ティモシー・シャラメの魅力 ハリウッドの若き貴公子はディカプリオの後継となるか


ブレイクのきっかけとなった『君の名前で僕を呼んで』


『君の名前で僕を呼んで』(C)Frenesy, La Cinefacture

時からクリエイティヴなことに関心のあったシャラメは、子役として数々のコマーシャルに出演。14歳のときには、法廷ドラマ『ロー&オーダー』でTVデビューも果たしている。芸術系高校のフォオレオ・H・ラガーディア校に進学したことは、極めて自然な流れだった。

この時、歌手マドンナの娘ローデス・レオンと交際していたというから、ティーンエイジャーにしてスケールが違う。彼は高校時代からパパラッチに追いかけられる立場だったのだ(余談だが、シャラメはジョニー・デップの娘であるリリー=ローズ・デップとも交際歴アリ)。

2014年、ジェイソン・ライトマン監督の『ステイ・コネクテッド~つながりたい僕らの世界』で映画デビュー。同年には、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』にも出演している。

彼はこの作品で、マシュー・マコノヒー演じる主人公ジョセフ・クーパーの息子トム役を熱演(ケイシー・アフレックの少年時代である!)。出演時間はわずかながら、父親の愛が自分ではなく妹のマーフに注がれていることに、どこかスネたような表情を見せる演技が印象的だった。


『君の名前で僕を呼んで』(C)Frenesy, La Cinefacture

その後、『クーパー家の晩餐会』(2016年日本公開)、『サスペクツ・ダイアリー すり替えられた記憶』(2015年)、『マイ・ビューティフル・デイズ』(2019年日本公開)と順調にキャリアを重ねていくが、世界にティモシー・シャラメの名前を知らしめたのは、ルカ・グァダニーノ監督の『君の名前で僕を呼んで』(2018年日本公開)だろう。

80年代の北イタリアを舞台に、17歳の少年エリオと、24歳の青年オリヴァーの情熱的な恋を描く、美しいラブストーリーである。

シャラメが演じるエリオは、知的で繊細で早熟。可愛らしいガールフレンドもいるし、世間から見れば満ち足りた生活を送っているように見える。だが、何かが足りない。何かが欠けている。今の自分と、本当の自分と解離を感じ、「これでいいのだろうか?」と問い続けている。

そしてオリヴァーとの出会いによって、彼は心の奥底にしまっていた感情に気づき始めるのだ。

「君の話し方が好きだ。いつも自信なさげだけど」とオリヴァーに指摘されるシーンがある。もともと内向的な性格のエリオは、思いもよらなかった自分の“感情”にうまく対処できず、ココロは糸の切れた凧のように不安定。彼は伏せ目がちに世界と対峙しているのだ。

そんな微妙なニュアンスを、シャラメはセリフだけではなく、物憂げな瞳、うつむき加減な表情で我々観客に訴えかける。スクリーンに映し出される顔の姿は、圧倒的に儚く、哀しく、美しい

「『君の名前で僕を呼んで』では、多くのシーンが沈黙の中で行われ、肉体的に演じられているんです」(引用元:https://vman.com/article/timothee-chalamet-frank-ocean/

この演技によって、ティモシー・シャラメは第90回アカデミー賞主演男優賞にノミネート。一気に次世代スターへの道を駆け上る。

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