映画コラム
<全力解説>『ソニック・ザ・ムービー』がゲームの映画化作品として大成功した「5つ」の理由
<全力解説>『ソニック・ザ・ムービー』がゲームの映画化作品として大成功した「5つ」の理由
5:中川大志の最高OF最高の吹き替え
本作でさらに言及しておけなければならないのは、中川大志を筆頭とする日本語吹き替え版のクオリティが最高OF最高ということだろう。ゲーム版のソニックでは声優の金丸淳一がほぼ専属でソニックの声を務めていたため、中川大志が演じるという報道には一部のファンから反発もあった。だが、実際の声の演技でその反対意見を覆すほど、絶賛に染まったというのはものすごいことだ。
中川大志は大真面目な役も多く演じられているが、原作からあるソニックの特徴である、「クールで」「抑揚のある話し方で」「時には英語まじりで」「ちょっとイタズラ心や子どもっぽさもある」役にこれほどまで見事にハマるというのは、想像をはるかに超えていた。
中川大志本人も葛藤があったようで、インタビューで「自分で良いのだろうかという不安と恐怖もありましたが、やるからには一生懸命自信を持ってやろうと思いました」と不安も含めて語ったこともあった。彼は子どもの頃にソニックのゲームを遊んでいたそうで、演技のための努力はもちろん、作品への「愛」があってこそ最高の吹き替えが生まれたのではないだろうか。
もちろん、前述したジム・キャリー扮する悪役ロボトニックを演じや山寺宏一の演技もキレッキレで最高である。濱野大輝演じる生真面目なストーンとの掛け合いも吹き替えで耳が幸せだった。
続編『ソニック VS ナックルズ』のここがすごい!
そして、この『ソニック・ザ・ムービー』の続編である、映画『ソニック・ザ・ムービー/ソニック VS ナックルズ』が本日2022年8月19日より映画館で上映されている。実際に観たところ、魅力を引き継いだ&パワーアップした続編として理想的、素晴らしい作品だった!何よりの目玉は、原作ゲームでも人気キャラクターである「テイルス」と「ナックルズ」が登場することだろう。広橋涼の声のテイルスが悶絶するほど可愛いし、木村昴ボイスのナックルズも「ポッ…」となるほどカッコいい。もちろん中川大志と山寺宏一の演技も完璧であり、今回も吹き替えを積極的におすすめできる最高クラスのクオリティとなっていた。
アクションもさらにド派手かつバラエティ豊かになり、原作ゲームのオマージュと言えるシチュエーションも多数盛り込まれていて、子どもから大人まで楽しめる娯楽作として申し分ない。さらに前作では「孤独」という悩みを抱えたソニックに、新たに「ヒーローとは何か?」という疑問から始まるドラマを付与しているのも上手い。今回のソニックはとある「失敗」をしてしまい、そこから立ち上がり本当に大切なことを知り行動を起こす、真っ当かつ感動的な物語が紡がれているのだ。
ちなみに、前作に負けず劣らずのキレキレな悪役のロボトニックを演じるジム・キャリーは引退を表明している。「状況次第」「ブレイクを挟もうかな」と淡い言い方をしつつも、「僕はもう充分です」などと引退が本気であることも匂わせていたのだ。今回がジムの怪演(および吹き替えの山寺宏一の楽しそうな悪役演技)を劇場で拝める最後のチャンスかもしれないので、その意味でも観ていただきたいのだ。
そして、筆者は前述した通りロボトニックとその部下のストーンの関係性が大好きで、やりとりにキュンキュンしていたのだが、この続編でも作り手がその需要をわかりすぎていて最高だった。「悪役のボスと部下」という関係性の中でも、前作をも超えた最高クラスのものが観られるので、そこに萌えたい方は明日地球が終わろうと観てください。お願いします。
(文:ヒナタカ)
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