2021年12月03日

『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー!

『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー!

「創作物」の力を信じている作品

――「創作物」の力をすごく信じている作品だと思いました。

ロマンチストかもしれないですけど、こういった映画を人生のきっかけや目標にするというのはあり得ることですよね。アニメやマンガが好きで研究職に行きましたとか、あるいは最近だと実物のロボットのデザインをフィクション畑のメカデザイナーの方にお願いするとかもあるわけですから。それこそ、物語の中で肯定的な形で未来を描くというのは大事だなと思っています。「フィクションが現実に侵食していく」のはこの映画そのものですから。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


――あらゆる要素を鑑みればみるほどに、本当に統制されている、考え抜かれている作品であると思いました。

観客の方々は2時間以内で本作を一気に浴びるわけですが、作り手にしてみれば、本作は2、3年かけて磨き上げていくものです。アニメーションで描かれるあらゆる事象は、「たまたまそうなる」ってことは基本的にない、全部スタッフが考えていることですよね。映画って、とてもロジカルな組み立ての上に成り立っているんです。

――1つ1つの設定がよく練られているからこそ、受け手が考察をしたくなる土壌もあるのだと思います。

本作についても、観た方がたくさんの議論や感想で深堀りをしていただいて嬉しいです。

(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会


――その奥深さがありながらも、決してマニア受けするだけの内容ではない、まさに子どもから大人まで楽しめるエンターテインメントになっているのが素晴らしいです。私は4歳と5歳の甥っ子を連れて行ったのですがとても気に入っていて、特に最後にサンダーが「しーあわせーにー♪……なりたい」と歌って落ち込むところで大笑いしていたりしました。今の子どもが、AIが進歩した未来でまた観ると、嬉しいこと、面白いことがきっとあると思います。

嬉しいです。そういった若い人たちが、大人になって『アイの歌声を聴かせて』をもう一度観れば、きっと別の観方ができると思いますので、また二度三度と観てくださるとありがたいです。


 
これ以外にも、まだまだ『アイの歌声を聴かせて』は深堀りができる内容だ。何度観ても新しい発見があるだろうし、本作を観た方の感想はもちろん、ファンアートも多くリツイートされている吉浦監督のTwitterからも「そうだったのか!」と気づけることはまだまだあるはずだ。

本作のさらなるロングランを願うためにも、ぜひまた劇場で鑑賞してほしい。

(撮影=渡会春加/取材・文=ヒナタカ)

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(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会

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