『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー!
『アイの歌声を聴かせて』あの謎がついに解けた?吉浦康裕監督単独ロングインタビュー!
「創作物」の力を信じている作品
――「創作物」の力をすごく信じている作品だと思いました。ロマンチストかもしれないですけど、こういった映画を人生のきっかけや目標にするというのはあり得ることですよね。アニメやマンガが好きで研究職に行きましたとか、あるいは最近だと実物のロボットのデザインをフィクション畑のメカデザイナーの方にお願いするとかもあるわけですから。それこそ、物語の中で肯定的な形で未来を描くというのは大事だなと思っています。「フィクションが現実に侵食していく」のはこの映画そのものですから。
――あらゆる要素を鑑みればみるほどに、本当に統制されている、考え抜かれている作品であると思いました。
観客の方々は2時間以内で本作を一気に浴びるわけですが、作り手にしてみれば、本作は2、3年かけて磨き上げていくものです。アニメーションで描かれるあらゆる事象は、「たまたまそうなる」ってことは基本的にない、全部スタッフが考えていることですよね。映画って、とてもロジカルな組み立ての上に成り立っているんです。
――1つ1つの設定がよく練られているからこそ、受け手が考察をしたくなる土壌もあるのだと思います。
本作についても、観た方がたくさんの議論や感想で深堀りをしていただいて嬉しいです。
――その奥深さがありながらも、決してマニア受けするだけの内容ではない、まさに子どもから大人まで楽しめるエンターテインメントになっているのが素晴らしいです。私は4歳と5歳の甥っ子を連れて行ったのですがとても気に入っていて、特に最後にサンダーが「しーあわせーにー♪……なりたい」と歌って落ち込むところで大笑いしていたりしました。今の子どもが、AIが進歩した未来でまた観ると、嬉しいこと、面白いことがきっとあると思います。
嬉しいです。そういった若い人たちが、大人になって『アイの歌声を聴かせて』をもう一度観れば、きっと別の観方ができると思いますので、また二度三度と観てくださるとありがたいです。
これ以外にも、まだまだ『アイの歌声を聴かせて』は深堀りができる内容だ。何度観ても新しい発見があるだろうし、本作を観た方の感想はもちろん、ファンアートも多くリツイートされている吉浦監督のTwitterからも「そうだったのか!」と気づけることはまだまだあるはずだ。
#アイの歌声を聴かせて
— 吉浦康裕 (@yoshiura_rikka) November 27, 2021
劇中において、緊急停止アプリも含め「スマホによる自撮り」カットが何度も出てきます。これらのカットの画作りは、通常カットと明確に差別化しています。並べてみるとその差は一目瞭然なのですが、映画を通して観ていると案外気づきにくいかもしれません。 pic.twitter.com/kBhes1T9ol
#アイの歌声を聴かせて
— 吉浦康裕 (@yoshiura_rikka) November 28, 2021
シオンというAI&ハードウェアの能力は、本映画における「大きな嘘」です。その代わり、それ以外のAI関連の描写には自分なりのリアリティラインを設けました。「既存のインフラに後乗せする形でAIが使われている」「人型ロボットは一般家庭ではやんわり拒絶されている」など。 pic.twitter.com/FrbeSBDNye
本作のさらなるロングランを願うためにも、ぜひまた劇場で鑑賞してほしい。ムーじゃなくてムーンでした。雑誌じゃないんだから。
— 吉浦康裕 (@yoshiura_rikka) November 29, 2021
(撮影=渡会春加/取材・文=ヒナタカ)
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(C)吉浦康裕・BNArts/アイ歌製作委員会