お笑い

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2023年10月18日

「トークサバイバー!2」“松本人志”を換骨奪胎——策士・佐久間宣行の狙いとは?

「トークサバイバー!2」“松本人志”を換骨奪胎——策士・佐久間宣行の狙いとは?


“松本人志的なコンテンツ”

佐久間宣行は、松本人志と中居正広がMCを務めるトーク番組「まつもtoなかい」(フジテレビ系)の6月18日放送回に出演している。その際に佐久間は、松本が立ち上げた企画の耐用年数が長いことを指摘。それに対して松本は「シンプルな企画だから強いのかもしれない」と自己分析してみせた。



確かに、芸人たちがすべらない話=面白い話を披露するだけの「人志松本のすべらない話」(フジテレビ系)といい、様々なお題に対して大喜利王を決める「IPPONグランプリ」(フジテレビ系)といい、笑ってしまったらキツい罰ゲームが待っている「笑ってはいけない」(日本テレビ系)といい、相手を笑わせたもん勝ちの「ドキュメンタル」(Amazonプライム・ビデオ)といい、松本人志プロデュース番組は単純極まりない構造のものばかり。それ以上何も足せないし、それ以上何も引けないシンプルさだ。

【関連コラム】<考察>『ドキュメンタル』シーズン12から見る、松本人志が考える”お笑いの未来”



本人が認める通り、“松本人志的なコンテンツ”は企画として圧倒的に強すぎる。今やバラエティーの作り手は、この偉大なる遺産に違う調味料を加え、新たな食材を付け足すことで、バリエーションを増やすしかない。

「トークサバイバー!」も、「人志松本のすべらない話」的なエピソード・トークに、フリとしての本気ドラマと、芸人たちの小芝居という要素を足し算することによって、コンテンツとしての強度を高めようとしている。



確かに、アルコ&ピース平子とシソンヌじろうの芝居が上手すぎるのに対し、笑い飯西田の芝居は目も当てられないほどで、平場のセリフを言うだけで、思わず笑いが漏れてしまう構造になっている(そして千鳥ノブが的確にそれにツッコむ)。つまり、お笑いエントロピーが異様に高い作品になっているのだ。

実は、エピソード・トーク系番組には決定的な問題がある。当たり前だが、回を重ねるごとにエピソードは枯渇していく訳で、同じプレイヤーがずっと番組に出続けていると確実に話が弱くなっていく。

約20年間、「人志松本のすべらない話」のレギュラーを張っている松本人志、千原ジュニア、宮川大輔はマジで凄いのである。

今回の「トークサバイバー!」で、大悟が佐久間プロデューサーに「今回は大喜利入れるんで大丈夫ですって言ってたのに、1箇所だけじゃねえか!」と恨み節を叫ぶ場面があったが、おそらく偽らざる本音だったのだろう。



そう、パート2が前回と大きく異なるのは、「激イタ若手芸人が即炎上したツイートとは?」や、「あ〜いとぅいまて〜んの言い方で大事なことを言ってください」というような大喜利も組み込まれていること。しかもエピソード6「現実と真実」では、芸人の回答をアンミカとTKOの木本武宏が芝居で見せる、という新しい試みにもチャレンジしている。

松本人志的なるものを換骨奪胎することで、よりお笑いの強度を高めていく。策士・佐久間宣行の周到な戦略と計算によって、おそらくこのシリーズはパート3、パート4と続いていくことだろう。

(文:竹島ルイ)

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