「らんまん」相変わらずお金にものを言わせる万太郎<第46回>
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2023年4月3日より放送スタートしたNHK連続テレビ小説「らんまん」。
「日本の植物学の父」と呼ばれる高知県出身の植物学者・牧野富太郎の人生をモデルにオリジナルストーリーで描く本作。激動の時代の中、植物を愛して夢に突き進む主人公・槙野万太郎を神木隆之介、その妻・寿恵子を浜辺美波が演じる。
ライター・木俣冬が送る「続・朝ドライフ」。今回は、第46回を紐解いていく。
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「トゲのある言い方なさいますねえ」
第10週「ノアザミ」(演出:深川貴志)では万太郎(神木隆之介)、石板印刷修業編に突入?大畑印刷所にやってきた万太郎。そこは柄の悪そうな…もとい、ワイルドな職人さんたちがたくさんいました。
明治時代は印刷技術が日本で進化していった時代だそうです。とくに図版を再現するための石版印刷が。なるほど〜、万太郎は雑誌を作るし、ゆくゆく植物図鑑を作って、彼が書いた植物の絵を世界中の多くの人に伝えることをするのだから、印刷技術は大事です。
ところが万太郎は、
「こちらの画工にお任せすることはできません」と工場主の大畑義平(奥田瑛二)にきっぱり。
「トゲのある言い方なさいますねえ」と義平は機嫌を損ねます。なにしろ彼が雇っているのは、腕の立つ画工と自慢なのですから。
元の絵を写すのは難しい。万太郎は、本物のような植物図を作りたいため、自分が画工になると言い出します。
しかもお金を払って修業したいと。レッスン料を支払うということですね。
ふつうは、住み込みで働いて修業するところ、お金を払って働きたいという、常軌を逸した申し出です。
お金があるからできることですね。
万太郎をこれまでずっと見てきたので、悪く思えませんし、「こちらの画工にお任せすることはできません」はドラマを盛り上げるためのものなので、そこを気にしても仕方ないのですが、実際、初対面で、こんなことを言われたら彼に対して不信感を抱いてしまいそうです。
脚本の構成がよくできてるなあと感心するのは、寿恵子(浜辺美波)が読本を愛読していたことも、印刷技術とリンクしていることです。彼女が読んでいる本は木版印刷で刷られていたことでしょう。江戸時代の文化——読本や浮世絵は木版印刷によって広がったわけです。
さて。寿恵子です。
万太郎がしばらく来ないと宣言していったと訊いて、寂しく思う寿恵子。
まつ(牧瀬里穂)に万太郎のことをどう思っているのか聞かれて
「ただ、かるやきを食べさせてあげたい」とはにかみます。
傍から見たら恋ですが、本人は自覚していません。
が、みえ(宮澤エマ)は高藤(伊礼彼方)の妾になることを期待しています。
まつは「寿恵子に決めさせる」と意味深なことを言います。
揺れる、寿恵子の心——。
今週からは、万太郎が植物学者の道を進むために印刷技術を学ぶ話と、そのため、彼と少し離れてしまった寿恵子の切ない恋心。この2本の道がどうなっていくかを描くようです。
「らんまん」はテーマがかなり絞られていて(植物も人間も多様である)、もうそれについては10週の間に十分過ぎるほど語られてしまったので、若干、収束感があり。万太郎と寿恵子が結ばれるターンを盛り上げてほしいところです。高藤がざわつき要員かと思うので、ぜひともかきまわしてほしい。サブタイトル・ノアザミが今週はどんなふうに登場するでしょうか。
【朝ドラ辞典2.0 河井克夫(かわいかつお)】
画工の岩下定春役は河井克夫さん。漫画家であり俳優でもある多才なかたです。「半分、青い。」では漫画家・秋風(豊川悦司)の非常勤アシスタント役で出演されていました。筆者がテレビブロスで、ヒロインと常勤アシスタント仲間役だった清野菜名さんのインタビューをしたとき、ブロスで連載されていた河井さんが立ち会ってお話を盛り上げてくださいました。画工役、ぴったりです。「あまちゃん」にもアイドルファン役で出演されています。
(文:木俣冬)
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