お笑い

REGULAR

2022年02月28日

今熱い!「ガーリィレコードチャンネル」“3つ”の注目ポイント

今熱い!「ガーリィレコードチャンネル」“3つ”の注目ポイント


2.決定的瞬間を収める男・フェニックス

ガーリィレコードチャンネルの特徴としてテロップなし、長回しによる演出が挙げられる。初期こそは「藤原竜也?に1日密着!」のようにテロップを入れていたが、最近の動画では基本的にテロップなしのワンカットで演出されているのだ。

これが即興で生まれる笑いの面白さの秘訣であり、部室での何気ない会話から生まれる面白さへと繋がっている。この演出を支えているのがフェニックスの巧みな空間の捉え方である。YouTubeの動画の多くが、狭い部屋を平面的に撮る。しかし、フェニックスが作り出す画は立体的だ。

・フェニックス、マツケンサンバを撮る



歌シリーズがある。扉の前で雨野宮将明を歌うと、中から曲が聞こえてくる。扉を開けるとコスプレをした高井佳佑やゲストが歌っている。このフォーマットは、部屋の中(=見えない空間)に対するワクワクを視聴者に与え、扉の内側で繰り広げられている滑稽なパフォーマンスが近づいてくることで奥行きある動画に仕上がっている。このシリーズでの最高傑作は「松平健『マツケンサンバ』歌おうとしたら…」であろう。

秋山太郎&雨野宮将明が扉の前で「マツケンサンバ」のリズムを口ずさみ、高井佳佑がうろ覚えの状態でパフォーマンスをする内容。開始前から、扉の奥で「オッレー!」「ボンゴ!」と声高らかに叫ぶ様子に好奇心が刺激される。扉を開けると、黄金を身にまとった彼が機敏に動き回る。

これを数度繰り返すのだが、段々と動きの切れ味が増していき、最終的に劇団四季も驚愕の身体的柔らかさをみせつける。カメラは異様な高井の動きに同様し、乱れることなく動きを捉え続ける。さらには彼の迫真の表情をズームで収める。アクロバティックなカメラワークを難なくこなすフェニックスの対応力に脱帽する。

・フェニックス、スパイダーマンを撮る



巧みなカメラワークは「スパイダーバース?」でも確認することができる。様々な世界のスパイダーマン が集結するこの作品は、困惑するスパイダーマンたちの会話を10分の長回しで捉えている。部屋に倒れているトム・ホランド版スパイダーマンの全身を捉え、次にトビー・マグワイア版スパイダーマンの全身を捉え、最後に謎のスパイダーマンを含めた3人を画に収める。

動画の終盤では、偶然現れた第4のスパイダーマンをアップで収め、そのまま3人の顔を綺麗に捉えていく。決定的瞬間を逃さない華麗なカメラ捌きはまるで映画のようである。この作品は、『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の約1年半前に配信されたものである。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』を踏まえたうえで観ると世界観に対する解像度の高さが伺える。一見、異質なヴィジュアルの高井スパイダーマンですら、『スパイダーマン:スパイダーバース』におけるスパイダーマン・ノワールとスパイダー・ハムを足して2で割ったような造形を忠実に再現しているように見える。

その結果、2025年に高井スパイダーマンがアッセンブルしてもおかしくないと感じずにはいられなくなってしまう。

・フェニックス、マルマインを撮る



また、フェニックスはフレームの外側の人間でありながら世界観を作る役割を担っている。マルマインシリーズでは「マルマイン!」と語りかけ、「エネ!」としか発しない彼と対話をすることで、ポケモンとトレーナーの友情がある世界を生み出している。この演出により、視聴者は段々と水泳帽を深く被った異様な存在をポケモンとして認識しはじめるのだ。

このように、フェニックスのユニークなカメラワークによって生み出される立体的な画は、他のYouTube動画では中々観られない世界観でもって視聴者を魅了し続けているといえる。

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