『僕と彼女とラリーと』レビュー:森崎ウィンがガンダムからラリー車へ、隣に深川麻衣を乗せて爽やかに疾走!
『僕と彼女とラリーと』レビュー:森崎ウィンがガンダムからラリー車へ、隣に深川麻衣を乗せて爽やかに疾走!
■増當竜也連載「ニューシネマ・アナリティクス」SHORT
見る前から何となく気持ちよさそうな作品だなという予感はありましたが、見終えてドンピシャリ、ちょっとめげているような気分のときに見たりすると、大いにリフレッシュできてしまう爽やかな作品です。
特に気をてらったシーンもなければ演出も変に凝ったところはなく、ストーリー展開もすれた映画マニアならそこそこ先が読めてしまうところもありますが、本作の場合それが短所ではなく、むしろ長所と言ってもいいほどの安定感があります。
そこには森崎ウィン&深川麻衣のコンビネーションの気持ちよさあればこそ、かもしれません。
特に『レディ・プレイヤー1』(18)のガンダムからラリー車に乗り換えての森崎ウィンですが、やはり彼にはメカの操縦(運転)がよく似合う!
実際この作品はラリー映画というよりもラリーに臨む人々の群像劇なので、劇中で車を走らせるシーンそのものはさほど多くないのですが、それでも彼がハンドルを握ると一気に画面が引き締まって見えるのはさすが。
一方で深川麻衣は映画デビュー作『パンとバスと2度目の初恋』(18)『愛がなんだ』(19)といった今泉力哉監督作品などを経て、着実に映画女優としての資質を開花させているのは驚くほどのものがあり、特に彼女が登場するだけで画面が爽やかな空気に包まれてしまうのは、本人そのものの資質が巧まずして自然に醸し出されているからかもしれません。
その他のキャスト陣も総じて好演している中、笑ってしまったのが弁護士・宮本武蔵(!)役の竹内力で、彼が背広を着ると別の意味でおっかなく思いつつ、最近の彼は飄々とした中から大らかな味わいが滲み出ていて、これまた見ていて気持ちの良いものがあったのでした。
塚本連平監督はTVだと「特命係長・只野仁」(03~11)「時効警察」(06・19)「新解釈・日本史」(14)などクセの強い作品も多い印象がある中で、映画では近作『レオン』(18)にしても『今日も嫌がらせ弁当』(19)にしても、気負いのない自然体演出でキャストの魅力を抽出していくのがまた面白い注目の映画人と認識して降り、今回もその例に漏れない好印象の作品をモノにしてくれました。
愛知県豊田市&岐阜県恵那市の美しい四季の自然をさりげなく映し出されており、視覚的にも気持ちの良い作品です。
涼しくなった秋のひとときにふさわしい作品であるともいえるでしょう。
(文:増當竜也)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)2021『僕と彼女とラリーと』製作委員会