2021年10月30日

ミムジー・ファーマー:『MORE/モア』『渚の果てにこの愛を』“海と太陽に愛された死の天使”の魅力

ミムジー・ファーマー:『MORE/モア』『渚の果てにこの愛を』“海と太陽に愛された死の天使”の魅力


1970年代以降の
ミムジー・ファーマー

今回は『MORE/モア』『渚の果てにこの愛を』の2作品が上映されますが、私自身は世代的にこれらの後のミムジー・ファーマー出演映画にも愛着があります。

映画『渚の果てにこの愛を』より ©1970 STUDIO CANAL - Selenia Cinematogrrafica S.R.L. All Rights Reserved.

彼女は1970年代以降、アラン・ドロン&ジャン・ギャバンと共演したジョゼ・ジョヴァンニ監督『暗黒街の二人』(73)のような名作もありますが、どちらかというとイタリアを拠点に活動するようになり、中でもダリオ・アルジェント監督『4匹の蠅』(71)やレイモンド・ラブロック共演『炎のいけにえ』(74)、『ルチオ・フルチの恐怖!黒猫』(80)のようなジャーロ系を含むホラー・サスペンスものの印象が強く、一方で前者は旅行中に殺されたヒロインの真相を究明していく『危険旅行』(74)や、ステルヴィオ・チプリアーニの音楽だけは素敵だった『コンコルド』(79)みたいに、正直ムムム…ではあるもののどこか憎めない作品もあります。

個人的には『ポケットの愛』(77)のミムジー・ファーマーが好きでした。

高級娼婦と少年の愛の交流を、性春色と青春色をムーディに絡めながら描いたアダルトな佳作だったと記憶していますが、それよりも何よりもミムジー・ファーマーが美しい!

冒頭にも記しましたように、映画の出来如何を問わず、どこかしら忘れられない(しかも、完璧に覚えてるのではなく、どこかおぼろげに、あやふやに、何となく脳裏にこびりついている)映画があり、そこに登場する映画スターがいるものと思われます。

『ポケットの愛』なども、おそらく今後DVD化も配信もされる可能性は低いかもしれませんが(ホラー系はまだ可能性高いんですけどね)、それでもどことなく彼女の美しかった姿を幻影のように覚えている、そんな気持ちを改めて思い起こしてくれるという、実に嬉しくもありがたい企画が今回のミムジー・ファーマーをヒロインに迎えた2作品の上映なのでした。

ちなみに彼女は90年代以降は女優業を引退し、何と映画の造型スタッフに転じて『チャーリーとチョコレート工場』(05)『ガーディアン・オブ・ザ・ギャラクシー』(14)『美女と野獣』(17)などのハリウッド大作に参加し続けている!

(たまにエンドクレジットで「同姓同名の人っているものだな」くらいに思ったことはありましたが、まさか彼女本人だったとは!?)

私生活でも画家・彫刻家として活動中とのこと。

かつて映画スターとして「死の天使」を演じることもままあったミムジー・ファーマーは、今も海と太陽と、そして映画に愛され続けているのでしょう。

(文:増當竜也)

ーーーーー
cinemas PLUS コミュニティを作りました!

・お気に入りの著者をフォロー&記事のブックマーク
・ムビチケや独占試写会プレゼントのご案内
・週2回メルマガ配信

今後もコミュニティ会員限定のプレゼントやイベントを企画予定!

コミュニティ登録はこちらから↓
https://cinema.ne.jp/auth/register

無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

RANKING

SPONSORD

PICK UP!