<日向坂46の魅力>逆境から辿り着いた“東京ドーム”までの軌跡
エース・小坂菜緒の復帰とついに叶えた東京ドーム公演
そして2021年12月24日、25日に開催された「ひなくり2021」の中で、2022年3月30日、31日に東京ドームで「ひな誕祭」が開催されることが発表される。「ひな誕祭」は改名してから毎年行われてきたグループの結成を祝う大切な記念のライブ。そんな祝いの日に東京ドーム公演が実現できると聞いたときには、2年も待ったメンバーやファンの気持ちを思うと胸が熱くなった。
さらに、3月4日にはグループの顔とも言える小坂の復帰が発表。ブログからは決して万全の状態での復帰ではないことは明らかだったが、22人全員揃って“約束の彼の地=東京ドーム”に立つ希望が見えたことが嬉しかった。
小坂が休養している間は“なおみく”コンビとして仲の良い金村美玖が「ってか」で初のセンターをやりとげ、小坂の穴を埋めるべく、メンバー全員が一致団結して乗り越えてきた。正確に言えば穴を埋めるという言い方は正しくないかもしれない。これまでも小坂の思いとともに22人全員で駆け抜けてきたのだ。とはいえ、小坂の復帰は間違いなくグループにとって追い風になった。
そんな中、公演直前の3月26日に濱岸ひよりが新型コロナウイルス感染症が発覚し、両日ともに参加できないことが決まった。東京ドームは必ず22人でと思っていただけに、「悔しい…」というのがメンバー、そしてファンの正直な思いだっただろう。
だが、メンバーもファンも常に前を向いていた。濱岸は公式ブログにおいて「こんなに迷惑をかけてしまったのにメンバーの皆が本当に優しくて毎日連絡をしてくれる人もいれば電話してくれる人もいて差し入れまでくれる人もいて日向坂はやっぱり温かいなと幸せな気持ちなりました!」と綴っている。
なんて温かいグループなのだろうか。残りの21人のメンバーの濱岸の思いを背負ってライブを成功させようという思いには胸を打たれた。
そして迎えた東京ドームでの「ひな誕祭」。筆者も2日目は現地で観戦し、復帰後初となる小坂センターでの「キュン」や「JOYFUL LOVE」を聞いて、改めて小坂の存在の大きさを感じるとともに、濱岸の抜けた穴や小坂の体力面をカバーして22人全員で助け合うその思いやりにも感動させられた。
佐々木久美は同ライブのMCにて「約束の彼の地と歌い始めたときは、ここがゴールかなと思っていたけど、きょうここがまた新たな出発の場所となりました」と未来に向けて前向きな言葉を残してくれたことは、ファンにとっても心強い宣言だった。
これまで幾度もの挫折を経験したとは思えないほどに、晴れやかで輝いている姿を見せてくれたメンバーには本当に感謝しかない。これからもついていきたいと思わせられた2日間だった。
ドキュメンタリー映画第2弾への期待と注目ポイント
『希望と絶望 その涙を誰も知らない』は『3年目のデビュー』とは異なるようで、竹中優介監督は舞台挨拶で「密着していたからこそ撮れた、ファンも知らないメンバーの葛藤やぶつかった困難を忖度なく描いたドキュメンタリー」と表現していた。
前作ではメンバーが直面する苦難を描きながらも未来志向的なポジティブな筋立てになっていたが、本作ではAKB48のドキュメンタリー映画を手掛けた高橋栄樹監督が描いたような、グループの困難な道のりが重々しく描かれることがひとつ予想される。
予告映像では「この2年間はあんまり見てほしくない」と語る佐々木久美の姿が映し出されており、新型コロナウイルス感染症によってライブができないことへの葛藤や活動休止するメンバーが相次ぐグループの現状へのメンバーの本音を伺うことができる、よりリアルな質感の伴う作品になることは間違いないだろう。
こうなると、日向坂46のイメージとは一線を画する内容になりそうで、現代のトップアイドルの疲弊をファンが享受する、映画としてある意味で鮮烈な作品になるはずだ。
そういった意味で『希望と絶望 その涙を誰も知らない』は現代のアイドルシーンが抱える問題を映し出してくれるだろうし、ファン以外の方々にもおそらく興味深い作品になっているのではないだろうか。
私も“おひさま”のひとりとして公開を楽しみにしたい。
(文: 川崎龍也)
>>>【関連記事】日向坂46、「エース不在」の是非とパフォーマンスの魅力
>>>【関連記事】与田祐希が語る俳優業「アイドルだからこそもっと頑張らなきゃいけない」
>>>【関連記事】乃木坂46の軌跡|『いつのまにか、ここにいる』を見て思うこと
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
(C)2022映画「希望と絶望」製作委員会