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2022年02月14日

鬼滅の刃「遊郭編」で考える、妓夫太郎と堕姫の幸せ

鬼滅の刃「遊郭編」で考える、妓夫太郎と堕姫の幸せ


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「兄貴だったら、妹に守られるんじゃなく守ってやれよなあ、この手で」

そう言って妓夫太郎は、炭治郎の指を折る。
勝利を確信した者が敗者をいびっているだけのシーンに見えるが、妓夫太郎の言葉は、人間だった頃の自分自身に向けられている。最愛の妹を理不尽な暴力から守れなかった、自分自身に。

「鬼滅の刃 遊郭編」における敵役、上弦の陸・妓夫太郎と堕姫。2人は、遊郭の最下層に生まれる。

妓夫太郎の人間時代の名前は、妓夫太郎。そもそも「妓夫太郎」とは人名ではなく、遊郭において客引きや取り立てをする者たちの総称である。もともと、親に名前など付けられてはいないのだろう。

堕姫の人間時代の名前は、梅。一見かわいい名前だが、死んだ母親の病名から名付けられている。恐らく梅も、母親に名前を付けられてはいないのだろう。

2人は、誰からも愛されることなく生きてきた。

(※竈門禰豆子の「禰」のへんは「ネ」の字です。)

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妓夫太郎と宇随天元



妓夫太郎は、何も与えられずに生まれた。
だから、自分とは真逆の、すべてを与えられたような男、音柱・宇随天元を許せない。「一刻も早く死んでもらいてぇなぁ」と思っている。

ただ、妓夫太郎は思い違いをしている。親から愛情を与えられなかった点においては、宇随さんも妓夫太郎と同類である。
忍びの家系に生まれた宇随さんは、優秀な忍びになることだけを義務付けられて育った。過酷な修行の過程で、9人いた姉弟は次々と死に、宇随さん自身も(知らなかったとはいえ)弟を2人殺すことになる。



宇随さんと3人の妻が、死んだ姉弟の墓の前で酒盛りをするシーンがある。その墓も、鬼殺隊になってから宇随さんが建てたものだろう。姉弟たちが修行過程で死んだ時は、埋葬すらされなかったのではないだろうか。

鬼になったとは言え、妓夫太郎は妹を守るために生きている。宇随さんより、幸せかもしれない。

妓夫太郎と炭治郎



一方で妓夫太郎は、炭治郎に対してはある種の共感を抱いている。
自分と同じく、妹をもっとも大切に思っている。それは肌でわかる。しかも、自分は妹に背負われているのに対し、こいつは妹を背負って戦っている。
だからこそ、妹を守りきれずに敗死しそうになっている炭治郎に、たまらない歯がゆさを覚えているのだ。

「みっともねぇなあ。お前全然妹守れてねえじゃねえか!!」
「兄貴だったら、妹に守られるんじゃなく守ってやれよなあ、この手で」

妓夫太郎は人間時代、妹を守れなかった。梅が13歳の時、客の侍の目を簪で突き、その報復として生きたまま焼かれた。妓夫太郎は侍を殺すが、自分自身も斬られて深手を負い、黒焦げの妹を抱いたまま、雪の中に倒れる。

そして、妓夫太郎と梅は鬼になった。
「鬼になったことに後悔はねぇ。俺は、何度生まれ変わっても必ず鬼になる」



上弦の鬼の特性の1つとして、「シンパシーを抱いた人間を鬼に勧誘したくなる」というものがある。
戦いながらしつこく煉獄さんを勧誘する猗窩座が、いい例である。

ただ、素直にまっすぐ勧誘する猗窩座と違い、妓夫太郎の勧誘は素直じゃない。ネチネチしている。頭をぺしぺし叩きながら、指まで折る。
そこまでしなくても……。いや、そこまでしないといけない。これは、妹を守れない兄への怒りだ。つまり、自分自身への怒りでもある。

もし炭治郎が鬼になっていたら、妹である禰豆子のポテンシャルを考えると、すぐに上弦まで駆け上がるかもしれない。
禰豆子も、心置きなく「派手に鬼化が進む」だろう。
そうなった場合、妓夫太郎は意外と「いい先輩」になる気がする。同じ妹思いの兄貴同士として。

妓夫太郎と梅



もちろん、炭治郎が鬼になることはなく、妓夫太郎と堕姫は首を斬られる。地獄に落ちる妓夫太郎と堕姫。

「ただ、もし唯一心残りがあるとするならば、梅、お前は俺と違ったんじゃないかってことだ」
「俺が育てたために、お前はこうなっただけで」
「奪われる前に奪え。取り立てろと、俺が教えたから」

妓夫太郎は、妹の不幸の原因は自分にあると思っている。だから妓夫太郎は、地獄に落ちるのは自分ひとりでいいと思っている。

「お前とはもう、兄妹でも何でもない。俺はこっちに行くから、お前は反対の方、明るい方へ行け」

だが梅は、妓夫太郎の妹として生まれたことを、幸せに思っていた。
「何回生まれ変わっても、アタシはお兄ちゃんの妹になる絶対に!!」

妓夫太郎は、妹をおぶったまま、地獄の業火に焼かれた。


「鬼滅の刃」における鬼は、死ぬ際に人間だった頃の走馬灯を見ることも多い。その際に悔い改めたとしても、決して許されることはない。

許されることはないが、一緒に地獄に落ちてくれる人がいる。それはほんの一握りの「救い」かもしれないが、許される以上に幸せなことではないだろうか。

(文:ハシマトシヒロ)

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