「鎌倉殿の13人」第9話 レビュー:守りの援軍・攻めの援軍(※ストーリーネタバレあり)
黄瀬川の戦いはまさかの結末に
黄瀬川の戦いは、まさかの結末を迎えることになります。
頼朝・信義の連合軍はいまいちしっくりとしません。頼朝が信義の接待を受けた際に、頼朝軍の将たちからの不平を時政が伝えに行くものの、酒を飲まされて酔い潰れてしまいます。ミイラ取りがミイラです。
頼朝側の将に酒を飲ませた信義は酔っておらず、その夜のうちに抜け駆けを決行してしまうのです。この上の画像、他の作品だとニコニココミカルな演技が印象的な八嶋さんらしからぬ良い表情をしています。
しかし、約束を違えて最初に攻撃をしかける抜け駆けは褒められたものではありません。
頼朝軍も翌朝に攻撃を仕掛けるなどしますが戦況は膠着します。しかし、維盛軍は水鳥の羽音を敵襲と勘違いして勝手に乱れ、自滅してしまいます。
結果的に戦わずして勝つことができた頼朝は追討を検討しますが、同行していた上総広常(佐藤浩市)は
「常陸(今の茨城県)の佐竹の動きが不穏になってきたから上総に戻る」
また時政は
「所領と一族を守るためなら死に物狂いに戦うが西には行かない。戦で命を張るのは(頼朝ではなく)わしらなのだ」
と、軍に西進の機運を感じられません。当時の武士にとって、自分の土地を守ることがとても大切で、土地を攻め取ることにはあまり興味がなかったようです。
仕方なく頼朝も、ここで「鎌倉へ帰ろう」と諦めました。
「小四郎、おまえはわしと板東(の土地や武者)ならどちらを取る?」
と頼朝は義時に尋ねますが、義時は即座に答えることができません。
「もうよい、つまるところわしは一人ということじゃ。流人の時も、今も……」
頼朝は肩を落とすのでした。
しんの援軍
そんなとき、頼朝の元へ来客があります。義経でした。
本当に弟の義経なのか?と疑う義時でしたが、当時、第三の勢力とも言える奥州藤原氏の首領・藤原秀衡の手紙を義経が持ってきていたことから、兄弟であることが分りました。
「父上を殺し母上を奪った(平)清盛への恨みを忘れたことはありませぬ。兄上と一緒に、必ずやお父上の敵を討ちとうございます!」
その直前まで激しい孤独感にさいなまれていた頼朝は、真の・心の援軍を得られました。二人が抱き合って涙を流すところで第9話の終了です。
義経との出会いが頼朝に勇気を与える
源義経は、・幼名の「牛若丸」
・従者の「弁慶」
・一の谷の戦い
・壇ノ浦の戦いでの「八艘飛び」
・モンゴルに逃れて「チンギス・ハーン」になった説(おそらく事実は違います)
などなど、歴史ファンであればどれか(あるいはすべて)の逸話を聞いたことのある、この時代の人気武将です。
義経は過去回では非情な面も見せていましたが、今話では快活で情にもろく、身体能力の高い動きを見せています。これからの活躍が楽しみですね。
頼朝は維盛を撃退したものの西進の夢を閉ざされた、と思いきや、義経の登場で明るい展望が見えてきたのではないでしょうか。
(文:奥野大児)
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