(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会
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2021年10月29日

『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕!

『アイの歌声を聴かせて』が大傑作である5つの理由|過去最高の土屋太鳳が爆誕!


3:逆『桐島、部活やめるってよ』的な「こじらせ」青春群像劇

さらに素晴らしいのは、学園青春ものの映画、それも群像劇としての面白さもあること。特に序盤は学校内での少年少女たちの「こじらせ」が物語の中心に据えられていて、彼ら彼女らは過去にあった「わだかまり」が解消されておらず、どこかギクシャクしているのだ。

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そんな彼らの不協和音を、エキセントリックな言動ばかりをしていくAIが、気せずして解消していく様も見所になっている。いわば、これは人気者の「不在」により学校内での人間関係が瓦解していく様を綴った日本映画 『桐島、部活やめるってよ』の真逆だ。

登場人物のほんの小さな言動が、少しずつ周りに波及して行き、大きなうねりを作り、やがて大きな展開を迎える……というのが、多くのキャラクターが交錯する群像劇の醍醐味。『桐島』ではそれを中心人物の不在を起因としたダウナーなトーンで描き、一方での『アイの歌声を聴かせて』では明るく元気なAIの「乱入」が物語を動かしていく、というわけだ。

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悩みが少しずつ解消されていく様、そこから導き出される結論は、現実での救いになるものだろう。その悩みは大人になれば「なんてことはない」と思う程度の、とても小さな人間関係の軋轢やこじれだったりもするのだが、多感な時期の高校生にとっては重大な問題になる。普遍的な人間関係にまつわる物語としても、高い完成度を誇っているのだ。

キャラクターもそれぞれ個性的かつ魅力的で、主人公であるおとなしい少女のサトミ(福原遥)、幼馴染で機械マニアのトウマ(工藤阿須加)、人気NO.1イケメンのゴッちゃん(興津和幸)、気の強いアヤ(小松未可子)、柔道部員のサンダー(日野聡)と、それぞれがステレオタイプにはなっていない、豊かな人間味を備えている。2020年に劇場アニメも制作された『海辺のエトランゼ』のマンガ家・紀伊カンナが原案を手がけたキャラクターも親しみすくて秀逸だ。

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誰もが「自分に似た」キャラクターを見つけられるだろうし、大いに感情移入して彼らの青春の物語を楽しめるはずだ。憎らしいがわりと正論も言っているような気もする悪役(津田健次郎)、仕事人間だが男尊女卑的な環境でも努力を続ける母親(大原さやか)に、思い入れができる大人もいるだろう。

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