<鬼滅の刃 遊郭編>宇髄天元がカッコイイ「3つ」の理由
3:内面・心の強さ
宇髄さんがカッコイイ一番の理由は、その内面にあると思う。
自分の生き方を自分で決めた強さ
忍の家系に生まれた宇髄さん。9人いた姉弟のうち3人は、年齢一桁のうちに父に課せられた厳しい任務で命を落とし、残り6人は相手が誰かわからない状況で殺し合いをさせられた。その事実を知ったとき彼は愕然としたが、もう一人だけ生き残った弟は父と同じように「部下は駒、妻は後継ぎを産むためなら死んでもいい、ひたすら無機質」だった。
「俺はあんな人間にはなりたくない」と強く思った宇髄さんは、3人の妻を連れて里を出た。子どもたちに殺し合いをさせるような父なら、背いた息子に何をするかわからない。そういったリスクも覚悟したうえで、自分の生きたいように生きると決めたのではないだろうか。
自分を取り巻く環境に抗えず、結果鬼になってしまった人間も大勢描かれるこの作品だからこそ、自ら環境を変えた宇髄さんのエピソードは印象深く胸に刺さる。
周りの人を信じ、大切にしている点
また妻たちに話した、命の順序の話も印象的だ。
「俺は派手にハッキリと命の順序を決めている。まずお前ら三人、次に堅気の人間たち、そして俺だ」 親に決められた3人の妻だが、堅気の人たちよりも大切だと断言した宇髄。妻たちは忍の世界で男以上に駒として扱われ、自分の命を軽いものだと教え込まれてきた。だが「自分たちを大切にし、命を大切にしろ」と言ってくれる宇髄に深く感激している。彼と妻たちは固い絆で結ばれているのだ。
宇髄さんもまた、そんな自分の生き方に対し「つらいね天元、君の選んだ道は」と労ったうえで「ありがとう、君は素晴らしい子だ」と認めてくれたお館様に感謝している。
さらに、自信家な一方でさまざまな人を尊敬し大切にしてきた点も素敵である。
アニメ第8話で妓夫太郎に「お前違うなぁ。今まで殺した柱たちと違う、お前は生まれた時から特別な奴だったんだろうなぁ。選ばれた才能だなぁ」と言われたときの返しが、彼がどんなことを感じて生き、戦っているのかを表していた。
「才能? ハッ俺に才能なんてもんがあるように見えるか? 俺程度でそう見えるならテメェの人生幸せだな」
「俺が選ばれてる? ふざけんじゃねぇ。俺の手の平から今までどれだけの命が零れたと思ってんだ」
自分の力が及ばず救えなかった人たち、自分よりすごいところを持った柱たち、そして自分の身を挺して自分以外一人も死人を出さなかった煉獄さんを思って出た言葉だった。この回の次回予告、アニメオリジナルの煉獄さんとのやり取りには涙せずにいられなかった。強いだけでなくお互い尊敬し信頼し合っている柱、あらためて素晴らしい……。
炭治郎たちのこともずっと貶し続けていたのに、妓夫太郎に対して「こいつらはみんな優秀な俺の継子だ……」と褒め、誰かが動けなくなっても誰かが次の一手を出すことを信じて作戦を練り続けていた。たやすく言葉にしないけど信頼してくれた宇髄さん、それもまた柱としての背中の見せ方だと思った。
>>>鬼滅の刃「遊郭編」宇髄天元の画像を見る(9点)
いい男すぎるぜ、宇髄さん
華やかで麗しい見た目も、いろいろなものを兼ね備えすぎた強さももちろんカッコイイ。だが自分の生まれ育った環境に呑まれず、自分でどう生きるのかを決めたところ、自分を肯定しつつも、妻たち同僚や部下のことを考え敬い行動できるところ、そして最後まで諦めないねばり強さ。こうした心の強さや周りの人を大切にする気持ちが、宇髄さんをより強くしたのだと思う。そしてそんな宇髄さんだからこそ、カッコイイと思うのだ。
(文:ぐみ)
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©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable