<らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第7話ストーリー&レビュー
第7話のストーリー
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静原博史(山田明郷)は槇村明良(高橋光臣)を殺そうと研究室を爆破。発見された焼死体のDNA鑑定と防犯カメラの映像から、遺体は槇村で静原が逃亡したと判明。静原の逃亡先を探して神保仁(田中圭)と安堂源次(安田顕)はある場所を訪ねる。
そこへ静原から神保に「世界終焉の研究」の協力要請が入り、神保は源次と袂を分かち単独行動に出る!源次は乱原から死体からもう一つ、2つのDNAが検出されたと衝撃の報告を受け……!?
第7話のレビュー
神保先生は、やっぱり筋が通った人だった。娘の沙也香を殺した槇村に憎しみをぶつけ、殺害した静原。そのまま現場からは逃亡……したかのように思われた。が、実は殺されたのは槇村ではなく、静原だったことが、DNAによって明らかになる。
白血病を患っていた静原にドナーだった槇村の骨髄を移植。ドナーの槇村のDNAを静原も保有することになったために、本当の被害者が分からなくなっていたのだ。
静原から神保へ「巻き込んですまない」とメールが。しかし、神保の力を貸してほしい、とも。そんなメールに、神保は「もうお芝居はやめにしませんか」と返信をする。
最大の謎は、槇村がなぜ沙也香を殺したのか。そして、槇村が成し遂げようとしていることは何か。
槇村は死んだ沙也香をクローンとしてよみがえらせようとしていた。すでにクローン胚はできているが、研究室に残したまま。それを神保に取りに行かせるのが目的だった。おまけに安堂の娘、瑞希を人質にして。
神保が闇落ちして槇村に協力したように見えたが、実は瑞希を助けるためだったのだ。
神保は「人間のクローンを生み出すのは禁忌」ときっぱりと言い切っていた。研究のために周りが見えなくなることはあるけれど、神保の中には越えてはならない線がきちんとあるのだ。そして、それを越える行為は研究者としての誇りを捨てるにも等しいことではないのか。
そもそも、槇村の行為は同情の余地がない。神保が槇村を助ける理由がないのだ。
沙也香の研究者としての飛躍を喜ばず、神保と愛し合っているのだと勘違いしてもみ合った結果、死なせてしまう。そして「愛しているから」を言い訳に、彼女のクローンを生み出し、2人で暮らしていきたい、とはなんと身勝手なことか。
「科学はどんなに発達しても、命の数は変わらない。だから尊いんです」と静かに、でも熱を込めて神保は言った。槇村の行為は命への冒涜でしかない。
神保にとって沙也香は大事な研究者としての同志だったというだけではなく、幼い頃の自分の心を救ってくれた人だったことが明らかになった。その人を殺され、亡くなったあとも命を弄ぶような行動をとられた。
もっと、神保は怒ってもいいのかもしれない。しかし、きっと冷静さを欠くことは非効率的であり、怒りは何も解決しない。……と、どこかで研究者としての自分が抑え込んでいたのかもしれない。
槇村は、何度も神保のことを「パートナー」と言っていた。そんな中で見せた安堂との連携。どこか孤独だった神保は味方を手に入れた。安堂は頭で行動するというよりは、義理と人情で動く、ある種非効率的な人間だ。だが、そんな人こそ、神保にとっては一番必要な存在だったのかもしれない。
ふたりのバディ感がとてもよかったので続編を希望したいところだ。
とは言え、ラストの神保先生が笑顔はプライスレス。いつまでも2人がどこかで良いバディであり続けることを願ってやまない。
※この記事は「らせんの迷宮 〜DNA科学捜査〜」の各話を1つにまとめたものです。
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(文:シネマズ編集部)
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