<星降る夜に>最終回までの全話の解説/考察/感想まとめ【※ネタバレあり】
第4話ストーリー&レビュー
第4話のストーリー
▶︎「星降る夜に」画像をすべて見るまっすぐで、強くて、どこまでも優しい――音のない世界で自由に飛び回る柊一星(北村匠海)の本質に心惹かれ、10コの歳の差を超えて、彼のおでこにそっとキスをした雪宮鈴(吉高由里子)。「ステイ」状態解除により、また一歩距離を縮めた2人は、胸躍る新たな日常の扉を開くことに。
仕事の休み時間に、一星にリモートで手話を教わったり、一星のバックパック世界旅行時代の友人が経営するギリシャ料理店でデートをしたり…。鈴は一星を介し、これまで知らなかった世界へどんどん足を踏み入れるようになり、徐々に明るく、いきいきと生きるように変わり始める―。
そんなある日、鈴が勤める「マロニエ産婦人科医院」に食品会社に勤めるキャリアウーマン・佐藤うた(若月佑美)が来院。担当医の佐々木深夜(ディーン・フジオカ)が妊娠6週目だと伝えるも、うたは“喜び”とはかけ離れた表情を浮かべる。新たな命が芽生えたことを心から祝福する深夜は、彼女の意外な反応に戸惑い、どんな事情があるのだろうか…と心配するが、看護師の蜂須賀(長井短)から「気持ちが分かる。自分も別に子供好きじゃないんで」と正反対の意見を述べられ、「ぜいたくな悩みだ」と本音をぶつけてしまう―。
一方その夜、一星の親友・佐藤春(千葉雄大)は妻・うたから妊娠を告げられる。そう…あの妊婦は、ほかでもない春の妻だったのだ! その後、春はひとりでマロニエ産婦人科に現れ、「いつまでなら中絶できるんでしょうか?」と衝撃な問いかけをぶつけてくることにー。
父親になることを受け入れられず、自らの過去も相まって、うたの存在にも息苦しさを感じるようになってしまう春。春は何に悩んでいるのか、彼にとっての“しあわせ”とは何なのか…。どんなに考えても答えは分からないけれど、それでもなんとか春の力になりたいと考え、前向きな言葉をかける一星。しかし、彼の思いやりは逆に春を追い詰め、2人は大喧嘩をしてしまうことに…!
明かされる春の過去。
君のために、ぼくができることはなんだろう―?
親友が抱えた、目には見えない“心の傷”とは…?
第4話のレビュー
「子どもかと思ってたけど、私なんかよりずっと優しくてまっすぐで強いんだね」一星(北村匠海)の魅力に、鈴(吉高由里子)も視聴者もあらためて気づいた前回のラスト。
もっと一星と話したい鈴は、より一層手話の勉強に熱が入る。
2人のデートシーンが大変よかった。まず、白いワンピとコート姿で走ってくる鈴が可愛すぎる!
撮りたくなる気持ちもわかる。
雑貨屋さんを見て、一星がバックパックをしていたときに知り合ったギリシャ人がやっているレストランでお腹いっぱいになって……ひたすら楽しそうな時間だった。途中、食券がうまく買えなくて困っているおじいさんを見つけて助け、ハイタッチする一星。微笑ましいおせっかいだ。
わからない手話があるとその場で調べる鈴の前で、レストランの曇ったガラスに文字を書き始める一星。
「ス」で始まったので「スキ」って書くの? と思いきや、書かれた文字は「ステイ」。
「手話頑張りすぎ」「ゆっくりゆっくり」「俺と話したいと思ってくれるのがうれしいから、頑張りすぎないで?」と気遣いを見せた。優しすぎてたまらん。しかも、鈴に告白した後にキスしようとして言われた「ステイ」をここで応用してくる粋さがいい。
「ゆっくりゆっくり」という手話、観ながら思わず真似してやってしまった。
「よきよき」といい、人の名前といい、使ってみたくなる手話がたくさん出てくるドラマだ。
そして今回焦点が当たったのは、一星の同僚で親友の春(千葉雄大)の物語。妻のうた(若月佑美)は
深夜(ディーン・フジオカ)に妊娠を告げられたが、にこりともしなかった。
うた自身は内心うれしかったのだが、春は「わからない」「責任があることはわかっている」と言う。「そう言うと思った」と言ったうたは、春の気持ちが一番大事だから、と言う。
