「前科者 」:こんな有村架純、見たことない!第1話から華やかさを捨てた熱演ぶり(※ネタバレあり)
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有村架純主演のWOWOWオリジナルドラマ「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」が2021年11月20日にスタートした。
「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載中の「前科者」(原作:香川まさひと、作画:月島冬ニ)を映像化した本作は、罪を犯した“前科者”たちの更生を目指して、保護司・阿川佳代(有村架純)が奮闘していくヒューマンストーリー。連続ドラマと映画の2つの形での映像化となり、劇場版は2022年1月に公開される。
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鼻血を出しながら、“前科者”に向き合う
「主演・有村架純」と聞いて、原作ファンは一抹の不安を覚えたのではないだろうか。罪を犯した人たちの社会復帰や更生をサポートする“保護司”の奮闘を描いた人気コミック「前科者」。主人公はコンビニでアルバイトをしながら、報酬は一切でない保護司としての仕事をかけ持ちをする阿川佳代。若くして文句一つ言わず、黙々と働く謎めいた女性だ。
化粧っ気はなく、トレードマークは一つに縛った髪とメガネで、悪く言えばかなり地味。そんな佳代を有村架純が?
たしかに有村架純といえば、「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」(フジテレビ系)や「中学聖日記」(TBS系)が代表するように、陰のある役どころを演じることが多かった。少女漫画の主人公みたいにキラキラした女の子ではないが、そこはかとない色気を隠しきれていないイメージ。有村架純はそんなミステリアスな魅力で神木隆之介、仲野太賀といった共演陣をメロメロにさせてきたのだ。
一方、「前科者」の佳代は保護司を志願するほどの強い思いを秘めているが、空回りしがちで不器用なキャラクター。“前科者”たちにどれだけ拒絶されようとも、必死で食らいついて彼らの手を離さない。有村架純がこれまで演じてきた誰ともタイプが違う。
しかし、そんな心配は杞憂に終わる。有村架純は自身が持つ華やかさをかなぐり捨て、変わり者であるが故に、一度罪を犯した人たちが心を開く佳代の独特な魅力を全身全霊で体現していた。
初めての対象者・斉藤みどり(石橋静河)へのたどたどしい語りかけはもちろん、コンビニでのバイトを馬鹿にされた途端に爆発する怒りや、思い通りにならないことへの戸惑い。痛々しいほどに、使命を懸命に全うしようとする佳代の実直さが伝わってきた。
そして何より、冒頭で自転車ごと地面に倒れこみ、鼻血を出すシーンは多くの視聴者に衝撃を与えたはずだ。常にトップを走り続ける人気女優が人目も憚らず、鼻血を垂れ流して走っている。これを女優魂と呼ばずして、なんと呼ぶのだろう。
ドラマの完成報告会で、「⼈と向き合うのは労⼒がいることですし、⼀筋縄ではいかないことだらけだったんですけど、⼈を思って笑ったり、泣いたり、怒ったり、叫んだり。こんなに気持ちが揺れ動く現場も久しぶりだなと思いました」と語った有村架純。
彼女が言うように、本作は人が人を思う“熱量”を一身に浴びせるヒューマンドラマだ。その中で誰より暑苦しいキャラクターを、応援せずにはいられない魅力をもって演じる有村架純の新境地に注目してほしい。
「前科者 -新米保護司・阿川佳代-」第1話ストーリー
コンビニのアルバイトで生計を立てる阿川佳代(有村架純)は、ある出来事をきっかけに、罪を犯した者の更生を助けるために保護司となった。保護観察官の高松(北村有起哉)の指導を受けて、初めて対象者・斉藤みどり(石橋静河)を受け持つことに決まる。みどりは恐喝および傷害罪の前科を持つ。佳代は、みどりの自由奔放な性格に振り回されるばかりだが、同時に彼女が持つ暴力性と複雑な家庭環境を知ることになる。
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(文:苫とり子)
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(C)香川まさひと・月島冬二/小学館(C)2021「WOWOW オリジナルドラマ 前科者 -新米保護司・阿川佳代-」製作委員会