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大人にこそ観てほしい!「沁みる」最新ディズニー映画5選


3:『私ときどきレッサーパンダ』



2022年3月11日よりDisney+で独占配信となったこちらは、いわゆる「オタク」の少女が主人公となっているのが最大の特徴。母親のために「いい子」でいようとするも、時には反抗したくもなる思春期ならではの葛藤はリアルで同情できるものであるし、その様が「オタクあるある」な切なくも笑えるギャグにもなっていたりもする。

さらには同じくオタクな友人たちが個性豊かでかわいらしく、「実際にこういう子たちいるいる!」と思えるのも嬉しい。ディズニー作品は理想的な美男美女も描くこともあり、それももちろん良いのだが、ここにきて「現実にいるオタク少女たち」を真摯に描いてくれたことにも感動があったのだ。

そんな主人公やその友人たちを理解しようともしない母親は、ほぼほぼ「毒親」寸前になってしまっているのだが、その母親もまた「伝統」により縛り付けられていたことが明らかになる。そこから、親は子にどう接するべきか、どのように負の連鎖を断ち切ればいいのか、そしてオタクとして、いや1人の人間としての幸せとは何か?というさらに深い問いには波及していく。ネタバレ厳禁の終盤のサプライズ&スペクタクルも圧巻の、ディズニー&ピクサーの新時代を告げる大傑作だ。

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4:『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』



2022年5月20日からDisney+で独占配信となったこちらは、1989年より放送されたアニメシリーズの続編にして、その「出演者」の30年後を描いた内容。保険会社のセールスマンとなったチップは久しぶりにかつての相棒のデールと再会し、かつての仲間が失踪した謎を共に追うことになる。凸凹コンビの活躍や、さまざまなヒントから真実に迫る捜査の過程は『48時間』や『ズートピア』などの「バディ刑事(探偵)もの」の面白さが詰まっていた。

最大の特徴は、実写の世界に、2Dのアニメと、さらには3DCGのアニメのキャラクターが同時に存在していること。実写に2Dのアニメを融合させる様は『メリー・ポピンズ』や『ロジャー・ラビット』もあるが、それよりもさらに次元の違う者たちが混在しているような、良い意味で脳がバグる感じにもなる。有名映画のパロディや人気キャラの扱いも攻めていて、現実の世界で大不評を買った「修正前の気持ち悪い映画のソニック」が登場するし、誰もが知るピーター・パンの描き方はファンから怒られやしないかと心配になるほどだった。

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そうしたギャグやパロディが短絡的に出して終わりではなく、しっかり物語と絡んでくる、実は計算が行き届いている内容になっているのも美点だ。何より「チヤホヤされていたのは過去のこと、今ではしがない中年男性になってしまった……」という切なさと、それでもコンビを再結成し友情と信頼を育んでいく展開はやはり大人こそ沁みるものだろう。

5:『ソウルフル・ワールド』



2020年12月25日にDisney+で独占配信となったこちらは、ディズニー&ピクサー史上、もっともメッセージとテーマが大人向けと言っても過言ではない作品だ。何しろ主人公が、プロのミュージシャンに憧れる、今は非常勤の音楽教師である独身の中年男性であり、現実に多くいるであろう「夢を叶えられなかった人」にも向けられた物語にもなっているのだから。これまでもほぼ全ての作品で「夢への向き合い方」をアップデートしながら描き続けたピクサーが、ついにたどり着いた到達点とも言えるだろう。

何かを続けても夢にはつながらないかもしれない、だけど「好きだから」という根源的かつシンプルな理由は、それだけで何かを続ける大きな理由になるし、(大きな夢を叶えられなかったとしても)大切な何かにはきっとつながっていく……それはもう大人になった全ての人はもちろん、親御さんが子どもにこそ伝えてほしいと願える尊い価値観だった。

圧巻のクオリティのアニメで描かれるで「現実の世界」と「ソウルの世界」のギャップ、優れた音響や音楽による「没入度」も半端ではない作品であるので、劇場公開がされなかったことも今でももったいなく思ってしまう。でも、だからこそ、配信で観る場合も、可能な限り映画館に近い環境を作り上げてから観てほしい。

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なお、Disney+では本作の前日譚となる6分の短編作品『22番 vs 人間の世界』も配信されている。こちらでは万国共通の政治家へのムカつきを切れ味抜群に皮肉ったギャグに大笑いできる楽しい作品だった。



その他、大人こそおすすめの近年のディズニー作品には、子どもの頃の友人を思い出す大人も多いであろう『あの夏のルカ』や、多様性のあるキャラクターが織りなす王道のアドベンチャー『ラーヤと龍の王国』もある。これらのディズニー映画を、ぜひ親子で観る候補に入れてほしい。そして、大人が人生に疲れた時に観る、ちょっと前向きになれるエンターテインメントとしてもおすすめだ。

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(文:ヒナタカ)

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