春は一人でマロニエ産婦人科医院を訪れ、いつまでなら中絶できるか尋ね、自分の気持ちを打ち明けた。
春とうたは、同じ会社の同僚だった。激務だけど楽しい仕事の中で意気投合した2人はすぐに結婚。
うたがどんどん評価を上げて仕事を任されていく一方で、春は怒られることが多かった。
毎日くたくたな2人は、会話も減っていった。ある日仕事に行けなくなった春は、休職ののちに辞めることになったが、家を出られない日が続いた。うたはそんな中でも全く文句を言わず「家のことをしてくれてありがとう」と言ってくれていたが、春はかえって生きてて申し訳ないという気持ちを募らせてしまった。
「新しい会社にも行けるようになったけど、今はまだ底なんです」と、親になる自信がないことを告げた。
客観的に見ると、仕事の向き不向きの問題で、春には向いてない仕事だったのでは……という気もするが、実際に自分が挫折を味わった側だったら、自信を喪失してしまう気持ちもわかる。
春が悪いわけではないし、産婦人科医である以上このようなケースに対応するのは仕方ないのだが、望んでいた赤ちゃんと、妻までも喪った深夜は複雑な気持ちだったろう。看護師の蜂須賀が「さっきの旦那さんの言ってること、わかる気がする」「お産は感動するけど関われば関わるほど、産めないなって思う」とこぼす。
鈴も「私たちは無力、それでも何かしてあげたいとは思うけど……」と言う。難しい……。
春の様子を気にしていた一星は、鈴に「黙って見守る優しさもあるよ」と言われていたが「そういうの俺苦手」と答えた。鈴は「知ってる」と言ったし、観ているこちらも「でしょうね!」と思った。
優しくてお節介な一星は、やはり放っておけず話しかけてしまう。
「子ども、うたに似るといいね」「名前考えてやるよ」と話しかけたが、タイミングが悪かった……。
春は怒りをあらわにして「黙っててくれよ。俺はそんなに強くないんだよ。お前みたいに耳が聞こえなかったら、お前みたいに自信満々に笑って生きられない。もし生まれてくる子の耳が聞こえなかったら、そんなの俺は無理だよ。抱えきれないよ」と言って部屋から出ていってしまう。
部屋の外で聞いてしまった北斗(水野美紀)の娘・桜(吉柳咲良)、「悪気はないよ」「一星は悪くないよ」と瞬時にどちらのこともフォローしていて、いい子だ。「俺が悪いんだ」と悲しそうに微笑む一星。優しい奴だ。
北斗は桜のことを「私の子、かわいいうえに頭もいい!」とほめていたが、実は北斗の元夫の連れ子で血のつながりはないことが判明して驚いた。人生いろいろだ。
元気のない一星を見て、鈴とケンカをしたのかと勘違いした祖母・カネ(五十嵐由美子)は、「今日は私の誕生日です」「好物はシャンパンとビザ」と嘘をついて鈴を呼び出す。おばあちゃん、キュートで機転がきいて最高!
デートのときに鈴が見ていた、星が降っているように見えるネックレスをこっそり買っていた一星。
プレゼントしてつけてあげて、バックハグ、「鈴が好き」「鈴が大好き」と、バックハグの体制のまま、鈴の顎のところで手話をするの、めちゃくちゃよかった。その後のキスシーンもよかった。
そんな中、帰宅したうたが玄関でお腹が痛いと倒れてしまい、SNSに「雪宮鈴は人殺し」と書き込まれる……。ま、まだ逆恨みしてる人がいるの……? 次週はつらい展開になりそうだ。
出産の素晴らしいシーンと、生まれたのに子を置き去りにする母親や妊娠を喜べない親、無事に生まれないケース。
産婦人科医の割り切りと、それでもなんとかしたい気持ち。
一星のおせっかいで救われる人と、怒り出す人。
これまで明るく楽しそうな様子が印象的だった春の苦悩。
さまざまなものごとや人の相反する面に焦点を当てるこの物語が、とても好きだ。
※この記事は「星降る夜に」の各話を1つにまとめたものです。
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