<初恋の悪魔>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第6話ストーリー&レビュー
第6話のストーリー
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鈴之介(林遣都)と、もうひとつの人格となった星砂(松岡茉優)が偶然、東京で会った。星砂は鈴之介のことをまるで知らない様子だが、自分の名前を知っていた鈴之介に興味を示す。鈴之介は、そんな星砂に戸惑う。星砂は、鈴之介を自分が寝泊まりしているネットカフェに連れて行く。
翌日、悠日(仲野太賀)は、いなくなった星砂を心配し、鈴之介と琉夏(柄本佑)に相談するが、鈴之介は星砂と昨夜会ったことを言えないでいた。琉夏は、そんな鈴之介の態度を見抜き、怪しむ。一方、雪松(伊藤英明)は、星砂の身辺を詳しく調べていた。 鈴之介は再び東京のネットカフェを訪ねる。しかし、星砂はすでにいなかった。
悠日の家に、もとに戻った星砂が訪ねてくる。星砂の無事を確認し喜ぶ悠日。星砂は、気が付いたら東京のネットカフェにいたと話す。悠日は星砂に、ときどき現れるもうひとつの人格について尋ねてみるのだが、そうしているうちにまた星砂はいなくなってしまう。
その後、鈴之介の家を訪れた星砂は、少しずつ心を許し始めた鈴之介に自分の過去を語り始める。16歳で家出し東京に出たこと。そこで出会ったリサ(満島ひかり)という女性に救われたこと。そして、そのリサが、悠日の兄・朝陽(毎熊克哉)が殉職したとされる事件に深く関わっていたことを———。
第6話のレビュー
偶然東京で出会った鈴之介(林遣都)と、もう一人……蛇女のほうの人格の星砂。星砂に別の人格があることを知らず、そもそも彼女のことが好きな鈴之介は戸惑う。しかもこちらの星砂は、鈴之介に好意的に見える。彼女が寝泊まりするネカフェの個室に招かれ、距離の近さにたじたじの鈴之介。だが、彼が学生時代にラブレターをもらい、指定された花を持って待ち合わせ場所に行くとクラスメイトが全員いて笑いものにされた話をすると「クソだね」と言って怒る。「そういうのってシャツのシミみたいに残るんだよ」と怒る星砂に、「君が怒ってくれたから大丈夫、シャツのシミは消えた」と伝える鈴之介。
前回過去の自分を抱きしめることができた鈴之介。それでも消えるわけではない地獄のような思い出に、心が痛む。そんな思いをしたのに人を気遣える人に育った鈴之介、とてもえらい。
そして、これまで蛇女のほうの星砂はとんでもない性格の女かと思っていたが、人のために怒ってくれるいい人な一面もあるとわかった。
場面は変わり、鈴之介と琉夏(柄本佑)がお互い相手に憎まれ口を叩きながらも「りんちゃん」「ことりん」と愛称で呼び合っていたのは見逃せない。いつの間にそんなに仲良くなったんだ、やっぱり前回か? 鈴だがらりんちゃんなのか。
失恋から立ち直るにはどのくらいかかるか聞く鈴之介に「長くて一生、短くて半年」と答える琉夏。他の人を好きになることで忘れられる、その繰り返しだとしてもそのうち慣れるという琉夏に「慣れたくはない」と言った鈴之介は、この苦しい感情も大切に感じているのかもしれない。
そこへ森園(安田顕)がやってきて、彼が前回気になっていた事件のより詳しい説明を聞く。被害者が中学生と知った琉夏の「子どもじゃないの」というセリフが個人的にツボに入ってしまった。森園、スライドに弁護士である自分の写真も入れているところがシュール。
この事件が冤罪だと思い、心残りだと言う森園。彼いわく、犯罪者にも個性があるという。ホームレスが金欲しさに彼を刺し、財布を奪ったのだとされているが、犯人は被害者を19回刺していた。1回刺せば死に至ることが多いのに、盗み目的で19回も刺すだろうかというのだ。鈴之介も、あまりにも証拠品が揃いすぎていると言う。
星砂は我々が慣れ親しんでいるほうの人格に戻り、悠日(仲野太賀)の家に帰ってきた。自分以外の人格がいると気づいたのは祖母が亡くなった10代の頃で、家出して東京に行き、記憶がなくなり、気づいたときには「間庭製作所」と書かれたメモを持っていたが、怖くて捨ててしまったという。
何かわかるのではと二人で間庭製作所に行ってみると、夫婦はうれしそうに迎えてくれるが、通りかかった同年代くらいの女性は怒りをあらわにして「あんたは私たちを裏切った、待ってたのに」「リサのこと知らないなんて言えるの?」と言ってくる。自分はいろんな人を傷つけていたんだ、と落ち込む星砂に「大丈夫です」と励ます悠日。根拠のない大丈夫だなと言われるが、「根拠のない大丈夫は優しさでできてます」と笑顔。
「僕は前向きな言葉が好きです。綺麗事と思われるかもしれないけど、綺麗事を口にしてきた人って泣いてきた人たちだと思うんですよね。もう一度立ちあがろうとしてきた人たちの言葉だと思うんです」と言う悠日。いい解釈……。だがまた星砂は蛇女のほうの人格になり、出て行ってしまった。
