が遅い。朝になるまで鬼に止めを刺せなかった」
「今の質問に間髪入れず答えられなかったのは何故か?お前の覚悟が甘いからだ」
「妹が人を喰った時やることは二つ。妹を殺す、お前は腹を切って死ぬ。鬼になった妹を連れていくということはそういうことだ」
と続く。
炭治郎は俊敏なほうだと思うし、初めて鬼と戦うにしてはよくやったと思うが、それでもここまで言われてしまう。鬼と戦うということは、一瞬の判断の遅れが命取りになるのだなと思うし、炭治郎の選んだ道がいかに厳しいものなのかあらためて感じる言葉だ。
「よく頑張った、お前はすごい子だ」
岩を切った炭治郎に鱗滝がかけた言葉。ずっと厳しい言葉ばかり向けてきた鱗滝に頭を撫でて声をかけられ、涙するのだった。炭治郎、しっかりしてるしすごい精神力だけど、このときで15歳とかそのくらいなんだよな……。
「努力はどれだけしても足りないんだよ。知ってるだろ、それはお前も」
炭治郎が選別で戦っている間、自分たちを殺した手鬼に炭治郎が勝てるか案じる真菰に錆兎が言ったセリフ。並々ならぬ努力をしたが鬼に勝てなかった二人の重い言葉だし、「努力は報われる」というよくある言葉もこの世界では通用しないんだ、と痛感する。
「悲しい匂い。神様どうか、この人が今度生まれてくる時は鬼になんてなりませんように」
手鬼を倒した際、消えていく手鬼の手を握りながら祈った言葉。錆兎や真菰をはじめ、多くの鱗滝の教え子たちを殺した憎い相手であるにも関わらず、慈愛に満ちた言葉を向けられるのか……。鬼がもとは人間だったことをおもんばかり「この人」と言っている。炭治郎の優しさに恐れ入るシーンだ。手鬼が鬼になった理由はわからなかったが、兄を慕う怖がりな弟だったこと、鬼になって兄を食い殺してしまったことだけはわかった。元は人間だったのに鬼になって新たな犠牲を産む、悲しい連鎖だ。
「錆兎、真菰……そして、殺された他の子供達……勝ったよ。もう安心していいよ」
手鬼に殺された10数人の狐面の子どもたち。彼らの姿が消え、おそらく鱗滝のいる狭霧山へ帰るシーン。もし死んだら自分もそっち側だったと思いやる炭治郎。切ないが、これで彼らの魂も浮かばれるのかな。よかった。
最終戦別後、炭治郎と禰豆子と鱗滝の再会シーン
へろへろになりながらやっと鱗滝の家の前にたどり着いた炭治郎。ずっと眠り続けていた禰豆子が起きたのを見て泣く炭治郎、炭治郎の頭をなでる禰豆子、二人を抱きしめお面の下で涙を流す鱗滝。もう子どもが死ぬのは見たくないと言った鱗滝さん、生きて戻ってきた炭治郎を見て本当にうれしかっただろうな……。まだまだ戦いはこれからだけど、いったん安堵するシーンだ。
次回は「第二夜 浅草編」
浅草編では、炭治郎が鬼舞辻無惨と出会う。どんな展開があるのか、引き続き楽しみだ。
(文:ぐみ)
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(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable