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2021-10-29

『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕!

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

2:相対する要素が同居する、土屋太鳳の神がかりな演技

本作の目玉は、AIのヒロインの声と歌唱を土屋太鳳が担当していること。『フェリシーと夢のトウシューズ』(2016)での吹き替えおよび主題歌も素晴らしかったが、今回はもはや神がかり、ボイスキャストとしての出演でありながら「過去最高の土屋太鳳」と断言できるほどだった。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

土屋太鳳は尋常ではない努力をもって俳優という仕事に向き合う方であり、その生真面目さや聡明さがあってこそ同様の魅力を持つ役にハマる、という印象があった。ポンコツなAIなんて、それとは正反対では?と観る前は思っていたのだが、これが全くの杞憂だった。ちょっとうわずったような、でも「まっすぐ」な声質で愛らしいという、「無機質なAI」と「純粋でかわいい女の子」という相対するはずの要素が同居しているのに違和感がない、この土屋太鳳の演技があってこその役だ、と思うほどに完璧だったのだ。

そんな土屋太鳳は吉浦康裕監督から「幸せにしてしまうシオンの健気さを大切にしたい」「寂しい気持ちのときも明るくしゃべってほしい」というディレクションを受けたという。それを反映した土屋太鳳の演技もまた見事で、「(本当は寂しいけど)明るく振る舞おうとしている」という、まさに人間らしい健気さも感じることができた。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

さらに役作りにおいて、土屋太鳳は「表情はとても自然で人間らしいけれど、心の部分がまだ赤ちゃんなので、それが大人になるところを表現したかった」と語っている。だからこそ、土屋太鳳はストーリーの終盤で最後のセリフを言う際に「呼吸を入れる」こだわりを見せたそうだ。人間にプログラムされた存在であるはずのAIが、人間らしさを得ようと「成長する」様も、土屋太鳳は表現しきっているのだ。
「もう、しませんから。 ~青雲立志編~」インタビューマンガより

そして、歌唱力もずば抜けている。土屋太鳳は「曲の個性に合わせて歌い方の個性も変えてください」という吉浦康裕監督からの要望にも見事に応えていたそうで、明るく楽しい楽曲、心に染み入るようなメロウな楽曲、それぞれの歌い方も確かに変えている。伸びなやか歌声はそれだけで涙腺が刺激されるし、終盤のとあるミュージカルシーンは、物語と密接に関わった「美しい光景」も合間って、ずっと忘れることができないほどの感動があった。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

とにかく、『アイの歌声を聴かせて』における土屋太鳳は、ミュージカル映画としての面白さと楽しさ、ポンコツでかわいいAIのヒロインの魅力という、作品の根幹に関わる大役を完璧に務めている、ということだ。土屋太鳳のファンが必見なのは言うまでもなく、彼女をよく知らない人が観てもその素晴らしさを全力で讃えたくなるのではないか。

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