鈴之介の家にこの間のお礼をお菓子を渡しにくる星砂。なんで鈴之介の住所を知ってるんだろう? と思ったが、メモでも渡していたのだろうか。「君はまるで2人いるみたいだ」と言う鈴之介に「2人います」と答える星砂。鈴之介はすぐに「個人的なことであり、僕はそういうものとして受け入れるべきだった」と後悔するところに彼の優しさがあらわれている。
「鹿浜鈴之助さんは素敵な人だなって」
「一旦席を立ちます」
「あなたも素敵だと思います」
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
2人の会話が鈴之介らしさ満載で、もはや微笑ましい。
鈴之介の調理を手伝おうとし「前に住んでた家の冷蔵庫もいつもギチギチでした」「実家じゃありません、リサっていう子の家です」「話しすぎましたね」と言う星砂。
「途中でやめようとした話こそ、いちばん話したい話です」と言う鈴之介の言葉には、確かにそうだなと感心した。
東京に家出してきて所持金もなくなり、このまま死ぬのではというときに助けてくれたリサという女性が、家に招いてくれて食べさせてくれただけでなく寝泊まりさせてくれた。ここでおそらく視聴者の多くに衝撃が走ったと思う。
だって、回想に出てくるリサ、満島ひかりだったんだもん。
坂元裕二作品に出てくる満島ひかり、たまらん……!
リサは他にも星砂と同じような境遇の少女たちを家に連れてきては、勉強させて自分は朝から夜まで働いた。さらにブランド物の転売や偽物の販売など……自分だけが働き、女の子たちが手伝おうとしても決してやらせなかった。多分違法だから彼女たちが罪に問われないようにしたんだろう。見ず知らずの子たちにここまで親切にできるなんて、リサ自身はどんな環境にいたんだろう。
「風が気持ちいい日に家に帰ったりしちゃ駄目だ」
「そんな夜は遠回りするんだよ」
「人生でいちばん素敵なことは、遠回りすることだよ」
風が気持ちいい夜にそんな風に言うリサのこと、見てるこっちも好きになっちゃうよ。
でもそんな日は長くは続かず、「頭が良くて正しくて、近道が好きな人たち」が家にきた。リサは借金を背負い、なんとか借りるつてを掴んだ。それが「間庭製作所」のメモだった。メモを託された星砂は、「またみんなで暮らすんだ、また風の吹く夜を過ごすんだ」と走るが、途中で記憶がなくなってしまった。
次に気づいたのは7年後。自分は警察官になっていた。
「違う違う、ここじゃない。わたし、リサを助けるためにお金を借りに行くはずだったのに」
リサは殺人の容疑をかけられて指名手配されていた。担当刑事だった朝陽に直談判しに行ったが、取り合ってもらえなかった。自分でやるしかないと人の不正を密告していたら、蛇女というあだ名がついた。
ある日、風の気持ちいい夜にリサと再会した。
「ただいま」と言ったらリサは「おかえり」「おかえり、やっと見つけた、よかった」と言ってくれた。
やっぱりリサの言う通りだ、ほんのちょっと遠回りしてただけだったんだ、と思ったけれど、リサは見つかって追われてしまった。気づくと朝陽が逃げるリサに銃口を向けていた。「やめて、リサを撃たないで」と思って動こうとしたが、朝陽が撃った弾は星砂の胸に当たっていた。
次に気づいたとき、リサは逮捕されて刑務所にいた。
リサを助けなきゃいけないのに人格が入れ替わってしまうことに不安ともどかしさを感じるこちらの星砂に
「もしまた君がいなくなることがあったら、後は引き継ぎます」
「それで、少しは怖くなくなりますか」
そう伝えた鈴之介。素敵だな鈴之介……。
あちらの星砂に「僕があなたのことを覚えてます」と言った悠日。
かける言葉の違いに個性が出るけれど、自分が消えるのが怖いあちらの星砂にも、人格が入れ替わってリサを助けられなくなることが怖いこちらの星砂にも、それぞれがベストな言葉だったんだと思う。
蛇女の星砂、前回まで敵くらいに思ってたのに、すっかり好きになってしまった。
そして今回、雪平(伊藤英明)のあやしさがグッと増した。森園との会話で、5年前の事件で中学生の遺体があがった場所を覚えていなかった。朝陽の死をあんなに悼んでた人とは思えない。リサが容疑をかけられた殺人の被害者の傷は、森園が追っている事件の被害者の傷と酷似していた。
さらに、悠日に一般企業への就職を勧め、兄の電話が欲しかったのでは? と言われて別人のような態度を見せた。こいつが2件の殺人の真犯人、もしかしたら朝陽のことも殺したんだろうか?
星砂は朝陽に撃たれていたので、殺害は不可能だ。
気になりすぎるのに来週は休み。待ちきれないよ……!
※この記事は「初恋の悪魔」の各話を1つにまとめたものです。
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